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松本潤とは意外にも初共演! 石田三成役の中村七之助「神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせ」2023/10/29

松本潤とは意外にも初共演! 石田三成役の中村七之助「神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせ」

 第41回(10月29日放送)の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合ほか)では、徳川家康(松本潤)が謀反の疑いがある会津の上杉景勝(津田寛治)を成敗しようと大坂を離れた後、佐和山城に隠居していた石田三成(中村七之助)が毛利輝元(吹越満)を総大将として挙兵。家康は逆臣に仕立てられました。

 今回は、豊臣秀吉(ムロツヨシ)亡き後、家康と対立した石田三成を演じる七之助さんにインタビュー。三成の人物像や家康を演じる松本さんとのエピソードなどを伺いました!

――石田三成の初登場は第35回(9月17日放送)でしたが、クランクインはどのシーンで、どんな思いを抱いて撮影に臨まれたのでしょうか?

「第35回で、星を眺めている三成に家康が話しかけるという2人の出会いのシーンが初めての撮影だったので、とてもやりやすかったです。テレビドラマは順撮り(シーン順に撮影を進めること)はあまりないんですが、私の場合は1発目の登場シーンから撮らせていただいたので、とても新鮮な気持ちで臨めました」

松本潤とは意外にも初共演! 石田三成役の中村七之助「神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせ」

――演じるにあたってどんな準備をされましたか?

「今回の石田三成像はこれまでとはちょっと違う感じがして、クランクイン前に地元の人が三成のことをどう思っているのかを肌で感じたくて、出生地である長浜に行ったんです。長浜には“石田三成タクシー”というのがあって。そのタクシーで三献の茶で有名な寺など、三成ゆかりの地を巡りました。三成に対して悪役のイメージを持っている方も多いと思いますが、地元の人は三成のことをとても愛しているんですよ。三成には熱い思いがあって、民のことを考えていた武将なのかなと強く思いました。クランクイン前に行って本当によかったです」

――今作の三成はどんな人物だと捉えていますか?

「豊臣秀吉のことを怖いくらいに崇拝していて、太閤殿下の考え方が絶対の正義。殿下の考え方以外のものが入ったら、どんなに信頼していた人でも悪になってしまうという、真っすぐさゆえの危うさを出しました。私も父(十八代目中村勘三郎)のことを大尊敬しておりますので、三成はとても自分と近いものがあると感じていました。三成は秀吉が生きている時は尊敬を常に持っていて、いなくなってからも、さらに思いが強くなっているんだと思います。すごい存在がいなくなって、変なプレッシャーを感じて、自分がなんとかしなくてはいけないという思いから空回りしていく。どんどん視野が狭まって、家康と袂を分かち、違う道を行くことになってしまうのかなと」

松本潤とは意外にも初共演! 石田三成役の中村七之助「神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせ」

――袂を分かつまでは、三成と家康が語らうシーンが多いですが、現場で松本さんとどんな会話をされたのでしょうか?

「カットがかかれば、友人・松本潤とたわいもない話をしていましたが、現場に入れば、2人ともスイッチが入って対峙(たいじ)する。敵対する時は、本当に憎しみを込めたまなざしを彼に向けていました。個人的には、大河ドラマ『元禄繚乱』(1999年)で父が大石内蔵助役、私が内蔵助の息子・大石主税役を演じていた時に、嵐になる前の松本潤少年と七之助少年が、バスに乗って一緒にNHKまで通っていたことを思い出します。24年たち、40歳を迎える年に、彼がNHK大河ドラマの主役をやって、そして私が石田三成という大役を射止めて。実は初共演なので、神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせで、つくづくすごいなと思います。スタジオの感じも『元禄繚乱』の時から全く変わっていないので、あそこに父親がいたなと思うこともありますし、松本はうちの父親のことをとても尊敬してくれていたので、父が見たら喜ぶだろうなとも考えていました」

――少年時代の松本さんを知っている七之助さんから見て、少年時代の家康と重なる部分はありましたか?

「真逆ですよ。あいつは『どうする』なんて思っていなかったです。『どうしてやろうか』ですね(笑)。そんな弱気じゃなかった。ギラギラしていたし、悔しい思いをして、『よし、見ていろ』と。努力して、血の涙を流しながらやっていく人間でした」

松本潤とは意外にも初共演! 石田三成役の中村七之助「神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせ」

――七之助さんにとって特に印象的だったシーンはどこでしょうか?

「家康公との出会い、別れ、そして最後のシーンはとても印象的でした。また、三成は頭(知力)でのし上がった武将だと思っていたんですが、いざ関ヶ原の戦いになると、やはりたぎるものがあったので、それもとても印象に残っています」

――家康と袂を分かつシーンについて、以前、松本さんと別れるのはやりやすいのではないかとおっしゃっていましたが、実際にそのシーンを撮影していかがでしたか?

「松本と別れるのは簡単じゃないですよ! 万が一、うちの父のことを尊敬している松本が、役者としての父の思いや思想を間違えて解釈してとんでもないことをし始めたとしたらと想像すれば、三成のような気持ちになるのは簡単だという意味です。松本のことが大好きであるが故に、怒りに変わるのは簡単だけど、別れるのは簡単じゃないです(笑)」

松本潤とは意外にも初共演! 石田三成役の中村七之助「神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせ」

――実際に思いをリンクさせながら演じたのでしょうか?

「父とは重ねてはいませんが、そういう思いで演じました。朝鮮出兵の時に、三成は最初に家康のところに行って現状を話すくらい一番信頼している人で、三成の思想を分かってくれていた人が、いきなりとんでもないことをしてきたという感じだったので、すごくやりやすかったです。家康を嫌いになることは無理なくできました」

――家康と心を通わせるところから、憎しみへと変わっていく。芝居としては大きい変化ですが、共演して感じた松本さんの役者としての魅力を教えてください。

「約1年、同じ役を演じることはすごいことなんだなと思っています。彼なりに計算して、いろいろな方と相談してやってきたことなんでしょうけれども、役が染み付いているというか。今、第1回を見たら、どういう気持ちになるんでしょうね。現場で見た時に立派な家康だと思いましたし、野生的というか、家康もちゃんと心が動いているので、演じている松本潤はさすがだなと思います」

――実際に芝居を交えた時の印象の違いはありますか?

「役者はあまり自信がないと言っていますが、彼ももう40歳ですし、いろんな経験を重ねてきて、本当に立派な役者になったと思います。今作で一皮も二皮もむけたので、今後もいろんなことにチャレンジしてほしいです。ファンの方もびっくりしているんじゃないでしょうか。昔、初舞台の時に、彼が舞台上でセリフをかんだら、お客さまが笑ったんです。その笑いが、“嵐の松本潤がセリフをかんだ”という笑いだったから私は許せなくて。松本潤がそこにいればいいというファンの方の前で芝居をするのは、かなりきつかったと思うんですよ。そこを彼は自分の力で切り開いていった。嵐で華々しい成果を上げましたが、悔しい思いもしていて。そんな中、生きてきた人間だというのは『どうする家康』にも染み出ているので、これから先もすごく楽しみです」

――座長としての松本さんはいかがでしたか?

「嵐でコンサートを演出しているし、変わらずリーダーシップを取るのはすごくうまい。現場の士気を上げて、この作品をどのように持っていくべきかを常に考えていて、メークに関しても、自分の考えを通すのではなく、スタッフの皆さんに聞いて、最善のものを出そうという心意気は感じました。さっきも言いました通り、役者として共演するのは初めてなので見たことがなかったんですが、変わらず真っすぐ突き進むタイプで、私と似ています。それゆえに衝突もあるでしょうが、それは作品を少しでも素晴らしいものにするという情熱があるからで。やはりすごいと思います」

松本潤とは意外にも初共演! 石田三成役の中村七之助「神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせ」

――第41回(10月29日放送)以降で注目すると面白いところはどこでしょうか。

「隠居してしまった三成が、どう兵を挙げていくかに注目してほしいです。旗印と思想が似ていて、戦なき世を目指していた家康と三成だったのに、どうして三成が未曾有の大戦を仕掛けなくちゃいけないかというところがポイントになってくるんじゃないかなと思います」

――今後、関ヶ原の戦いが起こり、家康と一戦を交えることになりますが、そのシーンへの思いを教えてください。

「最初は、年齢も家康の方が上で尊敬していて、一緒に豊臣政権を盛り上げていこうという気持ちだった三成が、関ヶ原の戦いでは、家康のことをどのように思っているかを一番に考えてやらせていただきました。三成として家康に対する思いを強く出そうと。総大将は毛利輝元ですが、世の中の人は石田三成対徳川家康というイメージが強いと思いますので、その心意気や家康に対する思い、部下の嶋左近(高橋努)や秀吉への思いなどを背負って演じました」

松本潤とは意外にも初共演! 石田三成役の中村七之助「神様はここまで待っていたんじゃないかと思う巡り合わせ」

――最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします!

「頭を固くしないで見てくださいということです。これは違う、あれは違うというふうに見たら楽しい作品にならないので。歴史を追っているドキュメント番組ではなく、フィクションでロマン。ぜひ視聴者の方に、今からでも頭を緩めてロマンを持って見てもらえるとうれしいです」

――ありがとうございました!

【番組情報】

大河ドラマ「どうする家康」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BS4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K
日曜 午後6:00~6:45

NHK担当/K・H



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