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【ラグビーW杯】日本がトーナメント進出を懸けるアルゼンチン戦。最後まで攻守に走り回り、素早いパス展開で勝利を2023/10/06

松田力也(ラグビーW杯ラグビー 日本代表) 写真:志賀由佳/アフロ

 フランスで開催中の「ラグビーワールドカップ2023」。日本時間・10月8日午後8:00に、日本(世界ランキング12位/10月2日時点)とアルゼンチン(9位)が激突する1次リーグD組の最終戦がキックオフされる。

 D組は各チームが第3戦までを終えた時点で全勝のイングランド(6位)が組1位での決勝トーナメント進出を決めている。2勝1敗の勝ち点9、得失点差+46のアルゼンチンが2位、同勝ち点で得失点差+14の日本が3位につけている。最終戦はトーナメント残り1枠を懸けた直接対決になり、勝ったチームがトーナメントに進出。引き分けた場合、日本だけが4トライ以上を挙げてボーナスポイントを獲得しない限り、日本の敗退が決まる。

 日本は第3戦サモア戦の前半に、フルバック(FB)のレメキ ロマノ ラヴァ選手(NECグリーンロケッツ東葛/日本)の突進からチャンスを作り、13分にフランカー(FL)のピーター・ラブスカフニ選手(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/日本)、31分にFL・リーチ マイケル選手(東芝ブレイブルーパス東京/日本)がトライ。後半は、7分にサモアの選手1人が危険なプレーにより退場したため数的優位に立ち、9分にナンバー8(No.8)の姫野和樹選手(トヨタヴェルブリッツ/日本)がトライして22-8に。その後、背水の陣のサモアの猛攻に押され、25分と38分にトライを許したものの、28-22で逃げ切った。

 日本はサモア戦、その前のイングランド戦とも相手の強力FW(フォワード)に対し、スクラムで押し負けなかった。大会に備えて取り組んできた強化、修正の成果が出ているのは心強い。また、スクラムの安定は日本の武器である素早い球出し、スペースをついてチャンスを作る動きにつながり、ここまで9トライの内、4トライがスクラムを起点に生まれている。サモア戦のリーチ選手のトライもその一つで、サイドに空いたスペースを見逃さず、長く正確なパスを放ったスタンドオフ(SO)・松田力也選手(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本)の判断が光った。松田選手は大会前のテストマッチでキックの成功率が低く不安材料となっていたが、大会に入ってからは16本中・15本を決めるなど好調。今回の試合でも試合の流れを左右するキープレーヤーになるだろう。

 一方のアルゼンチンは、初戦は10-27でイングランドに敗れたが、第2戦でサモアに19-10に勝ち、日本戦を見据えて控えメンバー中心で臨んだ第3戦チリ戦に59-5で圧勝した。同じ3チームとの試合を終え、得失点差、世界ランキングともアルゼンチンが上で、対戦成績も日本の1勝5敗。どの角度から見ても格上の強豪だ。フィジカルを前面に押し出して突進してくるチームであり、ボールキャリー数(ボールを持って前に出た回数)はサモア戦、チリ戦はもちろん、敗れたイングランド戦でも相手を上回った。今回の試合も、日本のリーグワンで活躍するFLのパブロ・マテーラ選手(三重ホンダヒート/日本)らFW陣が果敢に前に出てくるだろう。鋭い突破と正確なキックで21得点を挙げているWTBのエミリアノ・ボッフェーリ選手(エディンバラ/スコットランド)らBK陣にも要注選手が並ぶ。日本としては、これまで通り2人がかりのタックルで相手の出足を止め続けたい。

 日本はサモア戦終盤に押し込まれて6点差まで詰め寄られたため、スタミナ面を不安視する声があるが、データ上はボール保持率、相手陣内での攻撃割合とも前半より後半が上がっていた。精神面で受け身に回らなければ粘り負けることはないはず。地力はアルゼンチンが上であり、厳しい試合になることは間違いないが、つけ入る隙がない相手でもない。最後まで攻守に走り回り、素早いパス展開など日本の強みを生かし続ける。それができれば、勝利は見えてくるだろう。

文/佐藤新

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