「BOOKSTAND.TV」ナレーション・工藤遥にインタビュー! 久しぶりの収録に緊張?2020/07/10
――緊急事態宣言明けで久々の収録でしたが、感触はいかがでしたか?
元モーニング娘。のメンバーであり、現在は女優として活躍している工藤遥さん。今年の4月からは、「BOOKSTAND.TV」(BS12 トゥエルビ)のナレーションを務めています。知識豊富な水道橋博士と原カントくんが旬な人・気になる人を招き、じっくりと好きな本などの話を聞く同番組は、金曜深夜にカルチャーをお届けする、本と映画にまつわる総合サイト「BOOKSTAND」のテレビ版。そんな番組に、落ち着いた声で安らぎをもたらす工藤さんにお話を伺いました。
「久々でした! すごいかんでましたね(笑)。『BOOKSTAND.TV』っていう番組が特殊な趣味を持った方やピンポイントなこだわりを持つ方を扱う番組で、難しい本が多かったりだとか、メジャーな本が出てきたりするわけじゃないんですよ。だから、そもそもナレーションの文言が難しいんですよね。久しぶりで結構ボリュームがあるところや、難しい言葉だらけのところがあったりして、ちょっとてんやわんやしながら録っていました」
――しかし到着して収録を始められて、すぐにできていらっしゃいましたよね?
「いや、ディレクターチームはよくかむなあと思っていると思います(笑)。もうちょっとテンポよくしゃべる時もあるんですけど…ちょっと頑張らなきゃなと思いつつ。でも、本当に昔からお世話になっている方とかがいらっしゃるチームなので、分かってくださっているといいますか。私の良さを引き出しつつ、アドバイスもくれて、すごくやりやすい現場ではあります」
――細かいイントネーションであったり、難しい言葉が出てきていましたが、ナレーションをする上で心掛けていることはありますか?
「“普段こうやってイントネーション使っているけど、絶対どこか違うよな”っていう、自分への疑いを掛けながらしゃべっています。あんまり聞き慣れない言葉だったり、発する機会のない言葉は、もちろん読み方からイントネーションまで、しっかり聞きます。『映画』なんて身近で普段口にする機会も多いんですけど、正しいイントネーションが自分では分からなくて、『え(↑)いが』とか『え(↓)いが』とか両方使っちゃってると思うんですよ。日常で気付かない部分は訂正してもらいつつ、しゃべってる感じですね」
――イントネーションは普段意識しないと思うのですが、それを直すよう言われた時に対応できるのは何かコツがあるんですか。
「音で覚えることが得意なので、イントネーションというよりも音で覚えています。あと、同じイントネーションのものを連想させたりして発していますね」
――読むスピードはどう意識していますか?
「一応収める尺が決まっているから、迫ってくる時計にいつも急かされて、すごく焦りますね。だけど『もっとゆっくりしゃべっていいよ。ちょっとこぼれてもいいよ』って言ってもらって。あと自分が苦手な言葉や滑舌的に苦手な言葉とかが来ると、その前の部分で焦るので、早くなってしまうことがあります」
――苦心されているのがよく分かりますが、お芝居と共通する部分もありますか?
「ありますね。声だけで人を紹介するとか、次の展開につなげるとかは、それこそお芝居でナレーションの部分があったり…。そういうのに近かったりするから、そんなに難しいなって思ったりはしないですね」
――大きく違う部分はありますか?
「大きく違う部分は、全部説明ゼリフ…とは言い過ぎですけど、全部が説明だから言葉が難しいし、感情を入れて読むのともまた違う何かがあって。バランスを取りながら話すっていうのが難しいですね」
――感情を入れすぎてもまた違うんでしょうしね。
「そうですね。あと番組自体も遅い時間の放送なので、落ち着いたトーンで話してと言われています。落ち着いたトーンをベースに抑揚をつけていく作業を、どのくらいやっていいんだろうと思ったり。だから、自分の感情がどうとかいうことではないのが、大きな違いかなと思います」
――事前に練習したりするんですか?
「そんなにしないですね。来て、ぱーっと原稿を見て、1回読んでみて…ここは絶対かむだろうなってところはすごく集中してしゃべる、みたいな感じです。結構一発勝負なところが多いです」
――準備することはありますか?
「収録の日は早めに起きて、喉を起こしておこうって思ったり。もともと声が低い方なので、低いトーンでというのは私的にはすごく楽で、無理せずやれるからそんなに気を張っている感じではないですね。自然体で臨んでいます」
――4月からナレーションを担当されていますが、それまでにナレーションの仕事は経験があったのでしょうか?
「何回かあったんですけど、毎週レギュラーでやらせていただくのは初めてです。数えるほどしか経験がないので、初めてに近い感じでした」
――オファーされた時は、どう思いましたか?
「うれしかったですね。声を褒めていただけることが多いので、声を武器にお仕事できる機会が来たと思ってうれしかったです」
――周りの方の反響などはありますか?
「普段しゃべっていたりだとか、お客さんの前に出る時は、ちょっと高めに声を出しているんですよ。もともとマイクを通して聞こえてくる自分の声があんまり好きじゃなくて。ラジオとかでしゃべっていても、声が低いと思っていて好きじゃなくて、ちょっと高めにするようにずっと心掛けていました。その中での『なるべく低めに落ち着いたトーンで』自分の声を生かしてしゃべる機会だったので、あらためて声を褒めていただいたりだとか、年齢の割に落ち着いてるねって言っていただけたりしました」
――では、これからもナレーションの仕事を続けていきたいですか?
「勉強になることがたくさんあります。それこそ人を紹介しながらしゃべっていく難しさも、滑舌もあらためてここが苦手なんだなって課題を見つけられたりするのもそうですし、番組によってそれぞれ見えてくるものが違うと思うんです。この番組に関しては『へ~、こんな人もいるんだ』とか『こんなものあるんだ』って発見もすごくあるので、実際に自分がスタジオに行って皆さんとお話してというわけじゃないですけど、一員として盛り上げていけたらなって思っています」
――放送はご覧になっていますか?
「見ました、1回…。その後はまだ見てないんですけど…なんか怖くて。自分のナレーションのところを聞いて、始まるとちょっと渋い顔しながら、ちょっと飛ばしつつみたいな。聞きたいようで聞きたくない感じになりながら見てました(笑)」
――あまりチェックはしない方ですか?
「見るんですけど、免疫がつくまでにすごい時間が掛かるんですよ。自分が出てる姿をあんまり見たくなくて、自分はそのつもりでやっていたけど、実はそうじゃなかったみたいなことがどうしても出てくるんですよね。お芝居してたり、ナレーションしてたりしていても、いざ見てみるとイメージ通りに映ってないとか。そういう時に凹むので、最初何度かは飛ばしながら見て、慣らしてから全部見るみたいな…」
――できれば見たくないんですね。
「そう…。でも反省したいので、見たいんですけど。回数を重ねていけば慣れるかなと思ってます」
――人前に出る仕事をされているのに不思議ですね。
「そうですね、“人前に出る自分仕様”な感じがしてすごく嫌だっていうか。こっぱずかしくなっちゃって。見なきゃ見なきゃって思いながらも」
――最後に、工藤さんから見たこの番組の見どころを教えてください。
「メジャーではないものというか、深く掘っていかないとたどりつかない作品の詰め合わせというか。一つ一つ奥が深くて、ゲストで来られる皆さんも一つのことに対する知識量が膨大なんですよね。見ているだけで本当に引き込まれますし、好きなことを話す人ってこんなにもキラキラしてて、こんなにも楽しそうで、イキイキしているんだなっていうのを感じます。ぜひ番組を見ていただいて、新しいジャンルに触れていただいたりだとか、興味を持っていただけたらなと。私も未熟ながらナレーションを頑張っているので、私とは違って飛ばさずに見ていただけたらなって思います(笑)」
――ありがとうございました!
【プロフィール】
工藤遥(くどう はるか)
1999年10月27日生まれ。埼玉県出身。モーニング娘。OGで、現在は女優として活躍。BS12 トゥエルビの「BOOKSTAND.TV」では、2020年4月からナレーションを担当している。初主演映画「のぼる小寺さん」が公開中。
【番組情報】
「BOOKSTAND.TV」
BS12 トゥエルビ
金曜 深夜2:30~3:00
BS12 トゥエルビ担当 A・N
撮影/蓮尾美智子
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