工藤遥が明かす、アイドルから役者への転向を決めたきっかけ2023/06/06
船越英一郎が主演を務めるフジテレビ系連続ドラマ「テイオーの長い休日」(土曜午後11:40=東海テレビ制作)。6月10日放送・第2話で、元“2時間サスペンス(2サス)の帝王”である熱護大五郎(船越)に振り回される、新人脚本家・柏木美遊役でゲスト出演する工藤遥が、自身のターニグポイントなどを語った。
熱護は、長い休日の真っただ中。1年以上、仕事がない。付き人の売れない俳優・萩原匠(今井悠貴)と共に、自宅で優雅に過ごす日々を送っている。そんな中、3人の子持ちの元敏腕マネジャー・吉田ゆかり(戸田菜穂)は、ある事情を抱え、熱護のマネジメントをすることになる。プロデューサーに逆らえない新人脚本家、バラエティーでくすぶっているドラマ志望の中堅ディレクター、過去に傷を持つ人気俳優など、さまざまな人間を巻き込みながら、熱護は「自分のやり方が時代錯誤だということくらい、百も承知だ」とわが道をまい進。変われない男と、変わりたい女…年齢も性別も違う凸凹コンビがぶつかり合いながら、再起を懸け、世間という荒波に再び乗り出していく“人生リベンジマッチ”が始まる。
第1話では、偏屈で傲慢で傍若無人だが、仕事がなくて崖っぷちな主人公・熱護がゆかりが抱える問題に気付き、熱護なりのやり方でその悩みを解決する物語が描かれた。
第2話にゲスト出演する工藤は、俳優の仕事について、「初めて舞台に立ったのは小学5年生くらいだったんです。その初舞台の脚本家さんが、約7年後…私が高校生になった頃、再会した時に、長文のお手紙をくださったんです。私たち(モーニング娘。)のステージの千秋楽の時で、そこに書いてあったのは、『私は工藤さんが主演する映像作品を書きたい!』という内容でした。アイドルを卒業して役者になりたい、という気持ちはすでにあったので、そのお手紙に、思いっきり背中を押していただきました。お手紙を読んでから間もなく、役者への転向を決めました」と告白。これが、人生の大きなターニングポイントだったことを明かす。
そして、今回の新人脚本家という役を演じるにあたり、「同じドラマ業界でも、ADさんとか、新人マネジャーの方とかでなく、ピンポイントで脚本家役だったということが、今回の作品との“ご縁”だとしか思えない状態です。しかも、私の契機となってくれたその方は、女性の脚本家なので、見事に重なっています。本当に不思議な気持ちです。その女性脚本家の方のおかげで、今自分がここにいられる気がしますね。私が演じさせていただく役は、新人という立場もあり、芸能界においては、まだ根強い年齢の若さの壁などのおかげで、自分の書きたいものをなかなか書かせてもらえず、くすぶってしまっている、半ば諦めてしまっている女性なんです」と役柄を紹介。
台本を読んでみて、「この役の設定やセリフも、実際の脚本家さんが書いているわけですが、そこには、よりいっそう、脚本家の方の“リアルな心の声”が聞こえるような印象を感じました。そういうセリフが多かったり、そのものずばりな状況、シチュエーションが多かったりして。私たち役者は、脚本家さんと直接お会いしてお話しする機会はあまりなくて、“台本に書かれた文字だけ”を通じて、まるでラブレターを読むような気持ちで、その思いを推し量る感じなんですけど、こんなに“会話ができる脚本”に出合えたことは、すごくうれしく思いました。今までの台本とは印象が違いましたね」と新鮮な感覚を味わった様子。
加えて、「これまでも、俳優をテーマにした作品はあったと思いますが、今回は俳優の枠を飛び越えて、“ドラマ制作の裏側”をさらけ出していて、ここまで見せてしまっていいのかなと思うくらいに見せている作品だなと思っています。そんな作品で、シリーズが始まってすぐの回のゲストに出させていただけることはとても光栄ですしベテランテレビ業界人を相手に、新人脚本家が必死に“自分の守り抜きたいものを守っていく”という姿は、同世代の方や、そうした時期を経験した方々も含めて、皆さんに刺さるのではないかと思っています」と作品の魅力を伝える。
また、演じる美遊のような挫折の経験を聞いてみると、「役者になって、作品にも出させていただいて、少しずつ気にかけてくださる方や、仕事に呼んでいただけることも出てきたという時に、すごくぜいたくな悩みかもしれないですが、単純に“お芝居ができる”というだけじゃなくて、そこから先の“何か”がないと駄目だというプレッシャーのような ものを感じてしまって…。記憶に残っていく役者にならないといけない。でも、そのために何をしていいのかも分からなかったし、お仕事をいただけることはとてもありがたいことなのですが、自分の中でなかなかすっきりハマってこない…みたいことがあって、お芝居を楽しめないと思ってしまう時期がありました。今回演じる美遊のセリフにもあるのですが、『本当にポキっという音が聞こえるかのように』心が1回折れてしまったんです」と吐露。
その悩みから抜け出したきっかけは、数々の出会いの中にあったそうで、「その後の作品で出会った監督や、お芝居に携わっている方のおかげで『あ、もう1回頑張ろう!』『自分はお芝居が好きなんだ』とあらためて実感できたんです。一番印象的だったのは、その時期に出会った監督から、ドラマや映画での(前のシーンとの)つながりなど、細かいことは全部無視して、『自分の感情だけを優先して、演じください』とアドバイスいただいたことです。『あとは、僕が責任を持ちます』と、言い切ってくださってびっくりしました。そこまで言ってくださるなら、私は、おんぶにだっこのつもりで、その瞬間瞬間に感じたことだけを出していきます!と思えました。いろいろな細かいところや、技術的なところにばかり気を使って、思考が固まってしまっていたから、その瞬間に感じた心情・感情を大事にできていなかったのだと思い出させてもらえたんです」と明かす。
そして、今後の自身にとっての夢に関しては、「女優への道に進ませてくれた脚本家さんと再会することです。その脚本家の方は、その当時はアニメの脚本の仕事が多く、『自分は実写ドラマの方にも進みたい』とおっしゃっていました。今はその夢を実現されているのですが、まだお会いできいなくて。『いつか私の主演作品を書きたい』と言ってくださったのは、いわば、『お互いに次のステップへ進もうね』という意味合いだったように思えます。時間が経った今、再会が果たせたら、私、泣くと思います(笑)」と目を輝かせ、「今回のこの柏木美遊役も、私がそんな気持ちを抱きながら演じていると思って見ていただけると幸いです」と話している。
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