ロッチ、お悩み相談番組「ロッチと子羊」で教えてもらいたいのは…「番組をずっと続けるにはどうすればいいですか?(笑)」2022/06/16
ロッチのお二人が出演するお悩み相談番組「ロッチと子羊」(NHK Eテレ)。2021年に開発番組として放送され、今年4月からレギュラー番組としてスタート。悩みを抱える“子羊さん”に対して、悩みのプロフェッショナルである哲学者の言葉を、山口大学の小川仁志教授が分かりやすく解説し、解決への糸口を見つけます。
毎週、子羊さんの悩みに優しく寄り添うロッチのコカドケンタロウさんと中岡創一さんに、番組に対する思いや自身の悩みに関するエピソードなどを伺いました!
──初めての冠番組のテーマが哲学だと聞いた時は、どんな心境だったのでしょうか。
コカド 「もともと哲学には興味がありましたし、学ぶ系の番組をずっとやりたいと思っていたので、希望にぴったり合った感じがしました。もし、この番組をほかの芸人がやっていたら、すごく嫉妬して『めっちゃいい番組やってるな~』と本気で言っていたと思います」
──レギュラー番組がスタートしてから、周りの反響を含め手応えはいかがでしょうか。
コカド 「反響はとてもいいです! 見てくれた方ほぼ全員に『面白い番組やってるね』と言っていただきました」
中岡 「この番組は興味深く見てくださっている方が多い印象です。社交辞令で『面白かったよ』と言われている時って大体分かるんですけど、『ロッチと子羊』に関しては、番組の内容を詳しく聞いてくださったりするので、本当に楽しんでくれてるんやなと感じています」
コカド 「この間、高田文夫さんのラジオ(「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」)に出演させてもらったんですけど、高田さんもすごく楽しく見ていただいているみたいで、事細かく聞かれましたね」
中岡 「占い師の子羊さんが出演した回を見て『占い師の悩みを聞く番組なんて初めてだ!』って(笑)」
コカド 「占い師さんに『幸せってなんですか?』って悩みをぶつけてこられてね」
中岡 「僕たちで解決できるのか不安だったんですけど、スッキリして帰られたので、哲学ってすごいな~とあらためて思いました」
──これまで放送された中で、印象的な回はありますか?
中岡 「(6月2日放送の)ロックな居酒屋店主の子羊さんが『仕事を休めと言われても休めない』という悩みに、(哲学者の)ヘーゲルの言葉を用いて解決するという回だったんですけど、最初『俺は譲らないぜ』のスタンスだった子羊さんがコロッと変わって、『ものすごくふに落ちました』と言いながら気持ち良さそうに帰られた姿を見た時は、僕も気分が良かったですね」
──放送を見ると、とてもスッキリ帰られた印象があったのですが、実際もそうだったのですね。
中岡 「収録が終わってからも『この回に来られて良かった』とおっしゃってました。僕らも『ヘーゲルの言葉を思い出して、休める時には休んでくださいね』と、気持ちよく送り出したのを覚えています。オンエアでは、悩み相談が1人15分くらいなんですが、実際の相談時間は4~50分ぐらいかけてやっているんです。すぐに納得したと見えるかもしれないんですけど、時間をかけて哲学の言葉を砕いて説明しているので、現場では『いいの撮れたな~』という感触でしたね」
──もともとお二人は、哲学に対してどのようなイメージを持たれていましたか? 番組を通して考えが変わったことがあれば教えてください。
コカド 「哲学は“苦悩から生まれるもの”というような、どうしても堅いイメージがありましたけど、やっぱり小川先生の存在によって変わったというのはありますね。ご自身も哲学者なんですけど、茶髪でパーマをあてているチャラめの感じなので…」
中岡 「カールスモーキー石井さんみたいなね(笑)」
コカド 「その見た目とノリのおかげもありますし、難しい哲学をすごく簡単に分かるように解釈して伝えてくださるので、そんなに難しく考えなくても大丈夫だなと、考えが変わりました」
中岡 「僕はいまだに難しいとは思っています(笑)。でも、聞いてみると意外とシンプルなんですよね。哲学って本当はシンプルなんだということを小川先生が教えてくれるので、すっと頭に入りやすいんじゃないかなと思います」
──もし、お二人が子羊ちゃんとして出演するなら、今どんなことを相談したいですか?
コカド 「一番は『ロッチと子羊』をずっと続けるにはどうすればいいですか?ということですね。初めての冠番組なので、終わらないようにやり続けたいです。哲学でどうにかなるのかな?(笑)」
中岡 「僕は、髪質…」
──(笑)。哲学で解決できそうですか…?
コカド 「今まで哲学者の写真をいっぱい見てきたけど、大体みんな髪質悪そうやったで」
──(笑)。6月16日に放送される回では若手芸人の悩みを聞かれていますが、共感することはありましたか?
中岡 「めちゃめちゃありましたよ。ネタを考える側と考えない側の気持ちのぶつかり合いなんて、同じように悩んでいるコンビをたくさん見てきましたからね。すごく共感できました」
コカド 「あとは、自分がやりたいこととお客さんが求めているものの違いとかね。昔はそういうことにも悩んでいたな~と」
──出演される子羊の方々は、皆さん自然体で素直に話されている感じがしますが、ロッチのお二人は悩みを聞く際に意識していることなどありますか?
コカド 「子羊さんと一緒の気持ちになって考えるということですかね。僕たちだけでは悩みを解決できないので、 共感できるところを探したり、寄り添って話を聞けたらなと思っています。少しでもいい方向に行けるようにアドバイスできたら…と」
中岡 「僕は口角を上げてニコニコしながら、なるべく楽しい雰囲気を作って子羊さんを迎え入れています。そんなことしかしていないです(笑)」
──今後、悩みを聞きたい職業の方などいらっしゃいますか?
コカド 「例えば棋士の方とか、個人で戦っている方の悩みを聞いてみたいですね。これまでの放送では、人との関係性に悩んでいる方が多かったので、1対1の戦いをしている方の悩みを知りたいです」
中岡 「今、多いと思うんですけど、SNSで悩んでいる人の話を聞きたいですね。どんな哲学を用いた解決法があるのかなという興味があります」
コカド 「確かに、現代の悩みを2000年以上昔の哲学者の言葉で楽になるというようなこともあると思うので、そういう最先端の悩みもいいですね」
──お悩み相談番組というジャンルで、ほかの番組にはない「ロッチと子羊」の魅力とはどんな部分でしょうか?
コカド 「今は存在していない人の言葉を参考にするのってほかではなかなかないですよね。哲学者の方が一生をかけて出した答えを小川先生が今の言葉に解釈して、分かりやすく説明してくれるというところが一番の魅力なのかなと思います」
中岡 「あと、この番組ではもう一歩踏み込むんですよね。子羊さんの話を聞いて哲学で解決した後“どうすれば実践できるのか” というやり方も、先生が教えてくれるんです。考え方は分かったけど実行できないという人が『こんなふうにすればいいのか!』と、ここでスッキリする人が多いですね」
──これまで、抱えてきた悩みが第三者の言葉で解決したような経験はありますか?
コカド 「僕は滑舌が悪くて、事務所にも言われて滑舌を良くするための教室にも通っていたんですけど、番組で“滑舌悪い芸人”というのをフィーチャーしていただいた時に『これは治さなくていいんや』と思えるきっかけになりました。芸人をやっていると、自分のマイナスな部分が武器になるという経験は多いですね」
──言葉というより、企画に救われたというような…?
コカド 「そうですね。でも、“滑舌悪い芸人”という言葉のおかげというのも大きいです」
──では、身近な人の言葉によって気持ちが軽くなったという経験もありますか?
コカド 「身近な人でいうと、(笑福亭)鶴瓶師匠が『ロッチは素人のプロやねん』と言ってくださったことがあって。『素人っぽさが芸になっているから、そこがいい。ほかのコンビにはないところや』と言っていただいてから、コントでうまく演技ができなくても、それでいいんだって思えるようになって気持ちが楽になりました」
中岡 「あと、鶴瓶師匠が『自分の運がいい時はいろんな人に運をあげてるんや』と言っていたので、僕が『そんなに人にあげてたら自分のがなくなりますやん』と言ったら、『あげた分だけ増えるんや』と。その考え方がすてきだな~と思いましたね」
──最後に、この番組をどんな方に見てもらいたいですか?
コカド 「どの世代でも…と思うんですけど、一番は学生ですかね。中・高校生ぐらいの、いろんなことを気にしたり悩んでいる過去の自分に見せてあげたら、すごく心が楽になるんだろうなという言葉が毎週たくさん出てきます」
中岡 「たとえ自分には悩みがなくても、“こんな考え方があるんや”と発見する楽しさがあるので、 どの世代の方にも見てもらいたいです。特に、同じ年代の方には僕と同じ目線で楽しんでいただきたいですね」
6月16日・23日・30日は「下北沢 若手芸人の悩み」
お互いの意見が全く合わないというコンビや、友情と仕事の両立に悩むコンビなど、芸人ではなくとも共感できる悩みを抱えた子羊さんたちが3週にわたって登場。どんな哲学者の言葉で解決に向かっていくのか…あっと驚く結末に注目です!
【番組情報】
「ロッチと子羊」
NHK Eテレ
木曜 午後8:00~8:30
NHK担当・M
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