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「スプリガン」小林千晃 インタビュー2023/06/28

「スプリガン」小林千晃 インタビュー

「己の肉体同士という部分に、血肉が通っている感じがしますし、それがドラマを生むんだなと思います」

 1989年~96年まで連載され、累計発行部数が1000万部を突破するなど、90年代に一世を風靡した伝説的漫画「スプリガン」。連載開始から30年以上の時を経て、初めてシリーズアニメ化され、昨年、Netflixで配信された。そして、7月7日からは、地上波での放送がスタートする。超古代文明の遺産を封印するため、特殊エージェント“スプリガン”として奔走する主人公・御神苗優の役を、多くの人気作で主役を務める小林千晃が担当して話題に。今回は、そんな小林に、「スプリガン」に対する印象や近況など、幅広く話を聞いた。

――アニメ「スプリガン」に出演されていかがですか?

「98年に一度映画化されている作品なのですが、40代以上の先輩から『当時、見たよ』とか『漫画を読んでいたよ』と、声を掛けていただくことが多くなって、すごくうれしいです」

――原作は、今回読まれたのですか?

「はい。僕が生まれる前に連載が始まった作品なので、なかなか触れる機会がなくて。オーディションを受ける時に、原作を読ませていただきました」

――読んでどうでしたか?

「僕が子どもの頃には、都市伝説やオカルトを取り上げたテレビ番組がよく放送されていて。中学生の頃には、もうそういう番組はほとんどなくなっていたんですけど、そこから10年ぐらい経ってオーディションのお話を頂き、読ませていただいて、当時のワクワクをすごく感じました。その頃は自分も都市伝説やオカルトを信じていたので、いろいろと妄想していた当時の懐かしさがよみがえってきましたね。『スプリガン』では、そういった都市伝説的な要素をブラッシュアップして、アクションも入れ込んだ上で、優がスプリガンとして敵対組織と戦いながらオーパーツを探す物語が描かれています。冒険活劇とミステリーなど、いろんな要素がすごくいい具合にマッチしているので、一気に読んじゃいました」

――漫画では携帯電話だったところが、アニメではスマホになっているのも印象的です。

「キャラクターのビジュアルにしても、今の時代に合わせて、違和感が出ないようにいい具合に新しくなっています」

――男の子が好きなロマンが、凝縮されています。

「本当にそうだと思います。男なら誰でも、こういう世界観は好きだと思います。それに、僕が演じている優には、真っすぐさもあるし、どんな敵にも臆せず立ち向かって全部殴って解決していくような痛快さもあって。女性ももちろんですけど、特に男性がハマる要素がたくさんあるなと思います」

――「スプリガン」は16歳の少年の優が、大男たちを倒していきますからね。

「男の子だったら誰しも一度は憧れますよね。それを、優が漫画やアニメの中でかなえてくれているので、男の子の夢が実現したような感覚はあります」

――劇中では銃を使うシーンもたくさんありますけど、優はパワーやスピードなどを向上させるA・M(アーマード・マッスル)スーツを着ているのもあって、最終的には拳で…みたいな感じがありますね。

「そうですね。拳とかナイフとか、近接格闘で倒すことが多いです。そこにも、原作者・たかしげ宙先生、皆川亮二先生が描く、男のロマンや美学がたくさん詰まっているんじゃないかと思います。銃で倒すのではなく、自分の肉体を使って倒すことで思いも伝わるし…。銃で倒すのは味気ないというか。己の肉体同士という部分に、血肉が通っている感じがしますし、それがドラマを生むんだなと思います」

――小林さんはボクシング経験者なので、より親近感が湧くかもしれませんね。

「格闘技自体は好きなので、それもあってワクワクする部分はあると思いますけどね」

――ボクシング経験は、役作りに生かされましたか?

「どうですかね。ボクシングって、痛いだけですから(笑)。もっと自分が強くなって技術も上がって、相手のことをリスペクトできるようになったら、感じ方も違うんでしょうけど。当時は中学生で、目の前の相手を倒してどっちが強いかを証明するみたいなものでしかなかったので」

――強かったのですか?

「全然強くなかったですけど、楽しかったですよ。ボクシングに限りませんけど、チームスポーツじゃないから、より結果がすべてになるんです。運の要素がほとんど絡まなくて、自分だけの体力や練習してきたパンチでポイントを取り合うので。ボクシングを辞めた後は陸上をやっていたんですけど、やっぱりそれも個人競技でしたし、そういう戦い方が好きなんでしょうね」

――今は何かスポーツはやられていますか?

「自重トレーニングで、腕立てや腹筋をやって体調を整えるくらいで、ガッツリ何かのスポーツというのはやっていないです。でも、時間があったら、いろんな格闘技を習ってみたいですね。MMA(総合格闘技)もそうだし、もっとニッチな格闘技とか…。ただ、飽き性なのでちゃんと練習に通わないと続かないから、仕事のスケジュールで行けたり行けなかったりという今の環境だと、すぐ“もういいや”ってなっちゃいそうで。やるなら環境を整えて、しっかり取り組みたいと思っています」

――ちなみに、誰にでも簡単にできる筋トレってありますか?

「知らないです。あったら、逆に教えてほしいです(笑)」

――「スプリガン」は男性声優が多い現場ですから、筋トレの話はしましたか?

「そういう話はしなかったかな。筋トレが好きな声優がいる現場ではしますけど、そもそも筋トレ好き同士で同じ現場になったことがないので、そういう会話で弾んでいる状況を見たことがないです(笑)。実際、トレーニング好きの方は結構いらっしゃって、ご自身でジムをやられている方もいますね。でも、同世代の声優同士では、そういう話にはなかなかならないですね」

――ナイフで切られたりパンチを食らったり、バトルシーンのお芝居で出る声というのは、どんなふうにイメージされるのですか?

「激痛を感じた経験はあるのでそれを思い出して、なるべくリアリティーを出すようにしています。でも優は、胸を裂かれていたとしても、歯を食いしばって声が漏れないようにしていると思うし、そもそも痛みを表現するのは、お芝居ではないと思っていて…」

――「イテテテ」と表現するのは、お芝居ではないと?

「はい。“切られたことに対して、相手に負けないという気持ちがあれば痛くないはずだし”と、僕は思っています。それはお芝居の話であって、アニメとか漫画的なものの表現とはちょっと違うかもしれないですけど」

――今回のアニメは、原作漫画の序盤のエピソードですが、今後ももっといろいろなエピソードを見てみたいです。

「まだ原作の半分も描いていないですから。それに、厳選されたエピソードだけなので、アニメ化されていない部分がまだたくさんあって。今後はそういうエピソードもやりたいですし、優と同じスプリガンのジャン・ジャックモンド(阿座上洋平)や、優の師匠である朧(子安武人)など、メインキャラクターの過去を掘り下げるお話もいっぱいあるので、それもぜひ見たいです」

――優は高校生なので、学校での話もありますよね。

「ありますね。修学旅行の話とか。普段エージェントとして戦っている中で、日常を描く回があると、ほっこりしますよね。その中で事件も起きるんですけど、日常の中に非日常が溶け込むような展開だとワクワクします! それもぜひアニメ化してほしいです!」

「スプリガン」小林千晃 インタビュー

【プロフィール】

小林千晃(こばやし ちあき)

6月4日、神奈川県生まれ。9月30日スタートのアニメ「ラグナクリムゾン」(TOKYO MXほか)に出演。

【作品情報】 

「スプリガン」小林千晃 インタビュー

「スプリガン」
7月7日スタート
TOKYO MX
毎週金曜 深夜1:05~1:35 ※メ~テレでは7月8日スタート(毎週土曜 深夜2:30~3:00)

強大な力を持つ古代遺跡の封印を目的とした組織・アーカムの腕利きエージェントで、“スプリガン”の異名を持つ優(小林)が、次々と現れる強敵を退け地球を守っていく冒険譚。敵対勢力と激しい戦闘を繰り広げながら、世界各地の不思議を解明していく。

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取材・文/榑林史章 撮影/興梠真穂 ヘアメイク/紀本静香 スタイリング/ヨシダミホ



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