「VOICARION」シリーズ最新作「拾弐人目の服部半蔵」 福岡出身・山口勝平が博多座初登場！「念願の博多座。故郷に錦を」2022/10/27
博多座（福岡市中央区）は11月5・6日に「VOICARION ⅩⅤ 博多座声歌舞伎 拾弐人目の服部半蔵」を上演する。公演に先立ち、10月19日に合同取材会が行われ、主演を務める声優・山口勝平が登壇した。
「VOICARION（ヴォイサリオン）」とは、音楽と物語が絶妙に絡み合ったオリジナル音楽朗読劇創作の第一人者である藤沢文翁氏が原作・脚本・演出を手掛け、東宝とタッグを組んでおくる朗読劇シリーズ。「超豪華キャスト×生演奏による美しい音楽×上質な演出」と三拍子そろったぜいたくさで絶大な人気を誇り、今回が第15弾。博多座では2018年9月に「VOICARIONⅢ 博多座声歌舞伎～信長の犬～」が初めて上演され、今作が4公演目となる。
待望の最新作「拾弐人目の服部半蔵」は、尊王攘夷派と佐幕派が入り乱れる幕末の京の都が舞台。伊賀出身の忍者とされる初代、そして徳川家康に仕え武勲を上げた2代目から約300年、忍術など全く継承していない12代目服部半蔵が、天下一の剣士になる夢を抱く仏生寺弥助から弟子入りを志願されたことに起因して、幕末の“動乱”に巻き込まれていく物語だ。
山口が演じるのは、12代目服部半蔵。明るく人当たりがいいため人望は厚いが、忍術は使えず、武術もそこそこ。周りからは「昼行灯（ひるあんどん）」と陰口をたたかれるという、山口いわく「情けない」役どころだ。
作品について、山口は「今までの『VOICARION』と系統が違う」とし、「戦国の世から時代を超えた因縁が作品の背景にあって…そこが見ていて面白いなと思います。幕末って一番ドラマティックな時代だと思うんです。歴史が苦手な人でも楽しんでいただける作品だと思います」と語った。
現在稽古中だという“一座”だが、全員そろっての稽古はまだできていないという。だが、そこはキャリア・知名度に加え、実力もある超豪華キャストたち。山口自身も「安心して任せられるメンツ」と表現した。そして「稽古に行くのがとても楽しい」とも語る。理由は藤沢の演出方法だ。「時代を超えた因縁を軸として物語を書き出す発想がすごいと思う」と評価。演出については「具体的な指導ではなく、抽象的だけどグッとくる言葉をいただけるんです。それをヒントに役作りをします。そっちの方が自分の中でストンと（腑に）落ちるんです」と説明した。
「VOICARION」シリーズへの出演は7作目ながら、博多座には初登場の山口。実は櫛田神社（福岡市博多区／博多座から歩いて約5分の場所に位置している）のすぐそばに生まれた。中学生の頃に引っ越すまで、博多祇園山笠にも毎年参加していたほどの“博多っ子”なのだ。
そんなゆかりのある劇場での公演に「博多座への出演が念願というのはおこがましいですが、“故郷に錦を飾る”ようで感謝しかないです。家族がなかなか東京まで舞台を見に来る機会がないので楽しみです。自分が生まれ育った場所でもありますし、ふるさとって何年経っても落ち着ける場所なので。芝居で帰る機会があるっていうのは不思議であり、うれしいです」と顔をほころばせた。
最後に「『VOICARION』っていう舞台は、朗読劇の中でも特殊。生の音楽、衣装、舞台セットなど、見に来てくださった方が五感で楽しんでいただけます。演じる側も見る側も楽しい。（劇場）が一緒に共有できる空間になる瞬間を味わえるんです」と明かし、「今回もお客さんが満足できる作品になると思います。ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います。お待ちしております」とアピールした。
同作品には、ほかに、松平定敬役・高木渉、桂小五郎役・諏訪部順一、高杉晋作役・立木文彦、岡田以蔵役・朴璐美、沖田総司役・緒方恵美、仏生寺弥助役・石川界人と実力派声優が勢ぞろい。声優陣が瞬時に役を演じ分ける鮮やかな声の変化にも注目だ。
なお、同作品は12月3日、4日に大阪新歌舞伎座で上演を予定。大阪公演は、仏生寺弥助役を梶裕貴が務める。
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