山田裕貴「全然舞い上がってないです」 エキストラ時代の悔しさから「過去一」のシーンを作り上げた「ホームルーム」インタビュー【前編】2020/02/03
「怪人百面相になりたいんですよ。“山田裕貴は消えている”って思われるくらい」
インタビューでこんな言葉を口にするのは、2019年、映画「HiGH&LOW THE WORST」では圧倒的にけんかは強いがどこか抜けている鬼邪高校の番長・村山良樹役を、連続テレビ小説「なつぞら」(NHK)では主人公の幼なじみ・小畑雪次郎役を演じた俳優・山田裕貴さん。昨年は映画、ドラマ、主演を務めた舞台など多数の作品に出演。さらに今年は主演ドラマ2本に、声優として登場する作品も含めると既に4本の映画の公開が決定している。
放送中のドラマ「SEDAI WARS」(MBS/TBSほか)、「ホームルーム」(MBSほか)では異例の同時期2作主演。話題作への出演が相次ぎ注目も集まる中、「ホームルーム」の主人公を演じることについて「今活躍されている同世代の俳優の方々は、絶対この役をやらないだろうなって(笑)。逆にそれが自分の強みかなって思います」と、自身の立ち位置を客観的に捉え、はっきりと言葉にする。
人気ウェブコミックを実写ドラマ化した「ホームルーム」は、生徒からも人気の高校教師で「ラブリン」の愛称で親しまれる愛田凛太郎が、いじめを受ける生徒・桜井幸子(秋田汐梨)に優しく寄り添い、何かが起きるたびに助けに向かうというストーリー。しかし、実は幸子をいじめているのは愛田本人。
自分でいじめて自分で救う、自作自演を繰り返す愛田と、純粋な愛を持つ幸子、そんな2人を取り囲む個性的な生徒と先生たち。予測不能な展開に目が離せないドラマで、山田さんも「最終話まで見たらみんな泣いちゃうと思います。最後まで見てもらったら、“愛”に対する考え方が変わってるんじゃないかなってくらい」と熱弁する作品だ。
1月26日に放送された「情熱大陸」(TBS系)では、俳優を志して上京した頃の思いをこう振り返った。「俳優になるしかない、それ以外は“死”だ」。今、考えていること。あの頃、考えていたこと。山田さんに、熱い思いを聞いた。
変態教師役のオファーに「“いい子”のイメージから思い切り脱却できるなって」
「面白い役をやりたいという気持ちに、制限をかけないというか。どんなところでも飛び込んでいこうとするのが自分の強みだと思っていて。ちょうど朝ドラが終わり、舞台が終わり、なんかこう…。“いい子”のイメージから思い切り脱却できるなって」と本作のオファーがあった時の心情を振り返り、「ただ一つ心配だったのは、汐梨ちゃんにいろんなことをしてしまうので、嫌われないか心配でした(笑)」と、冒頭から取材の場を和ませる。
既に放送を終えた第1話から、早速変態っぷりを露わにした愛田。幸子の家に忍び込み、ベッドで眠っている幸子に「黄金比の法則」の授業を“開講”。熟睡しているのをいいことに、足の指先を愛(め)でたり、髪をなでたり。それだけでなく、そんな狂愛を見せる愛田の姿はなんと常に“全裸”。
「不思議なことに、演じていくたびにラブリン(愛田)の気持ちがどんどん分かるんですよね。“変態”っていう言葉を使われているけど、ラブリンにとっては純粋な愛だし。役に入り込んでいるうちは本当に苦しくて、『幸子、幸子、幸子!!』ってなるんです。だから、幸子の写真が壁一面に貼られている部屋にいるとすっごく落ち着くんですよ。気持ち悪いってなるじゃないですか、普通。でもね、不思議なもんで(笑)」。
役に入り込み、自分の言葉と表現方法で役を動かしていく山田さん。愛田なりの“愛し方”をアドリブで演じることも少なくなかったそうで、幸子役の秋田さんによると「段取りの時から山田さんは自由に演じていました(笑)」とのこと。
「ギリギリのライン、さらに汐梨ちゃん本人も悪い気がしないラインを狙って、攻めていこうと。ふっふっふ(笑)。本当はもうちょっとね、いろいろしたかったんですけど。あ、ラブリン的には、ですよ!(笑)」と笑顔を見せる。
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