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井上芳雄が司会を務める「はやウタ」50回突入記念インタビュー! 新たな野望は「こぶしを回したい」!?2023/09/24

井上芳雄が司会を務める「はやウタ」50回突入記念インタビュー! 新たな野望は「こぶしを回したい」!?

 NHK総合で月曜午前4:15に放送中の音楽番組「はやウタ」(月2回程度放送)。演歌・歌謡曲の最新曲から、近年大きな注目を集めるミュージカル俳優による舞台の名曲まで、多彩なジャンルの実力派歌手が歌唱する番組です。司会は、ミュージカル界のプリンス・井上芳雄さん。アドリブトーク満載で、歌手の魅力に迫っていきます!

 今回は、司会を務める井上さんにインタビュー! 台本なしのアドリブトークの裏話やゲストの方々とのエピソード、今後に向けての目標などをお伺いしました。

――9月の放送で番組の放送回数が50回を迎えたそうですね。おめでとうございます!

「驚きですよね。あっという間でした。コロナ禍で番組が始まったので収録の進め方も変わってきて、比較的感染状況が落ち着いている今、感慨深いものがありますね。最初はゲストの方と一対一でお話していたんですけど、今は全員で収録することができて、ずらっと出演者が並ぶ番組の形を知ることができた気がします」

――いろいろなジャンルの歌手の方たちと収録されていると思いますが、学びになったことや思い出に残っていることなどはありますか?

「僕は普段ミュージカルで歌ったり、舞台で演じたりすることが多いので、歌謡曲や演歌の歌手の方たちとは初めましての出会いばかりでした。長年歌を聴いていた大御所から新人まで、ひと口に歌謡曲と言ってもいろいろな方がいらっしゃることを身をもって知りました。バラエティーに富んだ歌手の方々がたくさんいるので楽しいです。最初はお話をするのも緊張していたんですけど、2回、3回と出演してくださったらその方のキャラクターも分かってくるので、お話しやすくなります。皆さん、大御所であればあるほど懐が深くて面白いお話をたくさんしてくださるので、人としての魅力を感じます。もちろん、歌は毎回生で聴くことができるので、生演歌というものの奥深さを感じますね。演歌は歌う人によって全然違うけど、海やふるさとを思う歌が多く、日本の代々受け継がれてきた部分を集中的に歌っているという特性を感じますね。ミュージカルやポップスは今の気持ちを歌っていることが多いので、違いを感じますね」

井上芳雄が司会を務める「はやウタ」50回突入記念インタビュー! 新たな野望は「こぶしを回したい」!?

――ミュージカル俳優である井上さんが、テレビ番組で司会に挑戦しようと思ったきっかけはなんでしょうか?

「舞台は劇場に来てもらわないと知ってもらえないですが、テレビやラジオに出演すると広く知ってもらうことができるので、その必要性を感じたからです。あと、チャンスを与えてくださった時には応えたいと思っているので。新しい挑戦でしたが、やっていく中で『こうすれば、もっとうまく回るのかな』とか思うこともあるし、それこそ『うたコン』にゲストとして呼んでいただいた時には、谷原(章介)さんの様子を参考にさせていただきますし、同じ司会者の先輩の方のすごさをより感じます。そういうことの積み重ねで今に至ります」

――自分がゲストとして出演する時とは違って心掛けていることはありますか?

「自分も歌手だから分かることですが、トークのすぐ後に自分の歌の順番が来る生放送のような収録形式なので、緊張されると思うんです。なので、できるだけリラックスして、負担を感じずに歌っていただければと思っていますね。収録が始まる前に少しでもコミュニケーションを取った方が、歌手の方に安心していただけるのかなと思います。司会者という立場なので、ゲストの方へも声をかけやすいですから」

井上芳雄が司会を務める「はやウタ」50回突入記念インタビュー! 新たな野望は「こぶしを回したい」!?

――台本がないと伺ったんですが、歌手の方への質問などはご自身で考えられているのでしょうか?

「資料やアンケートをまとめたものを用意してくださっているんですが、すべてをご紹介する時間がないんですよね。質問の取捨選択というか、毎回“落ち”をつける必要はないんだけど、一つのくくりが終わった方が気持ちよく次にいけると思うので、そういう組み立ては考えています。まぁ、うまくいったりいかなかったりですけどね」

――裁量が任されているんですね。

「どうなるか分からないからこそ、面白い話が出てくる可能性もあるし、それは時間が決まっていることの良さかもしれないですね。永遠にしゃべっていいとなると、また違ってきますよね。限られた中でズバズバっといくことの面白さがあるかなとは思います」

――番組冒頭のあいさつ、「おめざのひとこと」などもファンの方は楽しみにされていますよね!

「50回やってますから(笑)」

――どのように考えていらっしゃるんでしょうか?

「最初の一言はすごく難しくて、毎回ギリギリまで苦しみながら考えています。NHKの朝に“一言”で面白いことを言うって、ハードル高くないですか!? みんなが爽やかに笑える話題って、やっぱり悩みますね。ネタ帳まではいかないけれど、面白いことがあったら『あ、これ今度使えるかな』って考えたりはしますけど。いまだに大変です」

――「マスクをしたままマッサージを受けたら、マスクの跡が取れません」とか、面白かったです(笑)。

「健康や年齢を重ねる話題とか、子どもの話題が一番やりやすいですね」

井上芳雄が司会を務める「はやウタ」50回突入記念インタビュー! 新たな野望は「こぶしを回したい」!?

――では、早朝の番組ということで、早起きは得意ですか?

「得意じゃないです。舞台は稽古もお昼過ぎからだし、公演も午後1時開演が多いので早起きする必要がないんです。でも、下の子が幼稚園生なので、午前7時ぐらいに一緒に起きないといけなくて、最近はサラリーマンの皆さんと一緒の時間くらいに起きています」

――番組を見るために早起きをしている視聴者の方々に、見終わった後のお薦めの過ごし方を教えてください。

「午前4時に起きて、番組が終わったらもう1回寝てもいいと思うんですけど(笑)、そうすると…寝過ごす可能性ありますよね。朝の方が頭がすっきりして事務作業がはかどるって聞くので、領収書をまとめるとか…!?」

――領収書! 急にリアルですね(笑)。番組の質問に戻りますが、思い出に残っているゲストはいらっしゃいますか?

「いっぱい過ぎて…」

――すごく若い演歌歌手の方も出演されていて驚きました。

「歌謡曲や演歌に限らず、ポップスの方も来てくださるし、どんどん幅広くなっています。でも、演歌の方はバラエティー豊かですよね。人力車を引っ張っているグループ・東京車夫が歌いに来てくださって、何かのネタなのかなと思っていたら、別の番組でそのメンバーの方が車夫として取材を受けていたり、有名ですが、元力士だった増位山太志郎さんが歌われていたり。僕は不勉強で知らなかったこともたくさんあって、特に師弟関係は奥深くて、確かに曲を聴いてみると吉幾三さんっぽいなあとか。細川たかしさんのお弟子さんはこの人だとか、そういうことが分かれば分かるほど面白いですね」

――細川たかしさんが出演された回も、すごかったですよね。

「大御所の方は予定調和がないからすごいです(笑)。余談ですが、最近友達の結婚式に行ったら、そこにいらっしゃったお父さんが『この前の望海風斗さんとの歌唱、良かったですね』と言ってくださって。僕、夫婦で1曲歌ったんですけど、最後の父親のあいさつで『“愛している”という歌詞を何回も情熱的に歌われて感動いたしました。細川たかしさんもそれに反応して』って、ずっと番組の解説をされていて。最終的に、『僕から今日結婚する2人に“愛している”という言葉を送りたいと思います』とおっしゃってあいさつが終わって…すごく印象的な出来事でした」

――井上さんのファン層やミュージカルに足を運ぶような方々だけでなく、いろいろな方が番組を見てくれているんですね。

「僕はいつもテレビに出ているわけではないので、うちの祖母も楽しみに見てくれています。そういう意味では、僕の世界も、見てくださる皆さんの世界も、お互いに広がるのが理想です」

井上芳雄が司会を務める「はやウタ」50回突入記念インタビュー! 新たな野望は「こぶしを回したい」!?

――ミュージカルでご一緒される皆さんからの反響もあるようですね?

「ミュージカルのカンパニーから、『うちも出たい!』という声がどんどん増えていると聞いています。忙しい稽古の合間に半日ぐらい使って来てくださるのは本当に大変だと思うんですけど、ありがたいです。舞台は基本的に映像に残らないですが、番組に出ることで映像に残すことができるし、劇場に来ることができない人にも番組を通して知っていただけるのは、うれしいことです!」

――今後の番組としての目標をお伺いしたいです!

「僕はたまたまご縁をいただいて、この番組の司会やらせていただいているんですけど、日本の演歌はすごく大事な文化で、それを守ってつなげていくことの大切さを考えるきっかけになりました。この前、『NHKのど自慢』に初めて出演させてもらったんですけど、脈々と続いている番組で、日本全国、歌やカラオケが好きな人、演歌が好きな人がいらっしゃって、そういう人たちが愛してやまないものを大切にしていきたいと思いました。演歌界の方も、山内惠介さんとか天童よしみさんとか、この番組を通して知り合って、一緒にコンサートをさせてもらって、もちろん実力が素晴らしいのは知っていたけど、人柄やどういう活動をされているのかなどを知ることができました。NHKの歌番組は、しっかり作ってくださって歌もしっかり伝えられるので、いろいろなジャンルの方が歌いに来てくださることで、大事な文化を伝えていけたらと思います」

――ご自身の目標はありますか?

「皆さんが楽しく話せるような司会を少しでもできればと思っています。司会って奥が深いんです。民放のバラエティーで司会をさせてもらうこともあるんですけど、番組によってテイストが違うので、経験をそのまま使うことはできないんです。自分が知っていることで会話を広げていくという意味では、日々の生活とつながる仕事だと思うので、しっかりとアンテナを張りながら、いろいろなことに取り組んでいきたいです」

井上芳雄が司会を務める「はやウタ」50回突入記念インタビュー! 新たな野望は「こぶしを回したい」!?

――演歌のジャンルにも挑戦してみたいお気持ちはありますか?

「こぶしを回したいっていうのがずっと目標ではあるので、教えてもらったりはしているんです。意欲はありますが、そんなにたやすく手が出せるようなものではないです。皆さん、ずっと修業を重ねていらっしゃるので。でも、着物をいっぱい持っていらっしゃる大先輩に『僕も一つください』と冗談で聞いてみたら、本当にくださりそうな気配もあるので、もしいただけたらどこかで披露したいです。逆に、演歌の方がミュージカルに来てくださってもうれしいですよね」

井上芳雄が司会を務める「はやウタ」50回突入記念インタビュー! 新たな野望は「こぶしを回したい」!?

――最後に、視聴者の方へのメッセージをお願いいたします!

「早朝の番組なので、まだご覧になったことがない方もたくさんいらっしゃると思いますが、今はNHKプラスでも簡単に見ていただけるので、見ていただきたいです。僕もそうだったんですけど、演歌もミュージカルも含め、普段はあまり聴いたり見たりしないジャンルのことを知ることは、すごく楽しいんです。演歌でもたくさん若い歌手の方がいらっしゃるし、その方たちには、おじいちゃんおばあちゃんが演歌が好きでずっと聞いていたとか、『のど自慢』で優勝してデビューしたとか、いろんなゲストの方々にもドラマがあるんです。ミュージカルにももちろんドラマがあるし、そういうことを含めて知っていただいて、音楽や歌も楽しんでいただけるようになったらすごくうれしいので、試しに見ていただきたいです」

――ありがとうございました!

【番組情報】

「はやウタ」
NHK総合
月曜 午前4:15~4:45(月2回程度)

【プレゼント】

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取材・文/Kizuka(NHK担当) 撮影/島田香



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