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一ノ瀬颯がヒモ役に挑戦！ 「一筋縄ではいかない宗一に視聴者の皆さんを引き込むことができたらいいな」――「私がヒモを飼うなんて」インタビュー2023/05/02

　TBSとマンガボックスが共同制作している完全オリジナル漫画「私がヒモを飼うなんて」、通称「わたヒモ」を実写化した「私がヒモを飼うなんて」が、同局の深夜ドラマ枠「ドラマストリーム」で放送中。ドラマでは原作のエッセンスを生かしながら、オリジナルのストーリーを紡いでいます。

　今回は、主人公・蒼井スミレ（井桁弘恵）と叶百合（トリンドル玲奈）のヒモ・竹之内宗一を好演する一ノ瀬颯さんにインタビュー。本作出演への意気込みや、ヒモ役を演じる上で気をつけたことなどを語ってくれました。さらに、初めて本格的に胸キュンシーンに挑戦しているという一ノ瀬さんの、心配りあふれる撮影のエピソードも明かしてくれました。

――まずは出演が決まった時のお気持ちをあらためてお聞かせください。

「まさかのヒモ役を演じさせていただけることになり驚きました。こういった取材で『今後どんな役に挑戦してみたいですか？』と聞いていただくことが多いのですが、その時にそもそも選択肢として上がらないタイプのお仕事が来たなと（笑）。これまでヒモ男子を扱う作品自体あまり多くはなかったと思うので、もしかしたら自分がヒモの印象を決める大事な使命を背負っているかもしれないなとも思いました」

――確かに珍しい設定ですよね。

「経済的に他人に依存している人を表す『ヒモ』という言葉には、世間一般的にマイナスなイメージが強いと思います。本作ではそんな人を最終的にはいい人だと思ってもらわないといけないので、ヒモ男子が必ずしも悪いわけではないことを伝えられるように。少なくとも宗一が魅力的に見えるように頑張ろうと思いました」

――一ノ瀬さんが考える宗一の魅力はどこですか？

「ヒモにもいろいろな形があると思うのですが、宗一にはヒモにするメリットがあると思います。自由奔放なキャラクターですが、相手のことを大事にするという人として大切な要素を持ち合わせているところはやはり魅力的です。いわゆる“飼い主”であるスミレや百合のことを大切にしていますし、ある程度自立もしている。おいしいご飯も作れるので、そういう面でも飼うメリットはあるのかなと」

――では、性格的な魅力はどこだと思われますか？

「ミステリアスなところです。何を考えているか分からなくて、一筋縄ではいかない宗一に視聴者の皆さんを引き込むことができたらいいなと思って役柄を作り上げました。あとは、しっかりとした考えを持っているところ。相手の悩みを聞いて励ましたり、尊敬していることを素直に伝えたりできるのも宗一のいいところだと思います」

――桐谷森生を演じる西垣匠さんが、「宗一は難しい役柄だから、演じ切っている颯くんがすごい」とおっしゃっていました。

「そうなんですか!?　うれしいです！　普段はいじってくることが多いので（笑）」

――そうなんですね（笑）。ご自身でも演じる上で難しさを感じていらっしゃいますか？

「やはり難しいですね。思った通りに行動しない“猫っぽさ”を意識して演じているのですが、そこは自分と違う部分なんです。僕は犬っぽいと言われることが多くて、今まで演じた役もどちらかといえば犬派のキャラクター。思ったことを口にしたり行動したりする役が多かったのですが、本作では思っていることと真逆の言動を取らないといけないので、そのあんばいが難しいです。対面している相手役には、思いと真逆の行動だと信じ込ませるようにしないといけない一方で、視聴者の皆さんにはどちらが本心か分からないようにするにはどうすればいいのか、かなり悩みました」

――最終的にはどのように演じることにしたのでしょうか？

「常に探り探りの役なので、その都度、監督とプロデューサーと話し合いながら一緒にキャラクターを作っているのですが、基本的には内側に秘めた思いを持ちつつ、セリフはいただいた台本のまま言うように意識しています。実際に見てもらった時にどう映るかは、人によって解釈の幅が生まれるのではないかなと。物語が展開していく中で『あの時の気持ちはそうだったのか！』という細かい気づきもあるので、何重にも楽しんでいただける作品になっていると思います」

「ファンの皆さんにも映像として楽しんでいただけるようにしたくて」

――本作で共演された皆さんの中で、第一印象から変わった方はいましたか？

「思っていたよりもそれぞれが大人っぽくて、いい意味で冷めているタイプだったのが意外でした。年齢的には僕が井桁さんと西垣さんに挟まれているのですが、2人とも落ち着いていて、はしゃぐのがあまり得意ではないらしく、そこは僕とはちょっと違う一面でした。大学を卒業しているという共通点があり、お互いが育ってきた環境が似ていることもあって、特にそういう話では意気投合しました。トリンドルさん含め、同じような経歴をたどってきた4人が集まる現場は珍しいですし、今までとは違う空気感があったと思います」

――本作では胸キュンシーンにも挑戦されていますが、演じてみていかがでしたか？

「壁ドンや手をつなぐ程度のシーンにはチャレンジしたことがあったのですが、今回のような恋愛系の作品に出演させてもらうのは初めてだったので、当初は大丈夫かな…とかなり不安でした。でも、実際に井桁さんと撮影させていただいた時は現場でずっと大笑いしていました」

――大笑い!?

「監督がシーンのニュアンスを伝える時に、気遣いと恥ずかしさが相まって演出について遠回しに説明されていたんです。でも、井桁さんはサバサバしているから『こういうことですよね？』とスバっと直接的な表現に変えていて（笑）。監督が照れている一方で、井桁さんがめっちゃ笑っていたので釣られて僕も笑っていました。正直演じる前は何をどうすればいいのか分からなかったのですが、おかげで変な緊張をせずにリラックスした状態で演じることができて助かりました」

――分からないながらもこだわった点はありますか？

「カメラへの映り方は結構気にしました。自分がやりやすいようにお芝居をすると、カメラの角度によっては不自然に映ってしまう場合があるんです。胸キュンシーンはなるべく奇麗な映像に作り上げたかったので、都度映り方を調整していました。ファンの皆さんにも映像として楽しんでいただけるようにしたくて」

――いつも以上に気にされていたんですね。

「はい。物語の流れの一つではありますが、キスシーンはそれだけで成立する特別なものだと思います。長く時間を取っているシーンですし、予告でも切り取られることが多いので、見ている人にもなるべく好感を持ってもらえる映像にしたくて。いつも以上にカメラが入ってくる角度を気にして撮影に臨みました。しっかり演出として作り上げられていることが伝われば、ファンの方にも受け入れてもらいやすくなるのではないかなと」

――ファンの皆さんへの気遣いが詰まったシーンになっているんですね。では、最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いいたします！

「このインタビューを読んでくださっている方々に、皆さんが宗一に対してどんな印象や気持ちを抱いているか聞いてみたいです。マイナスな印象なのか、それとも魅力的だと思ってくれているのかをコメントなどで教えてもらえたらうれしいです！　そして、物語終盤に向けて、宗一と登場人物たちの関係性がどうなるかが見どころになっていると思うので、ぜひ最後まで楽しみにしていただけたらと思います！」

　撮影では、人懐っこさあふれる笑顔でカメラマンと会話をしていた一ノ瀬さん。取材では、慎重に言葉を選び、時には訂正しながら宗一を演じる上でのこだわりを語ってくれました。インタビュー後には、「あの部分もしかしたら伝わりにくかったかもしれないのですが、大丈夫でしょうか」と一言声を掛けてくださる配慮ぶり。ファンの方々への思いと、一つの作品に真摯（しんし）に向き合う様子が伝わるインタビューとなりました。

取材・文／TBS担当　松村有咲　撮影／蓮尾美智子

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