アイナ・ジ・エンド×爪切男「死にたい夜にかぎって」のユーモアに学ぶ、“愛”「批判することが簡単な時代だからこそ、愛のある人に」2020/03/12
「『死にたい夜にかぎって』に出会えたことは、宝物です。死にたい夜にかぎってのおかげで、死にたい夜を超えていくことができました」
著者自身の実体験を基に綴られた爪切男(つめきりお)さんの小説「死にたい夜にかぎって」(扶桑社)。魅力的な女性たちとの忘れられない失恋エピソードが、ユーモラスな筆致で描かれた作品です。そんな「死にたい夜にかぎって」との出会いを「宝物」だと言い、文庫版には解説文も寄稿している、BiSHのアイナ・ジ・エンドさん。
本作に感銘を受け、2019年8月にはBiSHが所属するWACKとSWの企画によるZINE「AiNA wo FUCK and FUCK」で爪さんに対談のオファーもしたことのあるアイナさんは、主演に賀来賢人さんを迎えた「死にたい夜にかぎって」(MBS/TBSドラマイズム)の実写ドラマ化にあたり、エンディング主題歌を書き下ろし。原作、ドラマと同名の楽曲「死にたい夜にかぎって」は、アイナさんにとって「人生初めての“曲の書き下ろし”」となったそうです。
このたび、原作のファン・アイナさんと、原作者・爪さんによる対談企画を実施。アイナさんのZINEでの対談以来、話をするのは2度目というお二人が、「愛」を語ります。
「僕とアスカの物語の主題歌を、本当の意味で作ってくれたような気がしたんです」
──お二人でお話されるのは、アイナさんのZINEでの対談以来ですか?
アイナ 「そうです。爪さん、すごいですね。ドラマ化されて」
爪 「僕は何もしてないです(笑)。曲、ありがとうございます。この前、BiSHのコンサートに行ったんですよ」
アイナ 「そうなんです。来てくださって」
爪 「東京国際フォーラムの2階席から見させてもらって。あいさつに行こうかなと思ったんですけど、分不相応だなと思って(笑)」
アイナ 「どういうことですか(笑)」
爪 「楽屋の近くまで行ったんですけど、なんだか周りの雰囲気に負けて恥ずかしくなっちゃって。あいさつせずに帰りました(笑)」
アイナ 「え~(笑)」
──アイナさんにお聞きしたいのですが、エンディング主題歌「死にたい夜にかぎって」はどのように制作されたのですか?
アイナ 「昨年の10月末か11月頃に、(BiSHの所属レーベルの)エイベックスさんからお話を聞きました。エイベックスのスタッフさんも、私が原作をすごく好きだということは知っていたので『よかったじゃん!』『うれしいね』って言ってくださっていて。その時はエンディング主題歌を歌わせていただけることをただただ喜んでいたんですけど、どうやら自分で曲を作るというお話だと分かって。『これはヤバい!』『書き下ろしとかしたことない!』って、慌てました」
──曲を書き下ろすのは、本作が初めてだと伺いました。
アイナ 「初めてだったんです。でもいざ曲を作ってみると、『死にたい夜にかぎって』の原作を読んだのは2年も前なのに、爪さんの言葉がずっと脳裏にこびりついていて。だから苦しまずに作ることができました。すらすらと歌詞も浮かんでくるし、『爪さんだったら、こういう雰囲気、こういう瞬間は、こんなことを言うかもな』って感じた言葉を音に落とし込んだりして。私の曲を書き下ろす初めてが『死にたい夜にかぎって』でとてもよかったし、光栄です」
爪 「なんでもね、初めてはありがたいですね」
アイナ 「…そうですか?」
──……。
爪 「そういう意味で言ったんじゃないですよ!(笑)」
アイナ 「(笑)」
爪 「違いますって!(笑)。僕、今まで“初めて”にはなかなか選ばれない人生でしたから!」
アイナ 「(ちらっと爪さんを見て)」
爪 「うれしかったですよ?」
アイナ 「(笑)。独特ですよねぇ(笑)」
爪 「自分の描いた作品に曲を書いてもらうというのは恥ずかしいですね。でも、僕も出来上がった曲を聴かせてもらった時、何も違和感がなかったんです。先ほどアイナさんがおっしゃっていた『すらすらと歌詞が浮かんでくる』というのが、逆の立場からしても納得というか」
アイナ 「うれしいです…!」
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