町あかりのプレイリスト~テレビのうた~◆その9:ロマンチックなテレビドラマ関連曲5選2023/02/18
日本でテレビ放送が開始から70年。ドラマ主題歌やCMソングなど、テレビによって国民に周知された楽曲は無数にあります。その昭和から令和までテレビを通して愛された楽曲について、平成3年生まれのシンガー・ソングライターの町あかりが、独自の目線で語る連載が「町あかりのプレイリスト」です。
暦の上では立春を過ぎ、1年で最も寒いと言われる時期ですね。恋人や友人、家族と一緒にバレンタインデーを楽しんだあなたも、「関係ない!」と堂々とわが道を進むあなたも、みんなでハートフルな楽曲を味わって、心と体を温めませんか?
第9回では「ロマンチックなテレビドラマ関連曲5選」と題して、テレビドラマをきっかけに愛されてきた珠玉の名曲をセレクト。そっと寄り添ってくれるような、愛情たっぷりのリストを作ってみました。
1曲目は、財津和夫「サボテンの花」(1975年)。本曲はチューリップのシングルとして発売されてから18年が経った93年に、フジテレビ系ドラマ「ひとつ屋根の下」の主題歌として起用され、再び脚光を浴びました。江口洋介さんが主演を務めたこのドラマは、最高視聴率37.8%を獲得。これはフジテレビドラマ史上最高記録でもある伝説的な作品です。
楽曲は冬の失恋ソングで、後悔にさいなまれながらも春に向かって前向きに歩んでいく心情が描かれています。フォークギターのキラキラした音色から、白い雪がしんしんと降り積もっていく様子が浮かびます。財津さんによるメロディーと歌声が人肌ほどの温もりを感じさせ、優しく包まれている気持ちになるんですよね。冬だからこそ、この温かさがいとおしい! 寒い季節にピッタリの1曲です。
次は、Le Couple「ひだまりの詩」(97年)。フジテレビ系ドラマ「ひとつ屋根の下2」の挿入歌として起用されたことがきっかけで話題となり、年間シングル売上ランキング第3位に。同年に日本レコード大賞優秀作品賞を受賞し、大みそかには「NHK紅白歌合戦」でも披露されました。夫婦デュオとしてデビューしたLe Coupleがヒットに至るまでには、全国631カ所もの有線放送をワゴン車で回り、宣伝活動を行ったこともあったそう。そんな下積み時代の地道な努力が身を結んでの大ヒットでした。
本曲も「サボテンの花」と同様に、失恋ソングでありながら愛してくれた人への感謝と未来への希望が描かれています。感情的になりすぎない、淡々としたリズムとメロディーが心を落ち着かせてくれます。受験シーズン真っただ中の学生さんにも、おすすめの1曲。飾らない素朴な歌声が、令和の喧騒(けんそう)を生きる人々の心を癒やしてくれるはずです。
3曲目は、Crystal Kay「恋におちたら」(2005年)。フジテレビ系ドラマ「恋におちたら~僕の成功の秘密~」の主題歌に起用されました。「恋」とは人間同士の恋愛のみにあらず! 本ドラマは草彅剛さんが主演を務め、借金を背負った主人公によるITベンチャーでの成功と転落、葛藤を描いた企業ものドラマです。主人公は仕事に恋をした、ということかもしれません。
作曲はシンガー・ソングライターの坂詰美紗子さんが担当し、後にセルフカバーもされています。Bメロで高音域のメロディーが続いた後、サビのどっしりと落ち着いた雰囲気がまるで親しい友人に語りかけられているような安心感を与えてくれます。寂しい時も1人じゃない。不安な時は初心を思い出してみよう。シンプルだけどそっと寄り添い、大切なアドバイスをくれる愛のこもった1曲です。
4曲目は、天地真理「恋は水色」(71年)。天地さんはTBS系ホームドラマ「時間ですよ」で、“隣のまりちゃん”役として窓辺で白いギターを抱え「恋は水色」を歌唱。その初登場シーンが話題を呼び、スターへの階段を一気に駆け上がります。本ドラマのオーディションの際、不採用となった天地さんを見ていた森光子さんが、演出の久世光彦さんに急きょ提案したことが出演のきっかけだったそうです。その後、「水色の恋」「ひとりじゃないの」「恋する夏の日」など、数々のヒット曲を発表した天地さんの活躍を見ると、森さんのセンスと直感は本当にすごい!
劇中で歌った「恋は水色」は、原題「ラムール・エ・ブル」というフランスの楽曲のカバー。当時、ポール・モーリアがインストゥルメンタルでリリースし日本でも大ヒットしました。青い空と海の色が溶け合うように、2人も一つに結ばれる…。天地さんの透き通るような歌声が甘く切ないメロディーにぴったりで、高度経済成長期の多感な若者の心を癒やしたのでしょう。“隣のまりちゃん”は時代を超えて、今もなお私たちにほほ笑みかけてくれるのです。
最後は、中村雅俊「時代遅れの恋人たち」(78年)。中村さんが主演を務める日本テレビ系ドラマ「ゆうひが丘の総理大臣」の主題歌に起用されました。「ソーリ」というあだ名の英語教師と個性豊かな生徒たちが繰り広げる学園ドラマで、由美かおるさん、神田正輝さん、宍戸錠さんら、そうそうたる昭和スターが出演しました。
作曲は筒美京平さん、作詞は山川啓介さんが担当。都会の雑踏を感じさせる疾走感のあるイントロの後、すぐにカントリー調のリズムに変わる点も「自然派讃歌」といった趣で、大村雅朗さんによる名編曲が光ります。めまぐるしく変わる世の中を生きる若者たちに、気取らずありのままの心で愛し合うことの美しさを教えてくれるのです。都会での暮らしや、SNSにお疲れ気味の方にもおすすめですよ。
いかがだったでしょうか? 今回のプレイリスト(Spotify)はこちらから!
>>https://open.spotify.com/playlist/3e5yPHtip0A9PwkZNljp4D?si=3048610ab3be4dbd
雪深い地域のニュースを目にすることも多い一方で、徐々に日が長くなっているのを感じてうれしい気持ちにもなるこの頃です。遠足だって、最もワクワクするのは準備をしている前日だったりしますよね。春の訪れを待ちわびる今が、一番楽しいとも言えるかもしれません。
また、気温が低くても天気のいい日に歩けば、体が温まって気持ちがいいですよね。テンポのいい散歩には、音楽が一番! 好きな歌を口ずさみながら、冬の寒さを吹き飛ばしましょう。
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町あかり
シンガー・ソングライター。2010年から活動を始め、作詞・作曲、編曲、執筆、イラストや衣装制作まで自身で行う。19年には、ビクターエンタテインメントからメジャー5thアルバム「あかりおねえさんのニコニコ♡へんなうた」をリリース。20年10月に、日本コロムビアから初のカバーアルバム「それゆけ!電撃流行歌」を発売。ほか、アーティストへの楽曲提供も行う。映画「男はつらいよ」と昭和歌謡曲、そして文鳥を愛する。最新アルバム「総天然色痛快音楽」が好評発売中。
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