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尺八演奏家・藤原道山、FM福岡の改編会見で11月のアンサンブルコンサートをアピール2023/09/26

尺八演奏家・藤原道山、FM福岡の改編会見で11月のアンサンブルコンサートをアピール

 エフエム福岡(福岡市)は9月12日に秋季番組改編記者会見を開き、開催イベントや特別番組などを発表した。特に11月27日に同市のアクロス福岡・福岡シンフォニーホールで開く「藤原道山&シュトイデ・トリオ」公演についてアピール。尺八演奏家の藤原と、ウィーン・フィルのコンサートマスターであるフォルクハルト・シュトイデ率いるトリオとのアンサンブルで、福岡のみの興行となる。会見会場には途中から藤原本人も登場。取材陣との質疑に応じた。主なやりとりを紹介する。

――(進行役から)藤原道山(ふじわら どうざん)さんです。よろしくお願いします。

「本日はありがとうございます。私、尺八演奏家として国内外で演奏しております。尺八というと日本の伝統芸能でくくられ、少し敷居の高い思いで、皆さんなかなか聴く機会も少ない状況にあるかと。そこで、いろんなコラボレートによって、より多くの人に聴いてもらいたいと活動を続けてまいりました。そんな中で出会ったのが、ウィーン・フィルのコンサートマスター、フォルクハルト・シュトイデという方。バイオリニストなんですけども。彼とは16年前、アンサンブルで来日された時に、たまたまあるプロモーターの方から『日本の楽器もあった方がいい』と、お声がけいただきまして、そのツアーのゲストとして出演し、共演させていただきました。その最後に、シュトイデの方から『別のアンサンブルで来るんだけど、また出演してくれないか』とお話をいただきまして。それが翌年、実現しました。こちら側からも何かできないかということで、レコーディングすることになりまして。ウィーンでレコーディングさせていただき、翌年また日本でコンサートさせていただくということに。以来、数年おきにコンサートをさせていただいております。今回はトリオと尺八という、これもたぶんほかでは絶対聴けませんし、福岡だけの1公演ということになっています。唯一無二の編成でのコンサートになる予定でございます。ぜひ、知っていただければと思います」

――尺八を演奏するきっかけと、福岡のみの公演となった経緯は?

「祖母が琴をやっていて、和楽器の音が流れている家だったということが一番大きいかなと。ただ、琴の練習が非常に嫌でして、逃げ回っていたんですけど。縦笛、リコーダーは好きだったんですね。年がら年中、吹いているのを祖母や親が見て、尺八だったら吹いてくれるじゃないかな、という期待の下、声をかけてもらって始めたのがきっかけです。(福岡公演については)前回のコンサート(2014年。その時はカルテットとの共演)に感銘を受けた方々が『ぜひやりたい』と手を挙げていただいたことによるものです」

――海外の人に尺八はどのように受け取られているんでしょうか?

「とても面白く思ってくださっているようですよ。毎年、ヨーロッパで尺八のサマーキャンプをやったりだとか、中国では愛好家が1万人以上もいるらしくてですね。米国なんか、各都市でプロ活動している人がいたりですね。日本以外で、これだけ海外で普及している楽器というのはないんじゃないでしょうか。ああ、太鼓もありますかね。太鼓と尺八は、海外の方々も興味をもってやられている。当たり前の楽器と思っていただいている人がだんだん増えてきている。日本ではセッション系、コラボレーション系のものを好まれているようですけど、海外では古典の方が面白いと。自分たちの文化にない音に、非常に興味をもっていただいているような、気はします。もともと中国から来た楽器といわれていますけど、形も構造も音楽も違いますね。昨年もフランスとメキシコで公演させていただきました。どちらも満員となりまして、盛り上がりました。日本でもそうなりたいと思います」

――今回の公演の注目ポイントと、アクロス福岡の音の響きについての感想、それから尺八を50本ほど所有されていらっしゃるようですが、今回は曲によって替えたりするのでしょうか?

「これまではカルテットという形で、バイオリンが2、ビオラ、チェロという形でやっていたんですけど、今回は(バイオリンが1の)トリオという形で、私を入れてカルテットという感じになりますので、より密な音楽が作れるんじゃないかと期待しております。今回も大島ミチルさんという作曲家がまたリアレンジしてくださったりして、今まで作ったアルバムとは違う響きになってくるとは思っております。アクロス(福岡)に関しては、私も2年前にダブルピアノと尺八という形で、20周年のコンサートをさせていただきました。なんとも言えない重厚な響きをもった、好きな会場です。福岡に来たら、ここで演奏したいなと思わせる会場でありますね。かなり広いですが、ノンPA(電気的な音響拡声装置)、マイクなしでも十分に音が広がっていく、素晴らしいコンサートホールだと思います。それから(所有する)尺八については、曲によって使い分けしています。それぞれ長さが違いまして。標準が1尺8寸。それで尺八という名前が付いたと言われておりますけども。短いものは1尺、大体30cmぐらい。長いものは3尺3寸、1mぐらいのものがございます。作ろうと思えば、いくらでも短いもの、長いもの、作れるんですが、キーとかが付いている楽器ではないので、手が届かないとか、吹けないことになりますので…。また、同じ長さでも性格が違いまして。竹をそのまま使っており、結局同じものって1本もないんですよね。同じ人が作っても同じ楽器にならない。一本一本が非常に個性的。人間と同じ。それで、ついつい集め出して、増えてしまいました。その中でもよく使うのは10本ぐらい。尺八って指穴が五つしかなくって、キーチェンジがなかなか難しい。カラオケなどと違って簡単に変えられない。そういう時に、持ち替えるということをしまして、いろいろ長さを使い分けております」

――共演者はどんな印象ももっていらっしゃるのか、また弦楽器とやる難しさはあるのでしょうか?

「彼らがどう思っているのか、ちゃんと聞いたことはないんですけども(笑)。こうやって続けているということは、嫌ではないのかなと。2014年の時だったかな、その前が2011年。3年ぶりに彼らとやることになって、彼らがザルツブルク音楽祭に出演中だったので『じゃ、僕が行きます』と(渡欧)、そこでリハーサルをやった時に、1回通したらすーっと通ったんですよ。『大丈夫、全然問題ないね』って。久しぶりな感じがしない。『会ってはいなかったけれど、音楽の感覚は変わっていなかったよね』って。私も彼らの演奏を素晴らしいと思っていますし、向こうも他の洋楽器と変わらないという意識をもってくださっているという気はいたします。弦楽器と一緒にやる難しさは、そもそもやっている音楽が違うというものがありまして、ある意味言葉が違うようなもんなんですよね。文章が、文法が違うというのかな。それをお互い、五線譜という共通言語でしゃべっていくというような形になりますかね。難しいといえば難しいんですけど、最近、音楽的なバイリンガルの人も増えてきておりますので。だんだんこういうものも当たり前になってくるのかなと、思っております」

――素人ですが尺八の音色ってフルートに近いなと感じました。そういう意味では洋楽器とのコラボレーションの可能性って広いのでないでしょうか? 藤原さんご自身は、尺八の音色ってどんな洋楽器に近いと感じますか?

「おっしゃっていただいたフルートは、発音が同じ理屈になりますので、音色がとても似ていると思います。尺八っていろんな音が出る楽器でして、一緒にやっていると、その楽器に寄せるくせがあるんですよ。フルートとやれば、それに近づくし、最近はクラリネットとのデュオでもやっていて、その時はクラリネットに寄ってしまったり。つい最近はオーボエの方とやってみたら、やっぱりそっちの方向に行ってみたりだとか。全然違う楽器なんですけど、融合していこうという気持ちがあるので、そこへ近づくような気もします。だから、いろんな方向性をもって、いろんな音を出せる楽器だなと。似せることも離すこともできるかなと。相手を際立たせる時は離していくし、融合したい時は近づいた音にしていく、みたいな。オーケストラの人たちもみんな、そういうふうに思ってアンサンブルしているので、聴くことでだんだん近づいていくっていうのかな、相手をリスペクトするというのかな、そういうことをしていると、だんだん何か近づけ合える楽器じゃないかなと思っています」

――藤原さんは福岡とのゆかりはありますか?

「割合九州に親戚がいまして。祖母は鹿児島の生まれで、福岡にも親戚がいたりだとか。大学時代の友人も多くいます」

――「にほんごであそぼ」(NHK Eテレ)を拝見させていただいて、そこで子どもと一緒に藤原さんのファンになりました。今後、やっていきたい活動は?

「いろいろありますが、お話に出た番組のようにちっちゃい子たちに尺八の音、日本の音を聴いてもらいたいというのは、昔から、それこそ大学時代からありまして。日本の文化が、近いからこそ、どんどん縁が遠くなっている部分があるような気がして。どんどん、そういうメディアとかに働きかけて、尺八が当たり前の楽器になってほしいなとの思いで、子ども番組にも積極的に関わらせていただき、曲を書いたりしております。また、東京だけですがスクールのようなことも展開しております。一度、始めたら簡単にやめられないのではなく、もっと気軽に体験できる機会ができないのかなと考えて、そういうスクール的なものを始めたところであります」

 会見の最後には、取材陣の至近距離で公演演奏予定曲「アメイジング・グレイス」を独奏。情感あふれる藤原の尺八から発せられる音色に心が揺さぶられ、公演本番への期待感が高まった。同局では9月28日に特番「FM SELECTION SPECIAL “藤原道山・シュトイデガイド!”」(午後8:25)を編成。西川さとりアナが藤原をゲストに迎え、公演と本人の魅力に迫る。

  会見では、4月に始まった「ナカニワスタジオ」(水曜午後9:30)のリニューアル情報も。10月4日から開始時間を午後9:00に早め、放送時間を拡大する。愛智望美アナが福岡県内の中学校と高校を訪問する収録番組で、生徒たちのリアルな声がより多く聞けることになりそうだ。

 また、後日、特番情報が追加発表された。9月10日に電気ビルみらいホール(福岡市)で行われた石崎ひゅーい、小山田壮平、長澤知之による弾き語りコラボライブ「FM FUKUOKA Beat On Beat~トラス~」の模様をダイジェストにして10月1日午後7:00からオンエア。3人へのインタビューを交えながら、ソロ演奏やセッション曲を紹介する予定だ。


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