「探偵ロマンス」制作陣がアクションシーンの舞台裏を明かす! 江戸川乱歩にちなんだ小ネタも紹介2023/02/11
2月11日で最終回を迎える“知られざる江戸川乱歩誕生秘話”が描かれたドラマ「探偵ロマンス」(NHK総合)。濱田岳さんが演じる平井太郎(のちの江戸川乱歩)と草刈正雄さんが演じる探偵・白井三郎の疾走感あふれるアクションで探偵活劇を楽しめるだけでなく、今の時代にも通じる太郎のジレンマやお百(世古口凌)が抱える思いに心を揺さぶられる場面もありました。最終回の第4話で、住良木平吉(尾上菊之助)と対決する太郎と三郎。果たしてどんな結末を迎えるのでしょうか?
今回は、制作統括の櫻井賢さんと演出の安達もじりさん、大嶋慧介さんから、今だから話せる「探偵ロマンス」のエピソードを伺いました!
――乱歩が探偵に弟子入りする話を大嶋さんが見つけたそうですが、最初から乱歩の物語を描きたかったのでしょうか?
大嶋 「そもそも大正時代を舞台にした新しいエンターテインメントが作りたいと思っていた時に、白井三郎のモデルになった実在の探偵の存在を知って。その方が本当にテレビや映画に出てくるような活躍をしていたので、その方をドラマにできないかと考えていた時に、乱歩さんが探偵に入門をしていたというエピソードを聞いたんです。その瞬間に『すごく面白いバディものができるんじゃないか』と思って。ひらめきと妄想から始まりました」
――なぜ大正時代を描きたかったのですか?
大嶋 「ドラマ部の中で海外の人も楽しめるエンタメを作ろうというテーマを聞いた時に、時代劇がいいと思ったんです。僕は時代劇やチャンバラがすごく好きですが、小中高と、学生時代にテレビで見た時代劇の話を友達と一度もできなかったんですよ。それはなぜかと考えた時に、ちょんまげの扮装(ふんそう)や生活習慣が違うから、ハードルが高いのかもしれないと。そうだとしたら、現代から見ても近い時代で、かつ、妄想が抱けるくらいの遠い時代は大正時代なんじゃないかと考えて。現代に通じる日本文化が花開いていた頃で、かつ闇を妄想できる隙間もありそうだから、フィクションの舞台としていいなと思ったんです」
――ドラマの最後の「つづク」の“く”がカタカナになっていたのが気になっていたのですが、どういう意図だったのでしょうか?
安達 「正直言いますと、意味はございません。よく脅迫状で見るような切り抜いた文字風にしてみようという話になって、デザイナーにお願いしたところ“つづク”というデザインが来て、『いいね!』という話になってその形になりました。ほかにも、次回予告の“豫”をはじめ、いろんな文字を旧字体にするというお遊びを入れて楽しんでおりました」
――最初の頃に、江戸川乱歩の作品にちなんだものがいろいろ出てくるというお話がありましたが、どんなものが出てきたのかを教えてください。
安達 「赤い部屋とD坂は、乱歩の小説『赤い部屋』と『D坂の殺人事件』から拝借しました。役名は脚本の坪田(文)さんが考えてくださったんですが、約7割の登場人物が乱歩作品の名字や名前の一部をお借りしています。また、赤い部屋の会員は20人いる設定で、ドラマに登場しない人々はすべて乱歩の小説に出てくる人の名前を組み合わせて作っています」
――会員の名前を確認するのも楽しそうですね!
安達 「ほかにも、第1話でD坂の古本屋のおかみさんとご主人を描いた謎の格子越しの絵が出てきたのですが、それは『D坂の殺人事件』の、格子を通して見たらしま模様が一つの色に見えるというトリックのオマージュなんです。なおかつ、『D坂の殺人事件』で、古本屋の向かい側にある白梅軒という喫茶店で明智小五郎が古本屋を偵察していたことから、そのオマージュで、道路の向こう側に白梅軒ののれんを掛けているんです」
大嶋 「三郎が使っているピストルは、明智小五郎が使っているピストルと同じ種類なんですよ」
――そんな細かいところにも仕掛けがあったんですね。毎回アクションシーンが楽しみの一つでしたが、第4話のアクションシーンはどんなところが大変でしたか?
大嶋 「アクション監修・横山誠さんと助監督の皆さんがすてきなたくさんのアクションを段取って、見事撮り切ったのはすごいなと思いました。そして、役者さんたちがすごく楽しんでやってくださったのは、ありがたかったですね。ワイヤーでつることを伝えたら『えっ?』と言いつつも、皆さんワクワクしながらワイヤーを身に着けていただいて。菊之助さんが落ちるところには、下に海外のレスキュー用のマットがあって、そこに本当にダイレクトに落ちてくださっています。やってくださいとお願いしているけど、自分は絶対できないなと(笑)。濱田さんも『こんなに飛ぶのは初めてです』とおっしゃりながら飛ばれたので、ぜひそこは楽しみに見ていただきたいです」
櫻井 「菊之助さんは1回で決められたんですよ。4階から後ろにサーっと落ちていくんですが、どのように振る舞えばどう見えるかを分かっていらっしゃるんでしょうね。本当に優雅に落ちていかれて感動しました。本人は『怖いな』と言われていましたが、すごい俳優さんだなと。本読みの時に、草刈さんもセリフが全部頭の中に入っていてすごかったのですが、菊之助さんも、お勢さんのセリフが全部入っていたんですよ。お勢さん役の宮田圭子さんがセリフを言っている時に、菊之助さんの口もずっと動いていて。本読みの時から住良木としてお勢さんを生きている姿を見た時に、あらためてすごさを感じました」
――放送後の反響や実現できたことを教えてください!
大嶋 「一つは、草刈さんのアクションをすごく楽しんでいただけてよかったということです。そして、踊り子のお百や太郎の苦しみを彼らと同じように感じ取ってくださった方が結構いらしたことですね。これは、どこまで伝わるのかを探り探りやっていたので、共感してもらえてよかったです」
安達 「朝ドラを担当していると、時々、応援のおはがきやお手紙を頂戴したりするんですが、今回は、結構若い方からお手紙をいただけて、すごくうれしかったです。出来上がったものに関してはご覧いただく皆さんに委ねますが、もうちょっとできたことがあったんじゃないかと思うところがあるので、もう一度、乱歩作品をひたすら読み直したいです」
櫻井 「ご覧いただいた方から圧倒的な支持をいただくなどいい反響があって、とてもうれしく思っています。近畿ブロックでは、最終回の第4話を放送する2月11日の午後3時32分から一挙放送もあるのでご覧ください。近畿ブロック以外の方はNHKプラスでご覧いただけます。森本慎太郎さんもおっしゃっていたように、スルメのようなドラマですので、第4話に向けて見返して、堪能していただければうれしいです」
――ありがとうございました!
【番組情報】
土曜ドラマ「探偵ロマンス」
NHK総合
土曜 午後10:00~10:49
※NHK総合(関西地方のみ)では2月11日後3:32~5:59に第1話~3話一挙再放送
※2月18日までNHKプラスで全話放送
NHK担当/K・H
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