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やさしいズが描く、同期との夢「億稼げるライブができるかも」【ロングインタビュー後編】2022/11/16

やさしいズが描く、同期との夢「億稼げるライブができるかも」【ロングインタビュー後編】

 「キングオブコント2018」で決勝に進出したお笑いコンビ・やさしいズ。インタビュー後編では、「キングオブコント2022」チャンピオンとなったビスケットブラザーズをはじめとする、東京NSC16期生、大阪NSC33期生の同期との関係性や憧れの存在について、佐伯元輝さん、タイさんのお二人に話を聞いた。(前編はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1870096/

コンビは個人事業?

やさしいズが描く、同期との夢「億稼げるライブができるかも」【ロングインタビュー後編】

――お二人の同期は、東京NSC16期生、大阪NSC33期生ということで、今すごく勢いのある期だと思います。同期の活躍については、どう感じていますか?

タイ 「…あるんですか?」

佐伯 「悔しいですね~。…そう言うしかない(笑)。でも、コンビって個人事業じゃないですか。個人の会社というか」

タイ 「?」

――2人で作り上げていかないといけない会社、ということでしょうか?

佐伯 「結局は人それぞれじゃないですか。所属は同じ吉本興業でも、別に全員が同じ仕事をしているわけじゃないし、全員同じじゃないし。っていうのでなんとか気持ちを静めます。悔しいは悔しいですけど、でも人と違うしな、って」

タイ 「って言い訳をして」

佐伯 「って言い訳をして、悔しさをごまかしてます」

タイ 「悔しいんだ、結局」

佐伯 「悔しいでしょ! 悔しくなった方がいいよ」

タイ 「なんでそんなムキになんの?」

佐伯 「感情を取り戻して! ちょっとずつでいいから。人になっていくために。ロボなんだから、今。面白いネタを書けるロボ」

タイ 「AI?」

佐伯 「うわ、最強なんだけど(笑)」

――9月25日には、先日「キングオブコント2022」で優勝した同期のビスケットブラザーズさんとツーマンライブを開催されていましたね。「キングオブコント」決勝目前というタイミングでの開催でしたが、一緒に舞台に立つ中で、何か感じたことはありましたか?

タイ 「ビスブラとは『電気』っていうライブを2年くらい前から一緒にやり始めたり、原田(泰雅)ともよく飲みに行くので、あんまり嫉妬とか悔しいって気持ちはなくて。ビスブラも面白いって言ってくれるし――僕が面白いって思ってる人が、僕のことを面白いって言ってくれてるから、大丈夫だなって。次は自分たちが続きたいなという気持ちです」

佐伯 「ビスブラの優勝は素直にうれしかったですね」

タイ 「じゃあ何で泣いたの?」

佐伯 「毎回そんな全部のトピックに泣いてないから!」

タイ 「準決勝の時はどうして泣いちゃったの?」

佐伯 「悔しさよ。シンプルに悔しいから。簡単な構造よ? 『悔しい!』『えーん!』みたいな。あんま難しく考えてないよ。悔しいから泣くの! それが人間だろ? ロボだ! ロボの考え方だ! 理由がほしいんだ。よくないわー! 理由なく泣かないと」

タイ 「一番怖いよ? 理由なく泣いてるやつが」

勢いのある同期の中で

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――昨年の「キングオブコント」では男性ブランコさんが2位になったり、「M-1グランプリ2021」ではゆにばーすさんが決勝進出、男性ブランコさん、マユリカさんが敗者復活戦に進出、「R-1グランプリ」ではZAZYさんが2年連続で準優勝に輝くなど、賞レースで結果を残す同期の方も多かったと思いますが、そういったシーンの動きに対してはいかがでしょうか?

佐伯 「いやそれはそんなに…。なんでしょう、優勝されたら悔しいですけど…。『33期すごいな、いい期だなー』ってすごい思うわけですよ」

――でも、佐伯さんもそこに含まれていますよね?

佐伯 「なんでしょうね、吉本の東京、大阪ってなんか…。大阪の33期は、気持ち的に含んでないというか。同期ではあるけど…」

――そうなんですか?

タイ 「僕はちゃんと同期だと思ってるんで、今びっくりしています(笑)」

佐伯 「なんだろう、結局、東京の同期だと最初からずっと知ってるじゃないですか。ゆにばーすとか、サンシャインとか。NSCからずっと一緒にやってきてる東京の同期と、大阪の同期が全く同じ存在かと言われるとそうじゃないし。もちろん大阪の33期も同期だと思ってるし、すごく好きではあるんですけど…」

タイ 「詰んでるやつのしゃべり方じゃん(笑)」

佐伯 「何? 詰んだって言ったら詰んだことになるんだよ。操作!」

――嫌な質問になってしまったら申し訳ないのですが…。Googleで「やさしいズ」と入れると、サジェストで「不仲」と出てきて。

タイ 「うん」

佐伯 「めちゃくちゃ出てくる(笑)」

―でも、今日これまでインタビューさせていただいて、「不仲じゃないですよね?」と感じてまして。今も、お二人のおしゃべりもとても楽しいですし…。

佐伯 「そうですね。というか、マジで違う人間なんですよ。趣味も違うし、好きなものも違うし。“仲良し”という感じではないですかね」

タイ 「まぁ、仲いいに越したことはないんだろうけど」

――佐伯さんとしては、やさしいズとして今後こうなりたいというのはあったりするんですか? もちろん「キングオブコント優勝」というのは目標としてあると思うんですけど…。

佐伯 「『キングオブコント優勝』言われたか…」

タイ 「いや、別に同じの言ってもいいんじゃない?(笑)」

佐伯 「やっぱ優勝ですね。そこはずっと目標です」

――そのほかに、やってみたいことやかなえたいことってありますか?

佐伯 「かなえたいこと…。なんだ…? 分かんない………」

タイ 「大変でしょ? これ隣にいるの。十何年も(笑)」

佐伯 「なんだろ………? ないです」

――その日その日を健康に楽しく生きられたらそれでいいですよね。

佐伯 「それだ。それにしましょう!」

――(笑)。タイさんはどうでしょうか? やさしいズのコント以外にも脚本を手掛けるなど、活躍の幅を広げていらっしゃる印象がありますが…。

タイ 「ほかのことを始めた理由の一つが、もっとコントを書く力をつけたいなと思ったからなんです。それで『東京夜光花』とか、ユニットコントライブを始めたり、いろんな脚本を書かせてもらって。それをコンビに持ち帰って、優勝できるパワーをつけたいなと。5、6年目くらいに、コンビだけのことを考えてたらちょっと視野が狭くなるなと感じたんですよね。『あれはできる』『これはできない』って、どんどん選択肢が狭まってくるというか。だからコンビの枠をいったん外れて、お試し感覚でいろんな笑いの取り方に挑戦してみたり、コンビではやらないことを試して、それを持ち帰って。あとはいろいろライブをやってたら、僕だけでも名前を知ってくれて、やさしいズの単独ライブに来てくれるかな?とか」

―なるほど。

タイ 「だから結局、全部『キングオブコント』で優勝するための要素の一つです。もちろん、もっとコントの楽しさを知ってもらいたいという思いもあるんですけどね。それで始めたのが『コント犬』だったり。でも、全部の先にあるのは優勝です」

「師匠」フルーツポンチ・村上さんからの言葉

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――では最後に、お二人にとって「師匠」のような存在の方はいますか?

タイ 「多いなー。いっぱい師匠がいるんですけど、芸人の師匠はフルーツポンチのムラケン(村上健志)さんです。フルーツポンチさんも、ムラケンさんが本当にいろいろやってるコンビで。3、4年目くらいの時に、ムラケンさんに言われたんですよ。『100:0でネタ書くコンビは、100が150やりなさい』って。あれだけやってて売れてる人が言うってことは、そうなんだろうなって思いましたね。あとは僕、佐久間一行さんに憧れて芸人になったので、あんなふうになりたいと思うのは佐久間さんですね」

――佐伯さんはいかがでしょうか。

佐伯 「難しい…」

タイ 「いっぱいいますけどね。シソンヌのじろうさんも、単独のVに出させてもらったり、じろうさんにライブに呼んでもらったりすると、『見てくれてるから、頑張りたいな』って。背筋が伸びる存在です。いつか何かを一緒にやりたいなって思いますね。でもそれでいうと、僕、コント師を100組くらい集めてコントライブやりたいんですよ。先輩も同期も後輩も呼んで。それが実現した時に恥ずかしくない台本を書けるように、今いろんなことを頑張ってる感じですね。で、出た?」

佐伯 「これだけ考えて誰も思い浮かばないってことは、いないってこと?」

タイ 「いいよいいよ、佐伯そのまま考えてて。俺同期の話するから」

――(笑)。

タイ 「僕らは所属は東京なんですけど、頑張れば頑張るほど、大阪の劇場にも出られたりしたんですよ。だから昔から大阪の33期とは仲良くしてもらってて。男性ブランコは大阪の33期なんですけど、ずっと面白いと思ってたんです。そしたら2人が上京してきて、空気階段と3組で『やさブラ段』ってユニットも一緒にやるようになったり。それが2018、19年くらいかな。男ブラがまだ世間には見つかってない時期で、『なんでだろう? もうちょっとウケてもいいのにな』なんて思ったりしてて。だから今は2人が見つかって、本当に素直にうれしいですね。すごい急に来るな、とは思ったけど(笑)。今後は逆に、僕らがワンランク上げないとなって思います。そしたらもっと大きいチームで、もっといろんな活動ができるんじゃないかなって」

――東京と大阪の同期全体で。

タイ 「そうですね。あっちにもまだkento(fukaya)や滝音もいるし、面白いやつがもっともっといるんで。この期が今後、どんどんすごいことになっていくと思うんで、そのすごい期って言われるピースの一つにはなりたいですね。そうなったらもう、やりたい放題できると思う(笑)」

――コント師も、漫才師も、ピン芸人も、実力のある方ばかりですもんね。

タイ 「ハナコも同期なんですよ。もう、億稼げるライブができるかもしれない(笑)。あとは、男ブラをずっと近くで見てて思うのは、とにかくずっと頑張ってたから結果がついてきたんだなって。頑張ったら売れるかどうかは分かんないけど、積み重ねてないと売れないよなって思いましたね。その過程を見てるから、自分も頑張れているところはあります。で、どう? 出た? 待ってんのよ」

佐伯 「実はね、考えるのやめたんですよ」

タイ 「なんでだよ」

佐伯 「出てこないから」

タイ 「ふざけんなよ(笑)。やっぱり天才なんだよ。天才ってね、なりたい人なんていないですから」

――佐伯さんは、相談とかもあまりしないタイプですか?

佐伯 「近い同期にすることはあります。ダンビラムーチョの原田(フニャオ)とか…」

タイ 「もう佐伯の師匠、原田ってことにしといてください(笑)」

やさしいズが描く、同期との夢「億稼げるライブができるかも」【ロングインタビュー後編】
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やさしいズが描く、同期との夢「億稼げるライブができるかも」【ロングインタビュー後編】

【プロフィール】

やさしいズ
佐伯元輝(1986年3月20日生まれ、富山県中新川郡出身)と、タイ(1985年6月26日生まれ、東京都江戸川区出身)が、ともに東京NSC16期生として入学。2011年、コンビ結成。「キングオブコント2018」決勝進出。22年11月25日~27日、東京・赤坂RED/THEATERにて、約3年半ぶりとなる、全5公演の単独ライブ「やさしいズ単独ライブ『ネネネネリネネネネ』」を開催予定。11月27日には「やさしいズアフタートークライブ『ノノノノルノノノノ』」も開催。会場チケット発売中。

取材・文・撮影/宮下毬菜



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