「MIU404」インタビュー【後編】
綾野剛「源ちゃんに今ご飯に誘われたらもちろん『うん!』っていうけど、たぶんすごく恥ずかしい…」
星野「なんで恥ずかしいの(笑)」2020/07/03
現在放送中のドラマ「MIU404」(TBS系)。犯人逮捕にすべてを懸ける初動捜査のプロフェッショナルである機動捜査隊(通称・機捜)が、24時間というタイムリミットの中で事件解決を目指す、1話完結のノンストップ“機捜”エンターテインメントです。第1話放送中には国内Twitterトレンド1位、さらに放送後には世界トレンド1位になるなど、初回から人気を博しています。
インタビュー前編(https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-168527/)では、ダブル主演の綾野剛さんと星野源さんの作品への思いをご紹介。今回の後編では、2年半ぶりの共演への思いや、機動捜査隊という役どころについてあらためて感じたことを語っていただきました。
――「コウノドリ」(TBS系)での共演から約2年半経ちますが、今回の共演であらためて感じたお互いの魅力や見どころを教えてください。
綾野 「もう2年半も経ってるんだなっていう感じ。そんな感じしないよね」
星野 「しないね」
綾野 「あっという間に感じるのは、ただ連絡を取り合っていたというだけでは説明できないと思います。源ちゃんは音楽やあらゆるエンターテインメントの領域で培ってきたものを、作品に生かしている。そのエンターテインメントに対する能動的な姿には目を見張るものがあります。前回の共演以来その姿をずっと見てきて、今回の作品で源ちゃんは僕にとって必要不可欠な人になっています」
星野 「2年半前の『コウノドリ』(TBS系)で共演した時、僕の演じた四宮春樹はほとんど話さない役でしたし、剛くんが演じていた鴻鳥サクラもとても優しい役柄だったんです。それが今作では2人とも口が悪いし、いろいろ真逆というか…(笑)。だからこそ今作で会話の芝居が多いのがうれしいですね。かなり振り幅が違う役なので、見ている人もそのギャップを楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。僕たちだけじゃなく、4機捜のみんなも誰もキャラがかぶってなくて、笑っちゃうくらい凸凹なので面白いですよ」
――今作では新鮮な会話劇をたくさん見られそうで楽しみです。お二人は自粛期間中も連絡を取り合ったりしていたのでしょうか?
綾野 「野木(亜紀子)さんが自粛期間中に書き上げてくれた脚本の感想を、源ちゃんと話したりしていました。撮影も約2カ月止まっていたので、事前に決定していた衣装についても、チームのみんなと、この作品の気候設定やムードを踏まえてあらためて話し合ったり、展開を考え直したりしました。撮影自体が再開しないかもしれないという不安もありましたが、現場全員がポジティブに考えて次に進むための話し合いを重ねていました」
星野 「3月末からの世間の雰囲気というのは、本当に絶望的だったと思います。一番大事だったのは、これ以上感染を拡大しないように命を第一に考えることでした。監督とは期間中も何度か連絡をとって励まし合っていましたね」
――今こうしてお話している様子からもお二人の親密さがうかがえますが、プライベートでの交流もあるのでしょうか?
綾野 「共演者としてスタートした関係だからこそ、苦しんでいたら盾にも剣にもなりたいし、うれしいことは一緒に分かち合いたいと、心から思える関係です。でも、もし僕が源ちゃんのライブに行ったら音楽家としての源ちゃんを客観的に見ることになります。“うわ〜! あ、目があった〜!”みたいな。いろいろな視点で見ることができる、珍しい関係だと思っています」
星野 「プライベートでの交流はないですけど、僕が最近SNSを始めたってこともあって、剛くんはめちゃくちゃいいねをしてくれるんですよ。早すぎるくらい早い(笑)。僕が作品を発表すると個人的に感想を送ってくれたりもしますね。自分の仕事に対してリスペクトしてくれてるんだなとありがたく感じます」
綾野 「変な話、もし源ちゃんに今ご飯に誘われたらもちろん『うん!』っていうけど、たぶんすごく恥ずかしい…」
星野 「なんで恥ずかしいの(笑)」
綾野 「何を話したらいいのかなって…。源ちゃんって人と向き合うことを大切に考えている人だから、それがちょっと恥ずかしくなっちゃいそう(笑)」
――お互いにリスペクトし合っていることが伝わります! 作中では、バディとなるわけですが、お互いがバディでよかったと思った出来事はありましたか?
綾野 「撮影休止になった理由について、お互い納得できていたということですね。僕たちは電車やバスに乗って移動することは少ないけど、スタッフの皆さんは違うよねって。『MIU404』では、緊急事態宣言が出る前に現場を止めました。命を守る。そこに対して新井順子プロデューサーと演出の塚原あゆ子さんがブレなかったんです。だからこそ僕たちは焦らずに、確実に撮影再開ができる方法を一緒に考えられました。僕たち2人のバディとしてだけでなく、スタッフの皆さんとチームとして一緒に(能動的に)学べたと思っています」
星野 「僕も撮影休止になった日に、お互いの気持ちを話し合えたのはよかったと思います。必要なことだけど、やっぱり悔しいよねって話しました。あの時は、2カ月頑張ってきたものが中止というかたちで終わってしまう可能性もあったので…。正直、休止前は感染者がどんどん増えていく中で撮影していていいのかなって、悩んでいてつらかったです。毎日撮影に行く中でどうしようもない思いが募っていました。奇麗事ではない複雑な思いをスタッフの皆さんと共有できたことで、このチームが出来上がったと思っています。だから撮影が再開した時も、ブランクがあるようには感じませんでした。つらかったし、今も大変だし、ほかにも山ほどいろいろな問題がでてきている状況です。でも、そんな中で信頼できるチームがあることは幸せだと思っています。このチームは撮影休止期間が作り上げてくれた大切な“相棒”だと思います」
――星野さんは、実際に元機動捜査隊の方にお会いしたとお伺いしましたが、実際のバディのお話を聞いていかがでしたか?
星野 「お会いした元機捜の方はとても優しくて、普通の方でした。でも、目の奥には命を懸けて闘ってきた人が放つ、言いようのないオーラを感じました。彼らの仕事の話に関しては僕の想像がおよばない部分もあるとは思いますが、相棒というものがいかに大切かという話には共感できました。お話する中で、バディとは家族や両親よりも長く一緒にいる関係だから、何から何まで全部話すとおっしゃっていたんです。ずっと車で密行して、何か起きたら迅速に出動する職業なので、バディと会話して過ごすのが基本なんですね。そういう関係性はドラマの中でも生かせるなと思いました。気になってどんな会話をするのか聞いたら『好きなラーメンの話』って言われて、とてもほっこりしました(笑)。当たり前ですが、警察官の方も人間なんだなって。そんな警察官の心情についても作中で描かれているので、注目してほしいです」
――実際に機動捜査隊を演じる前と後で、お二人の心境に変化はありましたか?
星野 「実は最初は機動捜査隊の存在を知らなかったんです。捜査一課はテレビや映画でたくさん出てくるから知っている方が多いと思うんですけど、機動捜査隊はその人たちが出てくる前に捜査をする部署。勤務は24時間体制ということも、僕は企画書をいただいて初めて知りました。不思議な勤務体制だなと思ったのと同時に、なんてドラマ向きなんだろうと思いましたね。見ている方にも楽しんでもらえると思います」
綾野 「野木亜紀子さんが一生懸命脚本を書いてくださっていますが、そのストーリーの中には“こんなことで事件を起こしてしまったの?”というものもあり、それは実際にもあり得ることなんじゃないかなと思いました。そして、僕たちが“こんなこと”ってジャッジするのは愚かなのかもしれないと、伊吹を生きていて思うようになりました。今作では犯人に向き合う機動捜査隊のバディを中心に描いているので、犯人のストーリーで物語を引っ張っているわけではありません。彼らに向き合う第4機捜が、事件に対峙して何を思い、何を考えていくのかが今作の大切なポイントになっています。ぜひそこに注目して見ていただきたいです」
――ますます第2話の放送が待ちきれなくなってきました! 今回は貴重なお話をたくさんお聞かせいただきありがとうございました。
綾野&星野 「ありがとうございました」
【番組情報】
「MIU404」
TBS系
金曜 午後10:00〜10:54
TBS担当 A・M
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