“赤ひげ”船越英一郎と“おたね”戸田菜穂の関係とは?「サスペンス風味も味わっていただけるシーズン4に」2022/11/25
NHK BSプレミアムほかで放送中のBS時代劇「赤ひげ4」。山本周五郎の代表作「赤ひげ診療譚」を原作に、江戸時代に貧しい人たちのためにつくられた小石川養生所で、恐れや親しみを込めて“赤ひげ”と呼ばれる所長・新出去定(船越英一郎)が、若き医師・保本登(中村蒼)や津川玄三(前田公輝)、田山真一郎(鈴木康介)、そして第3シリーズで新たに加わった女医のつぐみ(優希美青)と共に貧しい者たちへの治療に奮闘していきます。
養生所の生みの親でもある大岡越前守(宅麻伸)が“赤ひげ”を呼び出し、赤ひげに養生所を去り、新たに設立する医学校の校長になれと命じるところから新シーズンはスタート。そんなある日、養生所には記憶喪失の患者・おたね(戸田菜穂)が運ばれてきます。保本たちはおたねの姿を見た赤ひげの様子がおかしいことに気付きますが…。しばらく養生所で療養したおたねは、体調が良くなった途端、医者の仕事をテキパキと手伝い、いつしか養生所の中でも頼りとされる存在に。しかし、赤ひげとおたねの間には、ある隠された事情があったのです。
今夜の放送でいよいよ折り返しとなりますが、まだまだ明かされないおたねの正体。赤ひげ役の船越さんとおたね役の戸田さんに、出演への思いや見どころについて伺いました。
――本作への出演が決まった時の感想を教えてください。
船越 「シーズン1から約6年の間に赤ひげが自分の人生の一部になりました。普段の暮らしの中で、去定を演じるにふさわしい俳優・生き方ができていると思えるようになっていた今日この頃。そんな中で赤ひげをライフワークにしたいという思いが一層強くなってきたところで、また去定を演じさせていただく機会をいただけたことに狂喜乱舞いたしました。回を重ねるごとにだんだん共演者の皆さまと家族のような絆は強くなっていますし、赤ひげへの愛情と熱量が半端ではないので、他作品では味わえない、シリーズを重ねた赤ひげならではの作品になっております」
戸田 「多くのファンがいる赤ひげという作品に出演させていただけてうれしかったです。時代劇を見る目が肥えてらっしゃる方がご覧になるんだろうという思いと、謎めいた女性という難しい役どころから、毎日ドキドキしながら撮影現場に行っておりました」
――船越さんの赤ひげへの思いを教えてください。
船越 「僕はもともと山本周五郎作品の愛読者でした。三船敏郎さんが主演を務めた映画を拝見したり、小林桂樹さんが主演を務めるドラマに本当にはまったりしまして、俳優になったばかりの夢が、保本登を演じたいというものでした。でも、それは当然かなうことなく、自分は赤ひげという作品に出ることはないだろうと思っている中でお話をいただきました。でも、三船さんや小林さん、萬屋錦之介さんなど、僕にしたら雲の上の人のような名優の方たちが演じている赤ひげにチャレンジするというのが怖くてですね。ただ、自分の中で赤ひげにもう一度世の中に出てもらいたいという思いが強かったので、せっかくお話をいただいたので尻込みするのではなく、無謀な大冒険だけれども、冒険してみようかなという思いがありました」
――シーズン4の見どころはどんなところでしょうか。
船越 「赤ひげは一体どんな人生を歩んできたのか。シーズン3ではその断片しか見えなかったのが、今回でほとんどの過去が明らかになり、物語が大きく変わるシーズン4になっております。その鍵となるのがおたねさんで、最初に登場した時ある匂わせから2人は何かあるぞと…。シーズン2でもおよね(佐津川愛美)が刺客として赤ひげを殺しに来たのかもしれない、そんな話がありましたが、今回もいろいろな想像ができるわけです。彼女を誰かと取り合ったんじゃないか、恨みを抱いているんじゃないかなど。おたねさんが記憶を取り戻した時、赤ひげの身にも何か起こるぞ、そんなサスペンス風味も味わっていただけるシーズン4の結末にご期待いただければありがたいです」
――戸田さんは物語のキーパーソンとなるおたねを演じられました。
戸田 「撮影が終わった後もまだその余韻が抜けず、ちょっとぼんやりしていました。そのぐらい、私の中ではおたねはインパクトの強い役で、心もいっぱい揺さぶられましたし、それぐらい難しい役で、やり遂げた時は本当に幸せでした」
――撮影時の共演者の皆さんの様子を教えてください。
船越 「赤ひげの新作がやれるぞとなってから、一番の楽しみは彼らの成長ぶりを見せていただけるということでした。シーズン1の頃は、皆さん時代劇をやったことのない、作法も分からない、俳優としてキャリアを積んでいく方たちばかりで、それが魅力の一つでした。その後は、赤ひげや他作品で経験を重ねるごとに目覚ましい活躍をしてくれるので、撮影のたびに楽しみになっておりました。赤ひげで吸収したものを他作品で昇華して、赤ひげに帰って来た時に惜しみなく表現してもらえる。最初は教える場面が非常に多かった気がするんですけど、今では彼らからの刺激に支えられているような気がしております。その撮影現場はまさに小石川養生所の姿そのもので、理想の現場だと思っています」
戸田 「初日は皆さんどんな感じで来るのかなと思っていましたし、少し視線を感じましたけど。皆さんすごくウエルカムな感じで、みんなが同じ控室で楽しそうにおしゃべりしながら、特に女子は女子で集まったりしてすぐに打ち解けました」
――最後に、番組をご覧になっている皆さんに一言お願いいたします。
船越 「時代劇が減っていく昨今、大河ドラマでは描かれない、江戸の情緒や江戸の人たちの生活や文化にも少し触れられるような世界観を持っております。赤ひげの金言名言と織り成していくストーリーに、僕もものすごく支えられている日常を過ごしている。だからこそのライフワークにしたいという思いがありました。その赤ひげに自分が命を吹き込みながら、人生を豊穣なものにしていく。また、どうにもならない逆境や悲しみやいろんなものが訪れた際に、ドラマの登場人物たちが乗り越えていくさま、あるいはそれでも人生を営み続けていくさま。それはつらいかもしれないけれども、必ず喜びにつながっていくんだという人生の応援歌みたいなものに赤ひげはなっていて、皆さんにも必要だなと思っていただけるんじゃないかと思います。感動の最終回までお見逃しなく。ご覧いただけたらうれしいなと思います」
戸田 「私も赤ひげ先生のかけてくれる言葉は自分にとって大切なものです。赤ひげには誰かの支えになるような、すごくいいセリフが散りばめられていますし、温かい時代劇ならではの人との距離と、ゆったりとしたいい時間が流れている、心に染みるようなドラマになっています。ぜひお楽しみください」
第4話あらすじ
赤ひげは父親の死で気を病んだというお華(紺野まひる)を養生所に受け入れた。空のおくるみを抱き、幻の子をよりどころとするお華に合わせて子守歌を歌うおたねは、かつて自分に子どもがいたのではと失われた記憶を探る。そんなある夜、お華は「清吉さん」と叫んで暴れ出し、お華が気の病になったのは、将来を誓い合った清吉(竹財輝之助)の出奔が原因だったと判明する。
【番組情報】
BS時代劇「赤ひげ4」
NHK BSプレミアム・BS4K
金曜 午後8:00~8:45
NHK担当 S・A
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