岩田剛典が新たな一面を披露する「一橋桐子の犯罪日記」の見どころとは? エンタメへの思いも告白2022/09/16
松坂慶子が主演を務め、NHK総合で10月8日にスタートする連続ドラマ「一橋桐子の犯罪日記」(土曜午後10:00)に出演する岩田剛典が、撮影の感想や作品の見どころについて語った。
ドラマの原作は、原田ひ香氏の人気小説。主人公・一橋桐子(松坂)は、ついの住みかを刑務所に設定し、「 できるだけ人に迷惑をかけずに捕まる道」を模索し始める“ムショ活”に真剣に取り組む。すると新たな発見や出会いを得て、皮肉にも生活は生き生きと変化する。高齢者の孤独や、生活の厳しさを背景としながら、同時に「人生の生きがいとは何か」「人と人との結びつきの大切さ」を浮き彫りにする、切なくて笑える“終活青春グラフィティー”だ。同局の「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮ら」も手掛けた脚本家・ふじきみつ彦氏が、桐子の世界をユーモアたっぷりに描き出す。
岩田は本作に、松坂演じる桐子が頼りにするパート先の上司・久遠樹役として参加。オファーを受けた際は「トリッキーなストーリーだなと思った」そうだが、「脚本の面白さにひかれました。しかもそれを松坂慶子さんが演じられるというので、ぜひ参加したいなと思えた企画でした」とすぐに出演を決めたことを明かす。
久遠のキャラクターについては、「まずはパッと見のビジュアルが、普段と全然違うので、そこはすごく新鮮に感じていただけるのではと思います。役柄も、これまで演じてきたものと違うイメージなので、ファンの方にも楽しんでもらえるんじゃないかと。久遠は主人公にとって、“犯罪計画のアドバイザー”的な感じかと思うのですが、大きな影響を与える人物だったので、とてもやりがいのある役柄でした。見た目はワイルドですし、もともと刑務所に入っていた過去があったりとか、ちょっと特殊ですよね。あとインテリな面もあって、〇〇〇(ぜひ本編でチェックを!)を目指していたとか。そこのバランス感はかなり特殊な人物だなとは思いつつも、人に対しての向き合い方がちょっと不器用な感じだったり、人間味のある、すごく普通の人だなとも思います」と、これまでの自身のイメージとは違ったキャラクターであることを説明する。
桐子との出会いにより変化していく久遠を演じるにあたっては、「最初は素性が分からないというストーリーでの立ち位置で進んでいくのですが、だんだん桐子に心を開いていきますし、その中でちょっとずつ人間性が見えてキャラクターになっていく。順撮りではなかったので、変わるきっかけだけこのシーンだなと決めて、そこでの前後の芝居を意識しながら変えるという感じでした」と自身の中で役柄を組み立てながら撮影に臨んだことを伝えた。
脚本の面白さに関しては、「親友を亡くしたお年を召した方が、残りの後生をどういうふうに過ごしていくのか、また残された時間が限られた中での“幸せの在り方”だったりとか。今回の作品のテーマはある意味、日本における社会問題でもあると思います。高齢化社会においてどのように有意義に時間を使って、人それぞれの幸せをどういうふうに見いだしていくのか、登場人物の複雑な絡み合いでそれを表現していく」部分にあると言及し、主人公は70歳だが、岩田の中でも共感する部分を尋ねると、「まだ自分が70歳になった時のことは想像できていないですけれど、きっと年代それぞれによって生きるモチベーション、生活のモチベーションって変わってきていると思うんですよね。自分が10代の頃とは今違うモチベーションで生活してると思いますし。“今を生きる”というとかっこつけた言い方になりますが、今を一瞬一瞬紡いでいくことが、未来につながるかなというマインドで生活しています。70くらいになったら自分のやりたいこともある程度やりきって、ある程度いろんな景色を見て、いろんな人と出会って、そしてこの先自分の人生何を残していくか。これって普遍的なもので、誰しもがぶちあたる問題だと思うんですよね。今回の作品を通して、結局“人のために生きていることが幸せになるのかな”ということを感じました」とあらためて気付きあったことを話す。
さらに、今回の物語は、主人公の桐子が希望を失った状態からスタートするが、岩田にとって、日々のモチベーションを高める“やる気の源”はどんなことにあるのか、聞いてみると、「好きなことをお仕事にさせてもらってると思ってるので、あんまりやる気がなくなったことって、そんなにないんですね。でも“息抜き”とかは大事にしてますね。こうした(芸能の)お仕事で、目まぐるしく過ごさせていただいてるので、心の休息だったりとか。体力的な面もそうですし、どこかリフレッシュしたりする時間がないと自分の中でバランスが取れないなというのを、長年やってきて感じてますので。ちょっと外の空気吸ってみたり、ちょっとお酒を飲んでみたり、そういうたわいもないことかもしれないんですけど、リフレッシュの時間は大切にするようにしています」と明かした。
そして、芸能界での仕事を通して、学んだことや気付いたことに関しては、「芸能界は、間違いなく“時代”を相手にしないといけない職業でもあると思っていて。同じこと、同じクオリティーのものでも、違うタイミングで出すと同じ結果には結び付かなかったりする職業だと思っているんですね。やはり、その時代に合わせて、ニーズをちゃんとキャッチしていかないといけないですし、問題ないだろうと思って出したものでも、それが自分たちが想像していた評価より下回って返ってくることも多々あったりと、予想しづらい、想定しづらい職業だなと思っています。移り変わっていく時代を相手にしないといけない職業の中で、思いの部分だけは、やはりぶれずにもっていることが、最終的には自分を支えてくれるのかなと感じています。一つ自分の軸、ショウビズが好きだったりとか、エンタメが好きだったりみたいな根本的な部分。人を元気にしたいとか、そういう部分は忘れずに情熱を持ち続けること。最終的には、それしかないのかなと感じますね」と持論を口にした。
そんな岩田にとっての「今の軸」という部分を聞かれると、「僕は好きでこのお仕事をやらせていただいていますので。好きなことで生活できて幸せなんですね。そして、ファンの方々と接する機会の多い職業でもありますので、やはり喜んでいただいたりだとか、そういった声を感じられた瞬間って、とてもうれしい気持ちになりますし。自分の社会的な存在意義というか、表に出る人間のある意味、使命というか。ここまでやらせてもらえたことも、本当に奇跡みたいなことだと思っていますが、せめてもの恩返しみたいなところで。自分を信じて応援してきてくれた方々が、悲しい思いをしてほしくないなって自分は思っています。そうした思いを、これからもアーティストとして届けたいなという思いもありますし。俳優業も、感動を扱う職業だと思うので、心を動かされたりとか、人生のきっかけの一つみたいなことを、生むことができていたらと思います。この世界に憧れて入った人間として、やっぱり夢をもらった立場から、夢を与える側の立場になった人間の1人として、そこはちゃんと責任持ってやり遂げたいなという思いですね」と真摯(しんし)に語った。
最後に、あらためて本作の撮影を振り返り、「本当、あっという間の撮影でしたね。凝縮されたような撮影期間で。また、とにかく暑い中での撮影でしたので無事撮り終えてホッとしました。屋上のシーンがあるのですが、溶けるような暑さでした。あとはやっぱり主演の松坂さんとのお芝居が楽しかったです。松坂さんの持つ、包み込むような温かさというか、そういったものに自分も大船に乗ったつもりで、全力でやらせていただいた、そういう期間でしたね」と回顧。
ドラマの見どころについては、「一言でまとめるのは難しいくらいに、いろいろな見どころがあるドラマですが、本当に現代の日本の社会が抱えるような、人それぞれの悩みだったり、苦しみみたいなものをコミカルに描いている作品ですし、人それぞれの“幸せの定義”をあらためてこの作品を通じて考え直すことができると思います。でも、基本コメディーだと思うので、登場人物それぞれの濃いキャラクター像を楽しんでいただける、見応えのある作品になっています。1話をご覧いただければ、『最終話はどんな結末になるんだろう』と、その後も毎週楽しみにご覧いただけると思います」とアピールした。
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