エロ路線に困惑した!? イジリー岡田にとって「ギルガメッシュないと」とは? 伝説の深夜番組がまさかのドラマ化!2022/12/16
伝説の深夜番組「ギルガメッシュないと」から着想を得たドラマがParaviで独占配信! ドラマの見どころとともに、宣伝大使のギルガメファイター・イジリー岡田に「ギルガメ」の魅力を聞いた。
伝説の深夜番組を題材にドラマ化!?
Paraviで独占配信の「ギルガメッシュないと」誕生!
1991年10月、テレビ東京で一つの深夜番組が始まった。のちに「セクシー女優がニュースを読み上げた後にTバックの下着を見せる」「ホストが裸エプロンの女性アシスタントとともに料理を作る」といった“エロ”を武器にした斬新なコーナーを次々と生み出し、社会現象となる「ギルガメッシュないと」だ。この伝説的な番組をすさまじい熱量で作り上げたスタッフをモチーフに、番組に関わった人々の奮闘、葛藤と、制作の裏側をフィクションとして描くドラマがParaviで独占配信される。その名も「ギルガメッシュFIGHT」。
作品を手掛ける植田郁子プロデューサー(以下、植田P)に話を聞くと、「Paraviオリジナルコンテンツの企画候補として持ち込まれて。Paraviは20代の女性向けのコンテンツが多いんですが、『ギルガメッシュないと』を題材にすれば、リアルタイムでご覧になっていた40代、50代の方々にも興味を持っていただけるだろう、ということで具体的に企画が動き出しました。それとこれは個人的なことなんですが、私の入社直後の初めての大きな仕事が“イジリー岡田さんが高速ベロを初めて披露した瞬間を『ギルガメッシュないと』すべての回を見て探し出す”という仕事だったんです(笑)。そんなことも思い出してこれも何かのご縁だな、と」とのこと。
ドラマは、テレビ東洋の深夜番組「ギルガメッシュFIGHT」の放送開始、数カ月後から始まる。低視聴率に悩むプロデューサーの栗田淳一は、斬新な視点を持つディレクターの加藤に目をつけ、番組の演出を任せる。加藤は大胆な発想と手法で番組の刷新を進め、栗田も上層部に掛け合い、加藤が希望するキャスティングを実現する。やがて伝説の番組が走り始め…。加藤を主演の藤原季節が、栗田を大東駿介が演じる。
「加藤はすごく熱量がある一方で、繊細で芸術家肌であり孤高のキャラクター、栗田は対照的に豪快で、かつ清濁併せのむキャラクター。それぞれを表現できる俳優さんとして、藤原さんと大東さんに出演をお願いしました」(植田P)
「ギルガメッシュないと」には、「『CNNヘッドライン』のパロディーコーナーが人気を集め、本物のCNNが取材に来た」といった数々の伝説があり、ドラマはこうしたエピソードをはさみ込みつつ、フィクションドラマとして展開されていく。
「リアルタイムでご覧になっていた方は、懐かしんでいただけると思いますし、若い方は『もしかして本当にこんなことあったの…?』と想像しながら、楽しんでいただけるのでは思っています。どの世代にもあの時代の熱さや、今の時代に加藤、栗田みたいな人がいたら面白いよね、と感じながらご覧いただきたいです」(植田P)
テレビ史に名を刻んだ番組の熱がどう表現されるのか、配信開始を楽しみに待ちたい。
SPECIAL INTERVIEW◆ イジリー岡田
25年経っても当時のエピソードを聞かれるなんてすてきな番組です
── 今回のドラマの企画を最初に知った時は、どんな感想を持たれましたか?
「とうとう僕に主役が来たな、と(笑)。でも主演のオファーを引き受けるつもりでテレビ東京さんにうかがったら、当時の裏話を教えてくれ、と。主演どころか、ドラマに出演できないことが分かり落胆しました(笑)」
── ドラマにはサワリー尾中という、イジリーさんを思わせる芸人さんが登場します。
「どなたが演じるかはまだ明かせないんですけど、素晴らしい役者さんが僕をモデルにした役を演じてくださるのはうれしいです。僕の高速ベロを、どう演じるかも気になりますね。ただ、台本を拝見したら『ベロを出し入れ』と書かれていた。上下、なんですよ動きは。そこは気を付けてほしい(笑)。僕が現場で教えた方がいいんじゃないかなあ。で、『高速ベロ指導・イジリー岡田』とクレジットを出す(笑)」
── ドラマでは、「ギルガメッシュFIGHT」がエロを前面に押し出すようになり、サワリーが苦悩する姿が描かれます。「こんなのお笑いじゃない」「欽ちゃんに憧れてこの世界に入ってきたのに下ネタなんて」と。
「そのセリフはうれしかったです。萩本欽一さんは下ネタをやらない。欽ちゃんに憧れていた僕も若い頃は、事務所の後輩に『裸で笑いを取るのは卑怯だ』と言っていました。その後、毎週裸になるわけですが(笑)。『ギルガメッシュないと』がエロに路線変更した当初、ドラマのような葛藤はありました。初めの3カ月は僕のコーナーはちょっとエッチな内容だったけど、全体としては真面目な情報番組だったので、まあいいかと思っていたんです。それがエロに力を入れて“化けて”いったので戸惑いましたね。だけど任された仕事だし、この世界で生きていくために必死でしたから、すぐに下ネタはだめ、という気持ちはなくなりました」
── 番組が化けたと思ったのはいつ頃でしたか?
「視聴率が上がってきて、雑誌で取り上げられたり、芸人さんが番組のパロディーをやり始めたりして、認知されてきたんだなあ、と実感しましたね。僕は当時、埼玉からテレ東まで電車で来ていたんですが、ある日、僕を見つけた学生たちが、電車をたたいて『イジリー!』と叫んでいたなんてこともありました」
── イジリーさんだけでなく出演者の知名度が上がり、番組からスターが生まれました。
「そうですね、2012年にBSジャパン(現BSテレ東)で『ギルガメッシュLIGHT』として復活した時も、壇蜜ちゃんがブレークしたし。今回の『~FIGHT』からもスターが生まれればいいですね」
── 最後に、イジリーさんにとって「ギルガメッシュないと」とは…?
「『ないと』でも『LIGHT』でも、最終回で『僕のふるさとです』『なので帰ってきます』と言いました。そのふるさとを、ドラマの形で客観的に見ることできるのは幸せなことですね。『ないと』が終わったのは98年だから、2023年で25年。25年経って『あなたにとってどんな番組か』とか『当時のエピソードは』と尋ねられる番組はそんなにないと思います。毎年1回は『ギルガメ』についての取材を受けるし、『見ていました』と声をかけてくださる方も多い。『声だけ聞いていました』という方もいらっしゃいました。アナログ波の時代は、放送されていない地域でもテレビのダイヤルを調節して音声だけ聞くことができたんですよね。それで声だけ聞いて興奮していた、と(笑)。そんな思い出を何十年も経ってから聞くことができる。すてきな番組だったんだとあらためて思うし、だからこそ今回の企画が実現したんでしょう。出演できていたのは幸せなことだと感じます」
◆イジリー岡田の「ギルガメッシュないと」スタッフとの思い出
皆さん出世されていて、正直に話すと、役職を失いかねないんですが(笑)、話せる範囲だと…。当時あるディレクターさんとテレクラに出かけたんです、“勉強のために”と。それが土曜の夜で、『ギルガメ』が始まったらテレクラの電話が止まり、全国の女性たちが「ギルガメ」を見始めたことを実感した。あれはすごい体験でしたね。
◆植田郁子プロデューサーが語る「ギルガメッシュFIGHT」制作秘話
第1ターゲットは当時を知る40代、50代の男性ですが、本家「ギルガメッシュないと」は男性だけに向けた番組ではなく、女性もご覧いただける番組づくりを大切にしていて、出演者の女性も楽しんで参加してくれていたそうです。その精神は私たちも大事にしたところなので、ドラマも男性だけでなく、女性にも楽しんでいただける作品に仕上がっていると思っています。
見どころは、番組の熱気や放送されていた90年代の空気感をできるだけ表現するべく、小道具や衣装、メークに至るまでスタッフ一同本当にこだわってくれているところです。もちろん、当時のスタジオセットの再現も見どころです。でも、ファッションは20年くらいで一回りというか、90年代ブームが一部で来ているらしく、集めた衣装を見て「あれ、今風でカッコよくない?」と感じて、これでいいのか皆が分からなくなったり(笑)。そんな試行錯誤を繰り返しながら、他にもいろいろとこだわってくれているので…今このドラマを作っているスタッフの苦労もドラマ化できるんじゃない? なんて皆で話しています(笑)。
【プロフィール】
イジリー岡田(いじり-おかだ)
1964年9月23日生まれ。埼玉県出身。A型。87年にデビュー。高校時代の友人とコンビを組むが解散し、ピン芸人に。ものまねのレパートリー多数。舌を高速で動かす高速ベロも有名。
【番組情報】
「ギルガメッシュFIGHT」
Paravi
12月24日 深夜1:15~ 第1話配信
テレビ東洋のプロデューサー・栗田淳一(大東駿介)はエロに対し独自の美学を持つ加藤竜也(藤原季節)を「ギルガメッシュFIGHT」のディレクターに抜てき。番組は高視聴率を記録するが、やがて加藤と栗田の方向性に違いが生まれ始め…。
エロに対する独自の美学を爆発させるディレクター
加藤竜也▶藤原季節
プロデューサーの栗田から低視聴率に悩む「ギルガメッシュFIGHT」のディレクターを任される。研ぎ澄ましたエロに対する美学を持ち、「夜食ばんざい」など名物コーナーを生み出す。
「志は高く、カメラは低く」清濁併せ呑む“テレ東の魔王”
栗田淳一▶大東駿介
“テレ東の魔王”と呼ばれる豪快なテレビ東洋プロデューサー。加藤が提案してくる斬新な演出方法に最初は反対するも、その熱意に押され「志は高く、カメラは低く」と後押しする。
取材・文/佐藤新 撮影/蓮尾美智子
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