「花嫁未満エスケープ」“尚くん”役の中川大輔に聞く!「今までで一番勉強になった」ドラマの見どころ2022/06/09
木ドラマ24「花嫁未満エスケープ」(テレビ東京系)は、結婚適齢期を迎えた主人公の女性・柏崎ゆう(岡崎紗絵)が、偶然再会した同級生・深見一(浅香航大)と、同棲していた元カレ・松下尚紀(中川大輔)との間で揺れるトライアングルラブストーリー。中川は、「仮面ライダーゼロワン」(テレビ朝日系)の人工知能搭載人型ロボット・迅役で一躍人気となり、その後も「ボイスⅡ 110緊急指令室」(日本テレビ系)、「阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし」(NHK総合)など、話題作に続々出演している注目の若手俳優の1人だ。
「今までの作品で一番勉強になった」と語るほど、本作では監督からの厳しいディレクションに苦戦したという中川。恋人に依存しきった、まるで子どものような青年という役どころに、どのように挑んでいるのか。愛着を持って演じる尚紀という役への思い、撮影の裏側などを聞いた。
── 中川さんは、演じている松下尚紀という人物をどのように捉えていますか?
「序盤の方は自分勝手で子どもっぽいのですが、それとは別にかわいらしいところもあって、そこが魅力だなと思いました。終盤では周りにも気遣いができるようになり、物語の中で一番成長する役なのかなと思います」
── どういうところを大事に演じられていますか?
「演じ方によっては嫌な人に見えてしまうと思ったので、(主人公の)ゆうちゃんが好きだっていうことを大事に、かわいらしいところは振り切って演じようと思いました」
── 子どもっぽさも意識して?
「すごく意識しましたね。そこはライバルの深見に勝てるポイントかなと思ったので(笑)、深見とは真逆の子どもらしさで視聴者の方に魅力的に思ってもらえたらなと。台本で『ここ、かわいくできそうだな』と思ったところは特にマークをしていました」
── ゆうと尚くんの関係性についてはどうご覧になっていますか?
「リアルだなと思いました。尽くし過ぎてしまう人に対して、やってもらうことが当たり前の関係になってしまっていて。お互いがお互いに依存しきってしまって、ああなったんでしょうね。よくない老夫婦のような関係性になっているなと思いました」
── あんなふうに何でもやってくれる女性はいかがですか?
「お母さんみたいですよね(笑)。実家に帰ったら何もしなくなっちゃうっていうのに似ているなと思います。ゆうちゃん役の岡崎さんとも、『俺(尚紀)も悪いけど、ゆうちゃんも悪いよね(笑)』と冗談で言っていました」
── 演じる上で難しかったのは?
「尚紀に好意を寄せる会社の後輩・堀田マミ(美山加恋)とのシーンが特に難しかったです。自分を好きでいてくれる相手にあんなに冷たい態度を取るっていうのが、僕の中には全くなくて。しかも友達としては仲がいいので、ちょっと想像しづらかったですね。オンエアを見たら、やはり苦戦しているなと自分でも思いました(笑)」
── あれは、変に相手に気を持たせないという尚くんの優しさなんでしょうか?
「尚紀としては、完全に“ゆうちゃんしか好きじゃない”ということの表れだと思っています。そこも魅力的な部分なのでうまく演じられたらなと思ったんですけど…難しかったです」
── 中川さんとしては、ありえないことなんですね。
「そうですね。あんなに冷たくはできないです。子どもっぽいところとか、だらけているところとか、酔っぱらっちゃったりするような部分は共感できたんですけど(笑)」
── 中でも一番共感したのは?
「4話の最後に、尚紀はゆうちゃんからキスを拒まれたシーンは、放送を見てわれながらすごくかわいそうになりました。こんなふうに彼女にキスを拒まれたら、もう終わりじゃんって(笑)。尚紀に感情移入していたので、胸が痛みましたね。ほかにもたくさん共感できるところはありました。結婚適齢期だけど、まだ結婚に踏み切れない気持ちとか、魅力的な深見に嫉妬しちゃう気持ちとか」
── 深見にはやっぱり複雑な思いがありますか?
「自分より優秀な人と彼女が仲良くしているって、一番いやなんじゃないですかね。僕自身も、自分がすごいと思っている男性が彼女の元カレだったらすごく複雑だと思います。その感情は台本を読んで分かりました」
── 尚紀ははっきりと「近寄らないでください」って言いましたよね。
「そこも尚紀のいいところだなと思いました。外ではシャキッとしているんですよね(笑)。現場でも『仕事はできるけど、普段の生活のこととなると全然だめっていう人、いるよね』って、みんなと話していました。外で気を張っている分、家でああなっちゃうんだなって」
── 家ではだめだめな尚くんですが、実は指輪を買っていたという優しいところもありました。
「本当に、タイミングが悪かったですね。あの一連のシーンは、特に尚紀のことをいいなと思えたシーンです。それに、演じていてプロポーズのことを考えるのって楽しいんだなとも思いました。ここまでやって断られたら…って考えると緊張しそうですけど(笑)。でも、彼女の仕事の頑張り時に結婚のことを言い出せないというのはすごくリアルですよね。逆に男性が仕事頑張りたくて女性が言い出せないっていうこともあるだろうし…。20代後半の方々には本当に響く作品なんじゃないかなと思います」
── プロポーズとかしてみたくなりました?
「そうですね。結婚というものへの実感はまだ全くないですけど(笑)」
── 結婚願望自体はあるんですか?
「ありますね。子どもも好きですし」
── こんな奥さんがいいなっていう理想は?
「僕がイヌぽいので、ネコみたいなちょっとドライな感じの人がいいかも(笑)。構ってほしいイヌと嫌がるネコみたいな(笑)、そういう関係になれたら楽しそうかなって。掃除とかは苦じゃないんですけど、料理とか家計の管理とかはたぶん苦手なので、そこはお任せしたいかな。力作業とか掃除は僕がやります」
── もし、尚くんのように会社員だったとして、どんな結婚に憧れますか?
「僕は建築学科出身ですし、尚紀と同じく住宅メーカー勤務かな。僕の周りの大手住宅メーカーで働いている友人を見ると、25歳の時点でだいぶ安定しているんですよ。そうなったら、今ぐらいの年齢でいい人がいたらもう結婚しているかもしれない。その頃には一級建築士の資格も取っているだろうし、自分の設計で家を建てて、イヌとネコを飼いたいですね。Instagramでまめきちまめこさんっていうイヌとネコを飼っている方が描いている日常漫画があって、読んでいるとすごくうらやましくて。ゴールデンレトリバーとネコ2匹ぐらい飼って、たくさんの子どもたちと、日曜にベランダで一緒に遊ぶ。別の世界線の中川だったらそんな生活をしているんじゃないかと思います(笑)」
── まさに理想の家庭ですね。ところで、先ほどもお話に出たマミ役の美山さんとは、「仮面ライダーゼロワン」以来の共演になりましたね。
「そうなんです。美山さんも覚えてくださっていて、『あの時は大変だったよね』みたいな話をしました。『ゼロワン』の時、美山さんはほとんど感情のないロボットという役どころだったので、無機質な感じのお芝居をしていらしたんですけど、こうやって生身の人間同士として芝居するとやはり素晴らしい役者さんだなと思いました。出来上がった映像を見てすごいなぁって。現場の立ち居振る舞いをはじめ、本当に勉強させていただきました。合間には台本の読み方についても聞いたりして」
── 台本の読み方というのは?
「『台本をもとに、どんなふうに撮られ方を考えているんですか?』と伺ったんです。そうしたら『読んでいたら自然と思いつくかもー』って言われて、あまり参考にならなかったんですけど(笑)。でも、僕もそんなふうになれるまで頑張ろうと思いました」
── 今、ご自身は台本にどういうふうに向き合っていらっしゃるんですか?
「僕は何でも全部書くようにしています。監督から言われたことも書くし、『ここでこうしたら面白いだろうな』っていうようなアイデアも書くし、『こんな顔ができたら』とイラストで描くこともあります。いつも台本が真っ黒だから、人に見られるのが恥ずかしいんですよね(笑)」
── そんな台本を持って入った現場はいかがでしたか?
「監督から『もっとこうしてくれ』という指摘をたくさんいただいて、悩むことも多かったですけど、そのおかげですごく勉強になりました。気付かされることもあったし、自分だけできていないなというもどかしさもあったし、今までで一番勉強になったかもしれません」
── たくさん指摘されたということは、それだけ期待が大きいということですよね。
「それに、何よりいい作品にしようという熱量がすごいんですよね。役のバックボーンを書いたレジュメをくださったり、撮影のない日に一緒に本読みしてくださったり…。現場でもいろんな演出をつけてくださるんですけど、それにうまく応えられない自分が悔しくて。でも途中から少しずつついていけるようになってきて、最後に『監督に言われたことをいろいろ考えて自分の中でまとめて、最終話あたりの撮影で実践してみたんですよ』って言ったら、『それはすごく伝わってきました』と言ってもらえてうれしかったですね」
── 尚くんとともに中川さんご自身も成長したのですね。では、今後の見どころをお願いします!
「しばらく登場しなかった尚紀ですが、半年ぶりにゆうちゃんの前に現れます。その時の変わった姿を見てほしいです。前までは自分のやりたいことや自分の気持ちを一方的に相手にぶつけるだけでしたが、半年後の尚紀は人の気持ちを優先させている。だからお芝居でも相手の気持ちを受け取ってから自分の気持ちを返す、ということを意識しました。そんな尚紀がゆうちゃんとどういう関係になっていくのか。ゆうちゃんは尚紀を受け入れてくれるのか、そのあたりをぜひ楽しみにしていてください」
── そして、同じく今クールのドラマ「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)のFile04にもゲスト出演されましたね。
「(この取材日の時点では)撮影はまだなんですけど、歴史あるドラマに出させていただくことはうれしいですね。出演にあたって、歴代のスペシャルドラマを見ました。あたらめて、こんなにいろんな方々がやってきたシリーズの中の1作品に出られるなんてすごく光栄だなと思います。僕が演じるのは、伊能耕平という役ですごく嫌なヤツです(笑)。でも、嫌なヤツって、いろんなことができるから演じていて楽しいですね。人を怒らせるとか、人を嫌な気持ちにさせるっていう、普段やらないようなことができるじゃないですか。『ボイスⅡ 110緊急指令室』の時も、本当に相手に嫌な思いをさせようと意気込んで演じていたら、真木(よう子)さんから『本当ムカつく』って言ってもらえて(笑)。相手の気持ちをダイレクトに動かせたんだなと思ってうれしかったです。受け手の役よりは、どんどん攻めていって、気持ちを動かす役の方が好きですね」
【プロフィール】
中川大輔(なかがわ だいすけ)
1998年1月5日、東京都生まれ。やぎ座。B型。近年の主な出演作に、ドラマ「ボイスⅡ 110緊急指令室」(日本テレビ系)、「阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし」(NHK総合)、「卒業式に、神谷詩子がいない」(日本テレビ系)など。現在、井田昇役で出演する映画「極主夫道 ザ・シネマ」が全国公開中。
【作品情報】
「花嫁未満エスケープ」
テレビ東京系
木曜 深夜0:00~1:00(地域により放送日時が異なる)
※地上波放送終了後、TVer、Paravi、U-NEXT、Amazon Prime Videoで見逃し配信あり
取材・文/高瀬純 撮影/後藤倫人(UM)
ヘア&メーク/Kohey スタイリング/稲垣友斗(TRON)
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