岡山天音、これまでの人生の“出会い”は「一つでも履き違えていたら、全く違う場所に行きついていたんだろうなと思います」――「日曜の夜ぐらいは. . .」インタビュー2023/05/20
ABCテレビが4月から新設し、日曜午後10時の全国ネット連続ドラマ枠の第1弾として放送中のドラマ「日曜の夜ぐらいは. . .」。脚本家・岡田惠和さんのオリジナル作品となる本作は、お互いの存在も知らない3人の女性があるラジオ番組をきっかけに運命的な出会いを果たし、戸惑いながらも心を通わせ始め、漫然とした暮らしの中で行き詰まっていた3人の人生が静かに動きだす姿を描いています。
主人公・岸田サチ(清野菜名)は、ラジオ番組「エレキコミックのラジオ君」のバスツアーに代理として送り込まれ、そこで出会った野田翔子(岸井ゆきの)、樋口若葉(生見愛瑠)に最初は戸惑い、一度はバラバラになるも、宝くじで3000万円に当選するという奇跡を通じて無事に再会。明日5月21日放送の第4話では、壁にぶつかる3人が“夢”を見つけることに。
そんな3人組をつないだ立役者ともいえるのが、番組のベテランリスナーでもあり、バスツアーでは世話役を務める市川みね。一見頼りがいのある人物かと思いきや、サチのアルバイト先に現れたり、翔子の運転するタクシーに乗車してきたり、突然自分の生い立ちを話し始めたりする一面も…。ただ、サチ・翔子・若葉の仲の良さそうな姿を前にするとうれしそうな表情を見せる、心優しい人物です。
女性3人の友情物語に今後も欠かせない存在となっていくみねですが、今回、そんなみねを演じる岡山天音さんにインタビューを実施。これまで多くの作品に出演してきた岡山さんが、今作に感じている面白さとは。さらに、岡山さんの人生を変えた“出会い”を聞くと、これまでの自身の変化についても明かしてくれました。
――ここまでの撮影を振り返ってみていかがですか?
「セリフが多いですね(笑)。普段やっている仕事と比べて、それはすごく感じていて。結構まとめての撮影が多かったりするので、飛び飛びで現場に行かせていただいているんですけど、体感としてはちょっと久しぶりに行って、急にめちゃめちゃしゃべる、みたいな。1人でめちゃめちゃしゃべることもあったりして、そこは前日になると少し憂鬱(ゆううつ)ですね(笑)。でも、現場にいてもとてもオリジナリティーのようなものを感じる台本なので、そういった作品に参加できることはすごく面白いですし、こういう現場に呼んでもらえる喜びみたいなものも同時に感じています」
――情報解禁の際に、「岡田さん脚本のドラマにまた参加できる!という喜びが大きかった」とコメントされていましたが、「そして、生きる」(2019年/WOWOW)以来の岡田さん脚本の作品になりますね。今作の脚本を最初に読んだ時には、作品のテイストとしてどんなことを感じましたか?
「とても広い視点で世界を描くというよりは、近い視点で人間の営みのディテールだったり、息遣いみたいなものを丁寧に描かれている脚本だなと思いました。最近ではあまり目にしないリズム感が宿っている本だなと感じて。オーガニックで勝負してみたら、実はこれが一番おいしいという気持ちになるというか(笑)。軸となる女性3人の、“地に足ついている代わりに、別に行きたい場所があるわけでもないけど、どこにも行けない日々”がゆっくりと丁寧に描写されていて、登場してくるキャラクターにとても愛着を抱きました。愛情みたいなものが芽生えた感じはありますね」
――作品を見ていても、サチたちが抱える息苦しさのようなものは画面越しでもヒシヒシと伝わってきます。登場人物の心情に共感することも多いですか?
「全部に共感ということはないですが、それぞれのキャラクターの、他人と折り合っていくことの“わずらわしさ”だったり、自分の体だけど自分ではコントロールできない“ままならなさ”のようなものは、やっぱりどこかに自分と重なる瞬間みたいなものが描かれているのではないかなと思いましたね。日々の中でどのくらいボコボコにされているかというのは人によって違うとは思うんですけど、『なんか分かるな』というのは感じました」
――今回演じられる市川みねについても、「(演じる上で)模索中」ともコメントされていましたが、キャラクターなどはつかめてきましたか?
「つかめてはいないです(笑)。でも、この現場に限らず、役を演じる上であまりつかめない方が面白いなと思うんです。今回で言えば、自分もみねに『あ、こんな人だったんだ』って驚かされたいと思っていますし、台本でみねの新しい表情だったり、新しい側面が提示されるだけではなく、自分がみねとして人生の時間を進めている中で、みねに意表を突かれる瞬間があったらいいなと思いながらやっているので。ただ、岡田さんが描いている“市川みね”というキャラクターは、人が作った2次元のキャラクターみたいな人物ではないので、ずっとみねを追いかけつつ、みねにも追いかけられつつ、みたいなのが最後まで続くんじゃないかなと思います。現在進行形で登場人物の関係値だったり性格も変化していくようなお話だと思うので、演者側も台本が上がってきてからそのキャラクターを毎回新鮮に更新していくものではないかなと、今作に関しては特に感じていますね」
――あまり役作りをしすぎないようにしているんですね。
「そうですね。オリジナル作品でもあるので、役作りしようもないというか(笑)、岡田さんのみぞ知るみたいなところもあって。やっぱり、前もって家で『うーん』と考えて自分で出した答えよりも、現場で起きることでかたどられていく方が、いろいろな人のエネルギーが交ざったものになって絶対に面白いと思うんですよ。そういう、“見たことがないもの”の方が面白いと思うので、1人で決め込んでということはしないです。岡田さんの脚本は、特にセリフが生っぽいというか、いい意味でノイズのようなものが交ざっているというか。『あのー』『えっと』みたいな、物語の進行としては別にそぎ落としてしまっても問題のない会話の中のぜい肉みたいなものが残されていたりするので、そういうものもサチ、翔子、若葉と向き合った時のやりとりの中で湧き起こる即興性みたいなものでやった方がセリフともフィットするだろうなと感じるので、最低限やらなければいけないことはありつつも、事前に決め込むことはあまりしたくないんです」
――みねは、突然サチや翔子の前にフラッと現れたりするシーンもあって、一見変な人という印象も受けそうですが、そういう“一歩間違えれば危ない人”にならないようにするためのバランス調整も、演じる上ですごく難しいのではと感じます。
「(うなずきながら)いやぁ、そうなんですよ…難しいんですよね(笑)。演じ方によっては『ちょっとはみ出しすぎじゃない?』という受け取られ方もされかねないキャラクターなんですけど、でも受け取り方は人それぞれだし、いくらこちらが計算してやったとしてもみんなが同じ方向に誘導されることはないので、みねの思いをくんで、彼に対して失礼がないように誠実にやっていくという感じですね。そこはあまり計算する感じではないかもしれないです」
――第3話では、サチ・翔子・若葉を前にみね自身の生い立ちを長ゼリフで語るシーンもありましたが、あのシーンも3人が突き離さずに受け止めているのが印象的でした。みねにとっても作品にとっても3人組は欠かせないと思いますが、演じる清野さん、岸井さん、生見さんの印象を教えてください。
「お三方ともやっぱり全然違うので面白いですね。岸井さんは事務所が一緒で、僕が最初に会った事務所の人が岸井さんだったんです。清野さんも、昔から何度か共演させていただいているので、そういう意味ですごく安心感がありましたね。セリフもですけど、描かれる人物造形みたいなものも岡田さんカラーの特殊な感じで、不思議なプレッシャーがかかるような現場だったので、清野さんと岸井さんがいてくださったことはとても安心材料になって助けられています。3人とも全然違って、個性的なので本当に面白いです。3人がコミュニケーションを取られている姿を見ているのもほほ笑ましいですし、個別にいろいろとお話を聞くと、そこにはそれぞれの世界が広がっていて。3人とも自分とは離れたかいわいのところに趣味を持っていたりするので、そういうものを教えてもらうのも楽しいです。それぞれ非常にいい距離感なんだろうなと思っています。それぞれが独自のものを持っていて、それに侵略しすぎず踏み込みすぎることもないから、お芝居をする上では非常にやりやすい空気なのではないかなと思いますね」
――作品を通して、3人が談笑している様子をみねが遠目から温かく見守っている描写もありますが、岡山さんから見てサチ・翔子・若葉の3人組の魅力はどのように感じていますか?
「切実さやけなげさですね。やっぱり、生きている上でほとんどのことが自分の操縦の利かないところで運んでいくと思うんですけど、そういうものに打たれながらも腐らず、折れない。特にサチは、そういった強制力の中で不思議な形に歪曲(わいきょく)してしまっている部分もあると思うんです。でも、お母さんだったり、周りの人だったり、自分の生活という大切なものは絶対に手放さないようにしているところは、胸がキュンとなります。本人たちは自覚していなかったりするんでしょうけど、そういうピュアさみたいなものがいとおしいですね。誰に見せるわけでもない、苦しい中でも生き続けて大事なものを守り続ける姿勢って、本当に計り知れない美しさがあるというか。客観的にドラマとして描かれることで、みねだったり、視聴者の方がたまたま目撃してしまった時に、人のそういう部分も『美しいな、透き通っていて奇麗だな』という気持ちにはなりますね」
――作品では、みねも含めて“人との出会い”によって少しずつ物語が動いていきますが、岡山さんの人生に大きな影響を与えた“出会い”を教えてください。
「事務所に入ったことですね。事務所に入っていなかったら、少なくとも表面的には全然違う場所で過ごしていたと思うので、事務所の人に見つけてもらえたのは分かりやすい大きなターニングポイントだったのかなと。人との出会いでいうと、多すぎてピックアップしづらいですけど、一つでも履き違えていたら全く違う場所に行きついていたんだろうなと思います。漫画を読んだりするのが好きなんですけど、出会う漫画もそうですし、数回しか会ったことがない人でも、自分の一部になっている節は少なからずあるので、その人が言ったことやその人が見ている世界みたいなものが、多かれ少なかれ自分にも交じっているところはあると思います」
――事務所に入所した時から今にかけての一番の変化というのは、何かありますか?
「いろいろなことを個性として許してもらえたのは大きかったですね。16歳ぐらいの時に両手いっぱいにコンプレックスを抱えているような状態で事務所に入ったんですけど(笑)、社会人としての最低限のマナーは怒ってもらいながら、自分だったらどこかにやってしまいたかったような部分を“個性”として光らせてくれて、認めてくれたことはすごく大きかったと思います。『こういうものに価値がある』という世間一般の価値基準みたいなものってあると思うんですけど、そういうところとは違ったところにその人の面白さみたいなものが見いだされる業界だったので、それは本当によかったなと思いますね。そうじゃなかったら、もっと人が寄りつかない変な人になっていたと思います(笑)」
――最後に今後のドラマの見どころ、視聴者の方へのメッセージをお願いします!
「今を生きる等身大のキャラクターたちが登場するので、ドラマとしてそういう人たちの営みを客観的に眺めた時に、皆さまの中にも浄化される部分がきっと生まれてくるんじゃないかなと思います。それはもしかしたら反面教師なのかもしれないし、登場人物にそのまま(感情が)乗っかることで起こることなのかもしれないですけど、どちらにせよ心が洗われる効果を得られるドラマだと思います。日曜日の夜にまた新しい日々が始まる中で、リフレッシュしてスッキリした気持ちで月曜を迎えるきっかけにしていただきたいです。何より、チャーミングなキャラクターがたくさん出てくるので、なんとなく目で眺めていても楽しいと思います。登場人物たちは結構つらい目にあっていたりするんですけど、それでも楽しいドラマになっていると思うので、明るい気持ちで月曜を迎えてもらうために、ぜひ気軽にチャンネルを回して見てみてほしいです」
【プロフィール】
岡山天音(おかやま あまね)
1994年6月17日生まれ。東京都出身。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」、ドラマ「同期のサクラ」(日本テレビ系)、「最愛」(TBS系)、「恋なんて、本気でやってどうするの?」(フジテレビ系)、映画「ポエトリーエンジェル」(2017年)、「王様になれ」(19年)、「青くて痛くて脆い」(20年)、「キングダム2 遥かなる大地へ」(22年)、「BLUE GIANT」(23年)など、多くの作品に出演。主演映画「笑いのカイブツ」が公開を控える。
【番組情報】
「日曜の夜ぐらいは. . .」
テレビ朝日系
日曜 午後10:00〜10:54
※放送終了後、TVer、ABEMAで最新話を1週間見逃し配信
※TVer(https://tver.jp/series/srf2ejuoxr)では第1話〜第3話を無料配信中
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【締切】2023年6月16日(金)正午
【注意事項】
※ご当選者さまの住所、転居先不明・長期不在などにより賞品をお届けできない場合には、当選を無効とさせていただきます。
※当選で獲得された権利・賞品を第三者へ譲渡、または換金することはできません。
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取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/尾崎篤志
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