最終回直前! 「らんまん」で語りを務める宮﨑あおいにインタビュー2023/09/25
NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「らんまん」。本作は植物学者・牧野富太郎さんをモデルに、神木隆之介さん演じる槙野万太郎が、幕末から明治、大正、昭和と四つの激動の時代を植物学者としていちずに突き進んでいく、波瀾(はらん)万丈の人生を描いた物語です。
槙野寿恵子(浜辺美波)は東京・渋谷にあった店を売却し、その資金を注ぎ込んで、練馬に広大な土地を手に入れる。そこに万太郎(神木)の夢と標本を守るため大きな屋敷を構え、寿恵子は“植物の園”を造ると万太郎に語る。幸せな日々を送っていた2人だったが、寿恵子は具合を悪くしていた。万太郎は寿恵子の看病をしながら「日本全国の草花を載せた図鑑を完成させる」という約束を果たすため、日々研究に取り組むのだった。
最終回が目前に迫る中、語りを務める宮﨑あおいさんに作品についてお話をお聞きしました。
――「らんまん」の語りが決まった際の感想を教えてください。
「お話をいただいた時はとてもうれしかったです。またこのような形で朝ドラに参加させていただけるんだという喜びがありました。いただいた台本に目を通すと、以前お世話になったスタッフの方々のお名前があって、絶対やりたいという思いが強くなりました。NHKに収録に行くと、10年ぶりにお会いするスタッフの方と当時のお話をしたりして、こういうふうにお話できるのは朝ドラというお仕事をいただけたからだと思っていますので、『らんまん』に参加させてもらえて幸せに思いました」
――ナレーションをする際に気を付けたことはありますか?
「幅広い世代の方が見ている作品なので、きちんと聞き取れるようにというのは常に気を付けています。今回に関しては主人公のお母さんなど、役の設定があるナレーションではなかったので、より客観的に物事を伝えることを意識していました。登場人物に近過ぎず、離れ過ぎずという距離感でいられたかなと思っています」
――声を保つため、喉のケアなど何かしていたことを教えてください。
「ナレーションは週に一度の収録でしたが、風邪をひいてご迷惑をかけたこともありました。常に喉を健康に保つというのは難しいことなんだとあらためて実感して、普段から声の仕事をされている方のすごさを感じました。どれだけ気を付けていても声が枯れてしまうこともあるので、少しでも違和感を抱いたら喉によいお茶を飲んだり、はちみつをなめたりなど、いろいろ試行錯誤しながらやらせていただきました」
――万太郎とモデルの牧野富太郎さんについて感じたことを教えてください。
「牧野富太郎さんはものすごく愛された方なんだろうと思います。モデルの富太郎さんも万太郎さんも、魅力は人に愛される不思議な力あってこそだと思いますし、彼を支える奥さまや相棒たち、周りの皆さんが万太郎さんを信じてついてきてくれていて、好きという気持ちで応援したくなるようなすてきな主人公だったのだろうなと感じました。富太郎さんは想像もつかないような偉業を成し遂げられているので、この『らんまん』という作品で富太郎さんのことを知ることができたのはうれしかったです」
――主演の神木隆之介さんの魅力はどんなところにありますか?
「神木さんは座長として素晴らしいと思っていて。以前共演した映画『大名倒産』の時も感じていました。1日お会いしただけで、この方が中心になっている作品は大丈夫だろう、なんて幸せな作品なんだろうと思ったんです。今回『らんまん』のスタジオにいる神木さんを見た時も同じことを感じました。私は今回はナレーションという立場なので、毎日皆さんと一緒にいるわけではなく、時々顔を出すだけなのですが、その際も『いらっしゃいませ! ようこそ』みたいな感じで歓迎してくれている雰囲気があって、とてもいい座長さんだなと思っています。神木さん自身が心から楽しんでいるからこそ物語も膨らんでいる感じがしますし、スタッフの皆さんや共演者の皆さんを引っ張っていく力強さがあるのかなと。すてきな役者さんだと思っていますし、私自身も万太郎のファンで、神木さんが演じているからこそ魅了的な主人公になっていると思います」
――浜辺美波さん演じる寿恵子の魅力も教えてください。
「とても心(しん)が強く魅力的な方だと思っています。万太郎が研究に熱中し過ぎて全然眠らない中で、お布団を二つ準備して『寝てください、一緒に寝ましょう』と説得しているのに振り向いてもらえず、枕を投げたくなるシーンがとてもかわいらしくて好きです。寿恵子さんを見ていると女性って強いなと思いますし、きゃしゃで穏やかなのに心の強さを感じるのは、浜辺さんが演じるからこそだと思います」
――お気に入りのシーンはありますか?
「たくさんありますが、中でも竹雄さん(志尊淳)と綾さん(佐久間由衣)のご夫婦が好きです。綾さんは何かあると大の字で寝っ転がって空を見上げている印象がありますが、その綾さんの感じと、綾さんを包み込むような優しさで寄り添っている竹雄さんがとても好きで、告白シーンの『この後、何を言うの?』と感じる独特な間のようなものにドキドキさせられました」
――では、万太郎と寿恵子の夫婦についてはどう感じましたか?
「綾と竹雄夫婦とは違った魅力があると思っていて、万太郎が植物の研究に夢中になっていても、寿恵子さんがいるからきちんとご飯が食べられたり、睡眠が取れたりするので、万太郎が生きていけるのは寿恵子さんがいるからだと感じました。寿恵子さんがいなければ体も壊しちゃうし、周りの人たちとのコミュニケーションもうまく取れず、ここまで愛される人になれなかったと思います。そして何より、演じた神木さんと浜辺さんがとてもかわいらしくて、かわいい夫婦だなと思いながら見ています」
――ナレーションをしていて思わず感情が乗ってしまったシーンはありますか?
「誰かが亡くなってしまうと感情が乗ってしまうことがあるので、その時は一度台本を読んで、思いっきり泣いて感情を整理し、収録では俯瞰(ふかん)して見られるようにしています。でも、子どもが亡くなるシーンは何度やっても慣れず、園ちゃん(斎藤羽結)が死んでしまうところはどうしても感情が乗ってしまうので、むしろ乗せていいものだと割り切って、監督と相談しながら挑みました」
――最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いいたします。
「万太郎と寿恵子がそれぞれすてきな人生を送って年を重ねていく姿を、最後まで見守ってもらえたらうれしいです。私も語りの立場で『らんまん』を見守っていますので、視聴者の皆さんも最後まで楽しんでいただけたらと思います」
――ありがとうございました。
第127回あらすじ
大泉村に大きな屋敷を構え、そこで万太郎と寿恵子と千鶴(本田望結)は幸せな日々を送る。だがその頃、寿恵子は具合を悪くしていた。ある日、波多野泰久(前原滉)と藤丸次郎(前原瑞樹)が自宅を訪ねて来る。
【番組情報】
連続テレビ小説「らんまん」
NHK総合
月曜~土曜 午前8:00~8:15ほか ※土曜は一週間の振り返り
NHK BSプレミアム・NHK BS4K
月曜~金曜 午前7:30~7:45ほか
NHK担当/S・A
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