坂東龍汰「門脇さんの芝居に自然と感情があふれてきた」――「リバーサルオーケストラ」インタビュー2023/03/01
門脇麦主演の連続ドラマ「リバーサルオーケストラ」(日本テレビ系)。田中圭演じる“毒舌マエストロ”の常葉朝陽にスカウトされ、突如地元のオーケストラ・児玉交響楽団、通称・玉響のコンサートマスターを務めることになった“元天才バイオリニスト”の谷岡初音(門脇)が、個性豊かな楽団員たちと共に奮闘しながら、ポンコツオーケストラを一流オーケストラへと大変身させていく爽快感抜群な音楽エンターテインメントだ。
必ずどこかで聞いたことのあるクラシックの名曲に乗せて進んでいく軽快なストーリーと、本作の最大の見せ場である玉響の圧巻の演奏シーンに加えて、初音を取り巻く恋模様も見どころに。
今回は、そんな初音に思いを寄せる玉響のフルート首席・庄司蒼役の坂東龍汰に直撃! 初音を思いきり抱き締め思いを告げた蒼の姿に、「かわいい」「キュンとした」という声が続出するなど視聴者を魅了してやまない坂東に、初音と蒼の関係について、楽器を演奏することと演じることの共通点、そして終盤の見どころなどを語ってもらった。
――庄司蒼を演じ始めてから結構たちましたが、彼の人柄をどう感じていらっしゃいますか?
「今(取材時)は第8話ぐらいまで撮影しているのですが、第1話、2話とはうって変わって、明るくポジティブな部分が出てきていますよね。第6話で初音にも気持ちをしっかりと伝えて、かなり積極的にもなっています。第2話で初音に救ってもらったという思いもあるので、初音や穂刈良明さん(平田満)みたいに、自分も人の役に立ちたいという心の変化のようなものも見えてきて、とても演じがいのある役だなと感じています」
――最初の頃は楽団員とも距離を置いていて、何を考えているのか分からないといった感じでしたよね。
「そうですね。第2話では、自分の課題や乗り越えなければいけないことを初音に力を借りて乗り越えていって。最初の頃はいろいろとかせになっている部分があって、ちょっとつかめないキャラクターみたいに映っていたのですが、第3話以降は、家での2人のシーンもあったので、殻を破って、徐々に本来、蒼が持っている明るさや人柄、人間性みたいなものが出ています。そのグラデーションを大事に…といっても、もうだいぶ出ちゃっていますけど(笑)、キャラクターを守りつつ、あまりはっちゃけすぎないようにと心掛けています。あとは、周りのキャストの皆さんは結構インパクトのある方々も多いので、その中でうまく引き算と足し算をしながら最終話までやっていけたらなと思っています」
――第6話では初音を抱き締めて思いを告げるシーンもありました。台本を読んだ時はどう感じましたか?
「第5話で穂刈さんが『僕は8回告白しましたよ』と言って、蒼が『粘り勝ちですね』って返すシーンがあるんですが、僕はあのシーンがすごく好きで。ドラマの中で一番好きなシーンかもしれないんですけど、そこで『思いを伝えられる日が来ると思いますよ』『来ますかね?』みたいな会話をした次の話での告白だったので、『結構、展開早いな!』とは思いました。でも、蒼が思いを伝られて、本当によかったなと思いましたね。台本を読んでいても、本当にもうずっと初音のことが好きじゃないですか。第2話ぐらいから、もう恋している顔をしているんですよ」
――(笑)。第4話で三島彰一郎(永山絢斗)にハグされた後、初音の表情が曇っているのを蒼が心配そうに見ている場面を見て、「蒼くん、初音のこと好きじゃん!」って思いました。
「確かに!(笑)。僕自身はあまり気にせずに演じていたんですが、放送を見たらめちゃくちゃ初音を見ていましたよね。ほかにも初音を見ているカットが多すぎるでしょ、って僕も思うくらい。でも、それが見てくださっている方には『もしかして蒼くんは初音のことが好きなんじゃないか?』って思ってもらえていたなら良かったです(笑)」
――蒼は初音と出会って人生が変わりましたが、蒼にとって初音はどういう存在だと思いますか?
「僕自身が役者になりたいって思っていた当時は、思っていても全部が全部うまくいくわけじゃなくて、それこそ僕もお金がなくて住み込みのバイトをしたり、掛け持ちでいろんな派遣のバイトをしたりしていたんです。東京に出てきてからも、友達もいなくて結構孤独な思いをしていた時期があったので、そのタイミングで出会った友達や横にいて支えてくれた人は、今も僕にとってすごく大事な存在になっています。門脇さんと一緒に第2話のシーンを演じている時に、門脇さんの言葉や演技から伝わってくるものがたくさんあって。感情が自然とあふれてくるという経験を芝居の中でしたことがなくて、これまでは自分の中で作り込んでいって現場で出すという感じだったんですけど、この感覚は初めてでした。お芝居で実際に心が動かされたということも貴重な経験でしたし、演技の引き出しを増やしてもらいました」
――それだけご自身の経験とリンクしていたということでしょうか?
「この蒼という役に関しては、結構重なる部分は多かったです。僕の実家はワイナリーをやっていて、僕自身はそこを継ぐか継がないかという話はしたことがなかったんですけど、どこかで『おやじはもしかしたらやってほしいっていう気持ちがあったりしたのかな』って考えたこともありました。でも、そこについては特に何も言われないまま上京してきて、下積み時代のお金がない生活も僕は知っているので、そういった部分では蒼の気持ちはよく分かりましたね」
――そうすると、内面的な役作りはあまり難しくなかったですか?
「ある種、過去の自分の等身大な部分を思い出しながら感覚をつかんでいった感じです。でも、役作りは今回が役者人生の中で一番大変でした」
――フルートの練習は本当に大変ですよね。
「フルートをどこまでこだわって見せるかという部分が難しくて。もちろんなめていたわけではないですけど、ある程度はふりで吹けている感じでもいいのかなって思っていたんです。でも、いざ実際に演奏してみるとそうもいかなくて。運指がちゃんと一つ一つ音階で決まっていて、子どもの頃のリコーダーみたいに吹いているように見えるだけとは違うんだなと感じました。どこまで求められるのか、自分がどこまでこだわってやるのか、先生からどんなことを言われるのか、その辺をすり合わせていくことが難しかったです。今でもずっと手探りではあるんですが、僕のメイン回が第2話で、みんな何もつかめていない状態での演奏シーンの撮影だったので本当に大変でした。第1話、2話の演奏シーンで、僕は結構いろんな曲を演奏したんです。モーツァルト、『アルルの女』『威風堂々』『ラデツキー行進曲』『ウィリアム・テル序曲』、第1話で演奏した『ファランドール』もソロがあって…楽しかった記憶もたくさんあるんですけど、フルートに関していうと、大変だった記憶の方が多いかもしれないですね」
――今でも長時間練習されているとSNSで拝見しました。
「今は最終話に向けてすごい曲を練習しています。第1話、2話の時のトラウマがよみがえってきそうな過酷な曲が2曲あるので、昨日も3時間ぐらい練習していたのですが、楽譜を理解するだけで3時間かかってしまって。それでフルートを一切吹かなかったので、これはちょっと大変そうだなと思いましたね。最初に吹いた曲は2カ月ぐらい準備期間があったんですけど、今回は撮影までもう1カ月もないんです。それで7分と6分の曲を2曲練習しているんです」
――プロの演奏家の方でももっと練習しますよね?
「そうなんですよ! 僕に教えてくださっている先生も『吹けない』って言ってましたもん(笑)。『これ、かなりさらわないと無理でしょ』って。しかも、その先生は過去に一度演奏したことがある曲で何回もさらっていたはずなのに、昨日の練習の時に『ちょっと無理だわ』って言っていて、『え? それを僕が吹くんですか?』っていう。演奏はとっても大変です」
――ほかのキャストの皆さんも練習されていますが、その中で影響を受けることはありますか?
「楽器が違うのであまり比較することはないですが、多分みんなが思っているのは『自分の楽器が一番難しい』ということですよね。それはもう理解しがたいもので、やってみれば分かるんですけど、僕もやっぱりフルートが一番難しいだろうなと思っています。僕が演奏したことがあるバイオリンもギターもすごく難しいんですけど、ドラマで演奏シーンを再現するという意味では、フルートが本当に一番シビアだと思います。運指が全部決まっていて、抑えている箇所が違うだけで全部NGなんです。何回もやり直して、やり直して…」
――経験者は見たら違うことに気付くから…ということですよね。
「そうなんです。先生も『練習してできたことは本番でもできるから』っておっしゃっていて、僕もそう思っています。なので、そこにはすごく時間を割いていただいていますね。一切妥協はないです。そういう細かい部分までできるだけこだわって、いいものをお届けできればと思いながら、日々撮影しています」
――表現するという意味では音楽と芝居は似ている部分があるのかなと思うのですが、その辺りはどのように感じていらっしゃいますか?
「共通項はたくさんあると思いますね。今でこそ芝居ではそんなに緊張しなくなったんですけど、いろんな作品でいろんな役を演じてきた今までの経験や場数を重ねることで、少しずつ心に余裕が出てきたり緊張がなくなってきたりするのかなって、あらためて今回確認できたんです。演奏シーン、めちゃくちゃ緊張するんですよ。全く自覚がないのに、モニターチェックをしたら手がすごく震えていて、高速でトリルしているみたいに見えている時とかあって。こんなに何かを自分で表現する現場ってあまりなくて、俳優になったばかりの頃を思い出しました。どの現場に行っても足震えていましたし、緊張して声も震えちゃって…。僕は極度の緊張しいなんです。役者をやりたいと思う前にも舞台はやっていたんですけど、『もう極力セリフがない役で』と言っていたくらい、本当に緊張しいなので。実際に人前でコンサートをして、フルートを吹いて…ってなったら、もっともっと緊張するんでしょうね。想像したくないくらい緊張するんだと思うんですけど、ドラマの撮影ではカメラ4台ぐらいが自分だけを撮っていて、間違えられないあの空間はすごく緊張しますね」
――たくさん練習して、たくさん緊張して…その分、達成感もすごく感じられそうですよね。
「達成感はすごくあります。あの感覚を一度味わってしまえば、『あ、またこの感覚を味わいたいな』と思うようになって、アドレナリンみたいなものが出るので、最後まで乗り切れる気はします。みんな、何だかんだ言いながらも本番はできちゃうんです。それが本当にすごいなって感じます」
――ドラマを見てオーケストラに興味を持ち始めたという方も多いと思いますが、坂東さんは実際に楽器を演奏されて、オーケストラの見方が変わった部分などはありますか?
「クラシック音楽の聞こえ方は明らかに変わりました。今までは、やはり楽器の音や楽譜の構成を知らなくて。1曲が40分ぐらいあるんですよ。それをフルで聞いてみるという経験が今まではなかったので、日常の中で1曲40分の曲をフルで聞くことが習慣になると、ジプシーはジプシーの、チャイコンはチャイコンのストーリーやその曲の小節ごとに伝えたいことに気づき始めたりして。僕のその解釈は自分なりの解釈なので合っているかは分かんないんですけど、それをみんなと共有するのがすごく楽しいです。クラシックって今までは本当にちんぷんかんぷんで、混ざり合った一つの音に聞こえていたんです。でも、ティンパニーやフルート、ピッコロのような音の一つ一つを感じられるようになって、表現したい時に代わる代わる視線が合ったりする。そういうのもすごいなって。あと、この曲を作った人って、どういう人だったんだろうって思ったりもしますよね。よくこんな曲作ったな、尋常じゃないなって」
――では、放送もクライマックスが近づいていますが、蒼の見どころや作品の今後の見どころを最後にお伺いできますか?
「それは音楽シーンですね。兎にも角にも音楽シーンです! 僕もまだどうなるのか分からないんですけど、今は第9話、10話で演奏するシーンを必死で練習しているので、それがたぶんすごいシーンになると思うので、そこに注目していただけたらと思います。蒼くんに関していうと、恋の行方ですね。その辺りも楽しみにしていただけたらと思います」
――最終回まで楽しみにしています。ありがとうございました!
朝早くの取材にも関わらず終始にこやかに答え、最後はプレゼント用チェキに「フルート描いちゃおう!」「バイオリンは弓だけにしよう」とにっこり。そんな彼の人柄が、蒼の仲間思いで優しく、穏やかな人柄にも映し出されているような気がした。そんな坂東が心血を注く「リバーサルオーケストラ」も残すところ、あと3話。初音、朝陽、蒼をはじめとする“玉響”の行方とは? 感動のラストまで見逃せない。
【プロフィール】
坂東龍汰(ばんどう りょうた)
1997年5月24日生まれ。北海道出身。主な出演作にドラマ「真犯人フラグ」(日本テレビ系)、「この初恋はフィクションです」(TBS)、「未来への10カウント」(テレビ朝日系)、「ユニコーンに乗って」(TBS系)、映画「十二人の死にたい子どもたち」(2019年)、「弱虫ペダル」(20年)、「峠 最後のサムライ」(22年)など。映画「春に散る」が今年公開予定。
【番組情報】
「リバーサルオーケストラ」
日本テレビ系
水曜 午後10:00~11:00
【プレゼント】
サイン入り生写真を2名様にプレゼント!
TVガイドweb公式Twitter @TVGweb (https://twitter.com/TVGweb)をフォローし、下記ツイートをリツイート。
https://twitter.com/TVGweb/status/1630742124684800005
【締切】2023年3月22日(水)正午
【注意事項】
※ご当選者さまの住所、転居先不明・長期不在などにより賞品をお届けできない場合には、当選を無効とさせていただきます。
※当選で獲得された権利・賞品を第三者へ譲渡、または換金することはできません。
※賞品をオークションに出品する等の転売行為は禁止致します。また転売を目的としたご応募もご遠慮ください。これらの行為(転売を試みる行為を含みます)が発覚した場合、当選を取り消させていただくことがございます。賞品の転売により何らかのトラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いませんので、予めご了承ください。
※抽選、抽選結果に関するお問い合わせにはお答えできませんので予めご了承ください。
取材・文/K・T(日本テレビ担当) 撮影/尾崎篤志
この記事をシェアする