テレビドラマ初主演・豊嶋花インタビュー 光を宿す瞳の15歳「夢は日本アカデミー賞 新人俳優賞」2022/12/26
坂元裕二、野島伸司、橋部敦子、野木亜紀子といった数々の人気脚本家を輩出し、昨年の大賞受賞者・生方美久が、絶大な反響を呼んだドラマ「silent」(フジテレビ系)の脚本を手掛けたことでも話題の「フジテレビヤングシナリオ大賞」。第34回となる今年は、応募総数1535作品の中から市東さやかの脚本「瑠璃も玻璃も照らせば光る」が大賞に選ばれ、フジテレビ系にてテレビドラマ化されることが決定した。
12月27日に放送される「瑠璃も玻璃も照らせば光る」は、ヤングケアラーの女子高校生の葛藤を描いた青春ヒューマンドラマ。「ヤングケアラー」とは、一般に“障がいや病気のある家族に代わり、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートを行う18歳未満の子ども”を指す。
うつ病の母親と、病気で意識のない父親のケアをする高校2年生の主人公・木村ひかるを演じるのは、本作がテレビドラマ初主演となる豊嶋花。1歳の頃から芸能活動を開始し、近年では「大豆田とわ子と三人の元夫」(フジテレビ系)で大豆田とわ子(松たか子)の娘・大豆田唄を演じ話題を集めたことも記憶に新しい。2023年は、1月スタートのNHK大河ドラマ「どうする家康」への出演も控えている。本作では、“青春したい”という気持ちと過酷な現実の間で揺れる高校生の姿が、みずみずしく映し出されている。
重く、過酷な現実。でも「家族のことを愛しているのは本当」
「オーディションの時から『ひかる役をやりたい』と思っていたので、『ひかる役、お願いします』と言っていただけた時は本当にうれしかったです。台本を読んで感じたのは、ひかるの境遇は高校2年生が抱えるにはあまりにも重く、大変だなと…。私自身は結構甘えて生きてきた部分があるので、『私にこの役ができるのだろうか』と不安にもなったのですが、ひかるの気持ちと状況をじっくり考えて、慎重に、丁寧に演じたいなと思いました」。
リハーサルの段階では、監督とたくさん言葉を交わしながらヤングケアラーのひかるという役について共有し、理解を深めていったという。
「もちろん大人にも大変な境遇の方はいらっしゃると思うのですが、ひかるのように学生でそういう状況になった場合、“学生”という短い期間の中でしか経験できないこともあると思うんです。家族のために自分がやりたいことや、やらなければいけないことを捨てるという状況は本当につらいんだけど、でも家族のことを愛しているのは本当で。家事や家族を助ける役目をやりたくないわけではないんだけど、自分のやりたいことができなくなってしまうという、その葛藤に向き合うのが難しいと感じたので、自分もそういう気持ちに近づけるようにしていました」。
ひかるは「強いようで、脆(もろ)い人」。自身と重なる部分はあったかを尋ねると「私も、結構豆腐メンタルなのに強がってしまう部分があるので、そこは似ているかもと思いました。でも、急に父親が倒れて、母親がうつ病になってしまうという状況の中で、ひかるのようにテキパキ家事やサポートができるかと言われると、やっぱり難しいなって。もちろん頑張るとは思うんですけど、やっぱりどこかで壊れてしまうと思います。いろいろなものが爆発して遮断機の前で泣いてしまうシーンでは、撮影に向けて気持ちを入れるために時間を作ったりして、ひかるのことをたくさん考えて、頑張って演じました」と、思い入れのあるシーンを見つめ直す。
夢は「日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞すること」
2022年は「教祖のムスメ」(MBSほか)や「みなと商事コインランドリー」(テレビ東京ほか)、「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(日本テレビ系)などの連続ドラマに出演。23年には、NHK大河ドラマ「どうする家康」への出演や、主演を務める短編映画「冬子の夏」、Netflix映画「ちひろさん」の公開が控えている。充実感いっぱいの表情で、この1年を振り返る。
「今年はとっても充実した、すてきな1年でした。自分が15年間生きてきた中で一番幸せだったんじゃないかと思います。お仕事や学校生活のことで悩みもして、山あり谷ありな日々ではあったんですけど、自分の中での歴史に残るような作品にたくさん携わらせていただきました。また、高校生活が始まって、学校とお仕事の両立も頑張ることができました。撮影の直前や期間中にテストが重なってしまうこともあるんですけど、それでもちゃんと両立できるように、普段から勉強も頑張っています」。
可能性に満ちた15歳。夢は「日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞すること」だと言い切る。その迷いのない言葉と光を宿す瞳に、思わず圧倒されそうになる。
「いろんな役にチャレンジして、さまざまな役を演じることができる女優になりたいです。今の一番の夢は、日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞すること。もちろんそれがかなったら、さらに大きな夢を描いていきます。今回ドラマで主演をさせていただいて、また一歩、夢に近づけたなと思っています。私にとって、“演じる”ということはアイデンティティー。なくてはならない存在になっているんです。お芝居をやるのも好きだし、楽しいし、作品を見るのも面白いし、出演した作品を『見たよ、面白かったよ』と言ってもらえるのもうれしいです。自分の中で、とても大きな存在です」。
【プロフィール】
豊嶋花(とよしま はな)
2007年3月27日生まれ。東京都出身。08年、1歳の頃から芸能活動を開始。5歳の時、映画「外事警察 その男に騙されるな」で映画デビュー。主な出演作は、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」「あまちゃん」「ごちそうさん」、NHK大河ドラマ「八重の桜」、ドラマ「トットちゃん!」(テレビ朝日系)、「青のSP―学校内警察・嶋田隆平―」「大豆田とわ子と三人の元夫」(ともにフジテレビ系)、「教祖のムスメ」(MBSほか)、「みなと商事コインランドリー」(テレビ東京ほか)、「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(日本テレビ系)など。23年1月8日スタートのNHK大河ドラマ「どうする家康」に出演予定のほか、主演を務める短編映画「冬子の夏」、Netflix映画「ちひろさん」の公開が控えている。
【番組情報】
「第34回フジテレビヤングシナリオ大賞『瑠璃も玻璃も照らせば光る』」
フジテレビ系
12月27日 火曜 午後1:45~2:45
出演:豊嶋花、祷キララ、横田真悠
都留拓也(ラパルフェ)、なえなの
青山倫子、水橋研二、池谷のぶえ
勝村政信 ほか
取材・文/宮下毬菜(フジテレビ担当)
関連記事
- 豊嶋花、ヤングシナリオ大賞作品「瑠璃も玻璃も照らせば光る」でドラマ初主演
- 第34回フジテレビヤングシナリオ大賞決定! ヤングケアラーの女子高生の成長を描いた「瑠璃も玻璃も照らせば光る」
- 川口春奈&目黒蓮は「イメージ通り」 本格ラブストーリー「silent」村瀬健プロデューサー&脚本・生方美久が2人の印象を明かす【前編】
- 「紬のような川口春奈が見たかった」「目黒蓮の芝居を見て、“大器が来た”と思った」――「silent」村瀬健プロデューサー×脚本・生方美久インタビュー【後編】
- 溝端淳平、志田未来、渡部篤郎、真矢ミキらが「どうする家康」に出演
- ついに今夜最終回!「大豆田とわ子と三人の元夫」松たか子、松田龍平、角田晃広、岡田将生が語る作品への愛
関連リンク
この記事をシェアする