阿部サダヲが「大河ドラマが生まれた日」の撮影で驚いたエピソードとは?2023/02/04
2月4日にNHK総合で放送される、大河ドラマ誕生をドラマ化した「大河ドラマが生まれた日」。1962年に「映画に負けない新しい連続大型時代劇を作れ」と言われたテレビマンたちが、大河ドラマ第1作目となる「花の生涯」を作るまでが描かれます。
今回は、大河ドラマを作るべく奮闘するプロデューサー・楠田鉄治役の阿部サダヲさんに、ドラマのプロデューサーを演じての思いや、黎明期ならではのドラマ作りで驚いたことなどを伺いました!
――プロデューサーという役職にとても興味があったそうですが、実際に演じてみていかがでしたか?
「プロデューサーはすごく苦労しているんです。キャストやスタッフを決めて、脚本の方とも連絡を取るなど、ドラマの撮影が始まるまでに相当な時間をかけていろんなことをしているんだと知って、大変だなと思いました」
――出演者への依頼が、今と全然違うようですね。
「携帯電話がない時代ですから、足を運んで出演者の元へ出向くんですよ。テレビドラマに出てもらうために、京都で映画の撮影をしている俳優のところへ行って、帰ってきたと思ったら、今度は歌舞伎役者のところにも行かなければいけない。昔は相当な距離を動いていたんだと感じました。しかも、役者の家にまで行くんですよ。それはすごい熱量だったんだろうなと思います。今は説得するために家にまで行くことはないでしょうからね。逆に家まで来たら、怖くてドラマに出なくなっちゃいますよね(笑)」
――今では考えられないことですね。ドラマではアシスタントディレクターの山岡進平を演じる生田斗真さんとのコンビネーションが描かれますが、生田さんとの共演はいかがでしたか?
「いい意味でフットワークの軽い方です。芝居を合わせてくれるだけじゃなく、攻めてきてくれるところがよかったです。言葉じゃうまく言えないんですが、芝居の間がちょうどよく、会話のキャッチボールもテンポよくできて、今回ガッツリ芝居ができてうれしかったです」
――会話がポンポン進んでいく感じは、撮影中のお二人の関係性が良かったからなんですね。
「そう思います。監督も会話のシーンを長めに撮ってくれていたので、それもよかったのかもしれません」
――その中でアドリブなどもあったのでしょうか?
「僕はアドリブを言うタイプじゃないんです。現場の雰囲気や空気で生まれたものはありますが、これを出そうと前もって考えてやる感じのアドリブはなかったです」
――では、基本は台本に忠実に演じていたんですね。物語は1962年の出来事で、昭和ならではのシーンがたくさんありました。
「確かに、楠田家で部下を集めて仕事のことを話している場面は、今ではなかなか見られないですよね。僕も後輩を招いて家で食事をすることもないですし、そういう昭和の空気感もいいですよね。奥さんは大変でしょうけど」
――きっと大変な思いをしていたであろう楠田の妻・美登理を演じた倉科カナさんとの共演はいかがでしたか?
「倉科さんはすごく明るくて楽しい方でした。それにしても、楠田は美登理のお茶漬けを食べてこの人と結婚しようと決めたと言っていましたが、お茶漬けが一番ってどういうことなんですかね(笑)。失礼な気もするし、何が良かったんだろう? お茶漬けってそんなにたくさん種類とかあります? あのエピソードは面白かったです」
――ほかにも、おでん屋さんを営む吉種役のイッセー尾形さんとのシーンも昭和の雰囲気がありましたね。
「楠田が『おやっさん、やってる?』と言いながらおでん屋さんの屋台に行く時に、イッセーさんが最初から寝ているというアドリブをしてきたんですよ。楠田の声で『ああ』と言いながら起きて。それで、おでん屋さんのシーンの雰囲気や楠田との関係性や常連具合が決まった感じがして、すごく楽しかったです。イッセーさんは、おでんのネタやお酒などをちょこちょこいじっていらして、とにかく何かしら動いていらして。よりよい芝居をするために、ずっといろいろ考えてらっしゃるんだなと見ていて感じました」
――ドラマには実際にあったエピソードが盛り込まれていましたが、驚いたものはありましたか?
「菓子折りを持って役者の元へ出向く話など、今じゃ考えられないことは結構ありますね。逆に言うと、熱意で太秦のスタッフさんたちを巻き込めたエピソードはすごいし、瓦を白く塗っちゃう発想もすごいなと思います。そうさせる熱意があったんでしょうね」
――劇中で「花の生涯」の収録現場をプロデューサーとして見ているシーンは、どんな気持ちで演じていらしたのですか?
「撮影の裏側などが知れるバックヤードものが好きな方なんですよ。僕らが役者として演じている時は、スタッフやカメラマンの動きが見えて、それがすごく気になる方なんです。本番中にこういう動きをされたら嫌だなとか、『なんか動いてるな、あそこの人』ってインプットしちゃうんですが、それはすごく参考にはなりました(笑)。ただ、僕はプロデューサーの役なので、スタッフのまねをするというより、音声スタッフの人たちを巻き込んで演じた感じですね。ほかにも、スタジオの音声や映像を調整する副調整室にいる役に憧れていたので、そこにいて、みんなと一緒に映像を見ているシーンは、演じていてすごく楽しかったです」
――ありがとうございました!
【番組情報】
テレビ70年記念ドラマ「大河ドラマが生まれた日」
NHK総合
2月4日 土曜 午後7:30~8:45
特別版
NHK BSプレミアム・NHK BS4K
2月20日 月曜 午後9:00~10:29
NHK担当/K・H
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