「第22回テレビ朝日新人シナリオ大賞」大賞は史上最年少・若杉栞南に決定!2022/09/30
2000年7月の創設以来、数多くのシナリオライターを輩出してきた「テレビ朝日新人シナリオ大賞」。その第22回受賞者が決定。東京都港区六本木のテレビ朝日本社内で、授賞式ならびに受賞発表会見が行なわれた。
「テレビ朝日新人シナリオ大賞」は22年におよぶ歴史の中で、古沢良太氏、坂口理子氏、小峯裕之氏、伊藤洋子氏など多数の才能を輩出。第一線で活躍する人気脚本家が最終選考委員を務めることで話題を呼び、回を重ねてきた。22回目となる今回は、「家族」というテーマを設けてテレビドラマ脚本を募集。今年3月1日の締め切りまでに計1064編の応募があり、第1~3次選考と審査が行なわれ、第3次選考で10編に絞り込まれた。
そして、9月5日、選考委員の井上由美子氏、岡田惠和氏、両沢和幸氏の3氏による最終選考会を実施。3編の受賞作品が決定した。大賞に輝いたのは、若杉栞南(わかすぎ かんな)氏の「拝啓、奇妙なお隣さま」。また、優秀賞には平岡達哉(ひらおか たつや)氏の「さすらいのパンツマン」、宮本真生(みやもと まうい)氏の「代表取締役息子」が選ばれた。
大賞を受賞した若杉氏の作品「拝啓、奇妙なお隣さま」は、同じ病室で昏睡状態のまま寝たきりになっている3人(高校生、高齢者、教師)が、何も知らない家族をよそに意識の中で会話を繰り広げるという内容の意欲作。選考委員の3人からも「プロになって俳優さんのことを考えるとなかなか書けないタイプの脚本。でも読んでいくうちにそんなことはどうでもよくなり、映像になったものを見てみたいと思った」(岡田氏)、「とてもユニークな発想で、隅々までアイデアを目配せして書かれた脚本」(両沢氏)、「主人公の患者たちと家族の感情にリアリティーがあり、悲劇と喜劇、絶望と希望のバランスが巧み」(井上氏)と絶賛の声が上がった。
史上最年少での受賞となった若杉氏は「このシナリオ大賞がスタートした時はまだ生まれていなかったのですが、第22回の大賞を22歳という年齢でいただけたことをうれしく思っております」と喜びを語るとともに、今回の応募について「就職を考える中、どうしても脚本を書いていきたいという思いが消えず、“就職せず、脚本家を目指したい”という決意を家族に伝えた時、彼らはなんら否定せず、『じゃあ頑張りなさい』と背中を押してくれました。そんな家族を持った私が、家族をテーマに描いた作品で大賞をいただくことができ、心から感謝しています。これからたくさん脚本を書いて、どんなものでも若杉栞南の脚本だと分かるような作品をたくさん残せたら。この賞をこれからのスタートラインだと思って頑張っていきたいと思っております」と、涙を浮かべながら家族への感謝の念を明かした。
若杉氏は、今回の大賞受賞について「連絡をいただいた時点で、家族に受賞を伝えました。この作品を書くにあたって、“家族って何だろう”と考えた時、すごく温かいもので包まれていることに気が付きました。そんな家族の温かさを作品に埋め込めむことができたと思ったので、最初に家族に連絡しました」と述べ、「両親が共働きのため、3人で夕飯を食べたこともほとんどありませんが、例えば受験など大事な場面には、どんなに忙しくても時間を作ってくれるような家族のもとで育ちました。寂しくなかったかといわれればそうではないかもしれませんが、それでも大事な時にはそばにいてくれる家族です」と熱い思いを口にした。
「さすらいのパンツマン」で優秀賞を受賞した平岡氏は、「自分の書きたいことを詰め込んだ作品で先生方に選んでいただけたことを光栄に思っております。普段、テレビ業界で働いていますが、昔からとにかくドラマ脚本への憧れを持ち続けていました。でもなかなかその機会がなく、私にとってドラマの世界は近いようでとてつもなく遠い存在で、そんな中、このような大きなきっかけをいただいて何よりうれしく思っております。これからはいただいたチャンスを無駄にしないよう、1日でも早くドラマ脚本家としてデビューし、現場の方から信頼される脚本家として活動できるよう日々精進していきたいと思っております」と決意を語った。
同じく「代表取締役息子」で優秀賞を受賞した宮本氏は、「実は2年前、別の賞をいただいた時は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で授賞式も中止になり、後日、自宅に賞状と目録が郵送されてくるという寂しい思いをしたのですが、今回は大々的に授賞式に呼んでいただけてうれしく思っております。ドラマは自分を含めて大勢の人に見てもらうもの。特定の人に突き刺さるような深い作品を作りたいという思いはありつつも、その一方で本質的な意味では誰も傷つけない、令和の脚本を描いていければと思っております」と意気込んだ。
今回3人を講評した選考委員からも、3人へメッセージが送られた。岡田氏は「これまで僕ら脚本家は毎週、“引っ張り”を作って、次の週まで待ち遠しく思っていただけるような作りをしてきましたが、今や10話同時に配信される時代。ドラマは違うフェーズに入ってきたような空気があります。それでもやっぱりエンターテインメントは求められていると思います。一緒に頑張っていきましょう!」とエールを送り、 両沢氏は「シナリオ大賞が始まって22年、その間に随分ドラマの状況も変わりました。ドラマ界は今、過渡期にあると思います。これからの新しいドラマ作りを3人に期待したいと思います」とコメント。
井上氏は 「先日、“アメリカ同時多発テロから21年”というドキュメンタリーを見て、その年にテレビ朝日新人シナリオ大賞が始まったことを思い返しました。そこからずいぶん世の中は変わり、テレビドラマも大きく変わりました。配信やインターネットといったテレビの“ライバル”のようなものができ、ドラマに対して求められるものが変わってきたことを、私自身も感じています。ただ、ドラマでも映画でも、最初の設計図がシナリオであるというのはこれからも変わりませんので、3人の方々にはドラマ界を引っ張る存在になっていただきたい」と期待を寄せた。
さらに、「今回の受賞作を勲章にしないでください。受賞すると、どうしても『あの時よりもっといいものを』『タッチを変えて書かなければ』など、いろいろなことを考えて自由じゃなくなってしまいがちです。明日までは喜びに浸っていただいて、その後は受賞を忘れ新しい気持ちになって、次の作品に挑んでいただきたいと思います。それが皆さんの可能性を広げることにつながります」とエールを送った。
記者からの質問では、「テレビ朝日のドラマ脚本を担当するとしたらどんな作品を書いてみたいか、 想定する主演俳優も教えてください」という質問が寄せられ、大賞を受賞した若杉氏は「今まで書いた作品はヒューマンドラマが多かったのですが、自分の中で多重人格をテーマにしたドラマを書いてみたいという思いがあります。単なる多重人格の話ではなく、内面にあらわれる人格の中でヒューマンドラマを描けたらと思っています。もしかなうのであれば、仲野太賀さんにお願いできたらと思っております」と回答。
「深夜ドラマを書いてみたい」としたのは平岡氏。「主人公が社会的につらい立場にいたり、コンプレックスを抱えてもがき苦しんでいるような…。そういう若者たちの奥底に秘めた熱い気持ちを描くような作品を書きたいと思っています。岡山天音さんのような俳優さんに出演していただければうれしいですね」と展望を語った。
宮本氏は「自分は普段、小説みたいなものを書いていまして、いろいろ小説も読んでいます。もちろんオリジナルも書きたいのですが、面白い原作があれば、挑戦させていただけたら…。個人的に黒木華さんの演技が大好きなので、もし作品でご一緒できたら号泣してしまうと思います(笑)」と希望を話した。
なお、大賞には賞金500万円、優秀賞には100万円が贈られ、授賞式では受賞者の3人にテレビ朝日代表取締役会長・早河洋氏から賞状が贈呈。次回、第23回の募集については、近日テレビ朝日公式サイト(https://www.tv-asahi.co.jp/shinjin/)で発表される。
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