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河合優実、初の連ドラ主演作「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」は「最初から面白いものになるっていう気持ちがずっとあった」2023/05/10

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」河合優実

 NHK BSプレミアムでは、5月14日にプレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(日曜午後10:00)がスタート。放送を目前に控え、連続ドラマ初主演に挑んだ河合優実が、作品の魅力、撮影エピソードなどを語った。

 岸田奈美氏がブログにつづった笑えて泣けるエッセーに、家族や関係者への取材によるエピソードや、独自の視点での脚色を加えて河合優実の主演でドラマ化する「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」。ベンチャー企業家だった父は急逝し、母は突然車いすユーザーに、弟はダウン症、祖母は物忘れの症状が…。そんな岸田氏の家族をめぐる「楽しい」や「悲しい」など一言では説明ができない情報過多な日々の出来事をまとめた、笑えて泣けて考えさせられて、心がじんわり温かくなる自伝的エッセーは、インターネットで発信すると瞬く間に注目を集めて書籍にもなった。

 そんなエッセーに、家族や関係者への取材によるエピソードや、独自の視点での脚色を加えてドラマ化する本作で、主人公・岸本七実を河合が演じ、彼女を見守る両親として、母役に坂井真紀、父役に錦戸亮、ダウン症の弟役にはオーディションを経て新人の吉田葵を起用。祖母役は美保純が務める。演出は、国内外で高い評価を得る映画監督の大九明子氏が担う。

河合優実、初の連ドラ主演作「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」は「最初から面白いものになるっていう気持ちがずっとあった」

 河合は、原作について「私の感覚で言うと、今演じている七実よりもご本人の方が底抜けに明るいかもしれないです。原作からは離れて、ドラマ上の七実を作っている感覚なので、若干の違いはあるんです。でも、岸田さんが生まれ持っているエネルギーと家族に対する愛は、本当に受け取るものがありましたし、すごくエネルギッシュな文章で、読んでいるだけで100以上伝わってくるというか。人物像っていうよりも、エネルギーみたいなものを受け継いだ感じです」と触れつつ、「現場にお母さんと弟さんと3人でいらしてお会いした時に、本当に思った通りの、手を取り合って生きてきた3人、明るく温かく生きてきた3人を体感しました。その日を境に、どんな結果になっても、何を描いたとしても、本当に岸田家に胸を張って『心をこめて一生懸命家族のドラマを作りました』って言えるようにはしたいと、強く思うようになりました」と明かす。

 台本を読んだ際の印象は、「一話一話読み進めていって、こんなに面白いと実感できる台本もなかなかないというのが、最初の正直な印象でした。連ドラをがっつりやったことがなかったので、映画より長いスパンで主人公が展開していく感じというか、話が変わるごとに次へと転んでいく感覚が新鮮で、面白かったです。家族だけにとどまらず、ちゃんと作家としての七実っていうところまで踏み込んだり、ドキッとするところがたくさんありました」と述べる。

 また、連ドラ初主演であることに関しては、「お客さん目線になるくらい面白い読み物として台本を読んでいたので、クランクインしてみて、主人公としての七実を意識するようになりました。常に動き回って、直接ストーリーの推進力になるタイプの主人公でした。出演しているシーンが9割みたいな感じだったので、物語を背負っていくという実感は、演じながらどんどん強まっていきました」と率直な心境を伝える。

 そんな中、劇中で、10年近い期間を3カ月間で演じるという初めての経験をしたということで、「劇中で20代後半に差し掛かった時、高校時代を演じていた時は思ってもみなかった気持ちとか家族の状況に直面したり、フィクションとして演じているんですけど、本当に年を重ねている感じが自分の中に起きてくるんだなというのは、今までにない発見でした。最初の頃を思い返すとすごく昔に感じますし、子どもだった気もするし、3カ月なんですけど長いようで短いようで不思議な濃さのある時間でした」と新鮮な感覚を覚えた様子。

河合優実、初の連ドラ主演作「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」は「最初から面白いものになるっていう気持ちがずっとあった」

 さらに、七実の弟・草太に扮(ふん)する吉田に対しては、「彼がダウン症であることを忘れてしまうくらい、本当に楽しく一緒に弟として接しているし、自然に関係を築き上げてきていると思います。クランクインする前に家族のキャストみんなで会う時間があったんです。私もダウン症の方とお芝居したこともないし、ちゃんと面と向かって会話したこともなかったので、構えるフィルターはありましたけど、部屋に一歩入ってあいさつしたところから、本当に葵くんと仲良くなりたい、葵くんとおしゃべりしたいということしか思わなかったです。本当に最初の数秒で構えはなくなりました。それは人と人として、私が吉田葵くんにひかれたから、面白いと思うから、かわいいと思うから、それしかないですね」とあっという間に打ち解け、本物の姉弟のような気持ちになったことを報告。

 加えて、「葵くんにとって、苦手だったり時間がかかることがあるのは事実なので、彼に演じてもらうっていうのはすごく大きなことで、やっぱり簡単なことじゃなかった」と現場での状況もうかがわせ、「ドラマでこういうことをしている作品をあまり見たことがないし、日本の映像作品の中では大きな一歩で、みんなそこに対して努力をしたと思います。葵くんができないこと、立ち止まってしまっていること、時間がかかっていることに対して、みんな思いやろうと努めています。本来、それは葵くんに対してだけじゃなくて、みんながみんなに対してすることだっていうのは考えますね。そしてこの作品で葵くんが希望や勇気を与える人が日本中にどれだけ居るか、それを誇りにさえ思います」と吉田との共演を通して、感じることは多かったようだ。

 そして、大九監督との作品作りには「後半にかけて思い悩むこととか、話し合わなきゃいけないこととか出てきましたけど、大九さんならではの思ってもみなかったような動きを突然要求されたり、このカットって何?みたいな、今、何を撮っているの?みたいな、分からないことに乗っていくのがすごく楽しかったです。特に七実が幼くて、人を笑わせるということを純粋に楽しんでいた時代を撮影している時の、大九さんの生き生きとした演出はめちゃくちゃ楽しかったですね。どうなってもいいからとりあえずやろうと思って。私も面白がってもらうことは好きだから喜々としていろいろ試してしまい、そのサービス精神が行き過ぎていないか、ちょっと待って、冷静になろうという瞬間はありました」とうれしそうに振り返り、「個人的にも、関西弁でここまでしゃべりまくって、笑ってほしい、褒めてほしいっていう役もなかったので、自分のまだ開けたことない扉を開ける感じがしてすごく楽しかったです。家族を支えて困難に立ち向かっていく主人公を誰かが描くとして、ここまで変でひょうきんでポンコツで駄目だっていう、こんな角度からの主人公って大九さんだからだし、岸田さんだからだなと感じました。大九さんと七実の相性がすごくよかったんだろうなって思います」と手応え十分。

河合優実、初の連ドラ主演作「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」は「最初から面白いものになるっていう気持ちがずっとあった」

 最後にあらためて、「最初からこれは面白いものになるっていう気持ちがずっとあって。撮っている時にそういう手応えがあることってなかなかないので。大九さんが編集しないと私も分からない部分がたくさんあるけど、感覚的に、この人にゆだねたら自分が現場で感じているより、もっと鮮やかなものができるんじゃないかって思いが、日に日に増していきました」と確信を得たことを口にし、その中でも「一番大きかったのは、ちゃんとこの家族を実感できたことです。葵くんっていうものすごい光を持っている弟がいて、素晴らしい先輩方が大きく自由に居てくださって、ちゃんと3カ月間家族が関係を築き上げられたと思うんです。沖縄でメインビジュアルの写真を撮影して、それを拝見したんですけど、その写真1枚を見るだけで、これはいいドラマになったぞって、本当にそう思いますね。大きな言葉を使うと、この家族に愛が生まれたと思います」と目を輝かせた。


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