表現者・髙橋大輔選手が2020年からアイスダンスに転向を発表! 髙橋選手「スケートの可能性は、まだまだある」2019/10/02
9月26日、髙橋大輔選手が2020年1月より村元哉中選手とアイスダンスのカップルを結成することを電撃発表。同時に12月の全日本選手権が、男子シングルとして最後の試合となることも伝えられました。髙橋選手、村元選手、それぞれどんな思いでこの決断に至ったのか。9月30日に行われた記者会見の模様を紹介します。
── 2人でアイスダンスをやっていこうと決めたきっかけを教えてください。
村元 「髙橋選手がアイスダンスに興味があるということを(別の人から)聞いていて、直接(髙橋選手に)聞いてみようと思い、今年の1月に連絡を取って、そこからお話が進んでいきました。今年の7月にトライアウトをしました」
髙橋 「昨年の8月に、哉中ちゃんがクリス・リード選手とカップルを解消してパートナーを探している時に、先生から『大ちゃんダンスやったら?』とプッシュされました。その時は自分が(アイスダンスを)やるなんて、全く思っていませんでしたが…。ただ元々アイスダンスは好きでよく観ていたので、いつか引退したら『ちょっとやってみたいな』と思っていました。1月に哉中ちゃんからオファーがあって、『おもしろいかな』とは思ったのですが、僕は初心者なので『もっとうまい人と組んだ方がすばらしいカップルになるな』とも思い、そこのところで躊躇(ちゅうちょ)していたんです。だけど、(今年の)7月に一緒に滑らせてもらった時に、すごく興味深い部分がたくさんあって。もっとこの世界を知ってみたいという気持ちが強くなり、『(パートナーが)僕でもいいですか』と、7月に最終的に決めました」
── お互いの選手としての印象を教えてください。
村元 「本当に昔から憧れのスケーターなんです。特に大ちゃんの音楽のとらえ方や動作には、誰にもない個性があって。滑り方、表現の仕方がすごく好きなので、そういった部分も含めて、“大ちゃんの世界”をダンスで体験してみたいと思ったからこそ、一緒に滑りたいと思いました」
髙橋 「すごく素敵な表現をする選手だなと思っていて。(村元選手は)ジャンプが得意ではなかったので(シングル時代は)すごく苦労しているんだろうなと、同じリンクで滑っている時に感じていました。だけどアイスダンスに転向してからは、表現という部分で開花したように感じます。自分を解放して楽しそうに滑っている姿を見て、体の使い方も上手だなと思ったし、アイスダンスを始めてからより一層、素敵だなと感じていました」
── 現在はどのくらい2人で練習されていますか?
髙橋 「今はほとんど滑っていないです。まだ3~4回…? コーチもいなかったので、本格的には来年からです」
── シングルとアイスダンスは、どこが一番違いますか?
髙橋 「全てが違いすぎて…(苦笑)。靴から違いますし、近くに人がいて滑るということが20何年間(自分は)なかったので、その“距離感の怖さ”は大変だなと思いました。お互いの力が合わさった時のスピード感や、体の傾き(の深さ)とか、そういった1人では感じられない世界観も2人で組んだからできるというのはありました。でも、まだ分かり切っていないですけどね(笑)」
── 村元選手から見て、髙橋選手のどんな部分がアイスダンスに向いていると思いますか?
村元 「先程も言ったんですけど、音のとらえ方だったり表現の仕方、体の動かし方は、絶対アイスダンスに生かせるというのは、もちろんあります。あとはエッジの一つひとつの蹴りがぶれない部分、エッジワークの使い方も、アイスダンスにより一層生かせると思います」
── 22年の北京冬季オリンピックへ向けたお2人の気持ちを教えてください。
髙橋 「哉中ちゃんはもっとダンスのことを知りたい、続けていきたいという気持ちがあって、僕自身もスケートの広がりというところで、アイスダンスという世界を知ればもっと広がるんじゃないかな、という思いがありました。現役として競技者としてやるにあたって、22年を大きな目標に掲げることはすごく大事なこと。それは簡単なことではないということは、お互い承知の上なんです。だけど、そこを大きな目標の一つにして目指していくことは、“やる”となった時に一緒に決めました」
村元 「“大きな目標がないとがんばれない”というのもあります。同じく、今後のアイスダンスの発展のために、大ちゃんと組むことによって、よりアイスダンスが注目されるという期待もあります。みんなに感動を与えること、どんな挑戦をしてもいいんだということを見せたいというのもあります。やはり目標は大きく、目指せるのであればオリンピックを目指していきたいです」
── 髙橋選手がアイスダンスに転向すると決めた、一番の決め手は何だったのですか?
髙橋 「できるだけ長くスケートで表現したいし、舞台やアイスショーなどで他ジャンルの方とコラボレーションした時に、“スケートの可能性ってまだまだあるな”って気づきました。そして、“人と組む”という必要性をすごく感じた部分がありました。いろんなことを表現する中で、1人だけでは難しいとすごく感じて…。本格的にアイスダンスをやってみることは自分にとってもプラスになりますし、自分が滑ることを引退した時に、伝える立場として(アイスダンスを)知っておくことは1つの強みになるんじゃないかなと思いました」
── 2人で練習してみて、どこが新鮮でしたか?
村元 「本当に、まだ練習がそんなにできていないのですが…。一緒に滑ってタイミングが合った時のエッジの深さを感じることができて、それは今までにない感覚で新鮮でした」
── 逆にここは課題だな、難しくなるな、というのはどこですか?
髙橋 「ほとんど全部ですけど(苦笑)。身長差がないというか、僕が小さいというのは不利な部分ではありますが、そこを生かせるようにしたいです。リフトやスピンなどが大きな課題になるかなと思います。また一人で滑ってきた時間が長いので、クセがすごく強いと思うんですよね。フリーレッグの位置や体のラインとか、そういったところをどんどん合わせていかなければいけないので、課題はたくさんあります。22年(北京冬季オリンピック)を目指すなら、本当は今すぐ始めなければいけないんですが…」
── 目指したいカップルの理想は?
村元 「どのカップルもそうだと思うんですけど、そのカップルにしかない個性、表現、プログラム、自分たちの世界を作り上げて、観客の方にも感動を伝えたいです。とにかく自分たちの個性を生かしていくのが理想です」
── 髙橋選手に質問です。シングルに関してはやり切ったという思いですか?
髙橋 「やり切ったというのはないですね。新しいものに興味が沸いたという感じです。アイスダンスをメインでやりますけど、アイスショーとかでは1人で滑ることもするので、シングルを一切しないことはないです」
── シングルに復帰した時は「北京は目指さない」とおっしゃっていましたが、アイスダンスで目指す理由は?
髙橋 「シングルではジャンプなど、現実的に考えて、絶対オリンピックでメダルは獲れない。それは分かりたくないですけど、自分自身の実力を考えて『目指せないな』と思ったんです。ただアイスダンスは初めての挑戦ですし、可能性という部分では少しでも、もしかしたら少しのパーセンテージでもあるかも、と思いました。また、お互い同じ目標を持った方がいいものを作り上げられるんじゃないかな、とも思いました。相当大変だと思うんですけど、そこ(北京冬季オリンピック)を目指して、一丸となってやっていくべきじゃないかなと思っています」
── そこまで髙橋選手を魅了するスケートの魅力とは?
髙橋 「スピード感ですかね。あのスピード感を陸の上で表現するのは、なかなか難しい、氷の上でしか出せない表現だと思います。ちょっと寒い、張りつめた空気の中で表現するというのが、暖かいところで表現するのとは感覚的にもすごく違います。そこでしか出せない空気感が魅力かな」
── アイスダンスにはリフトがありますが、練習されていますか?
髙橋 「まだです、来年から。とりあえず、肉体改造から。どれくらいで変えられるか分からないですけど…。バキバキになっているかもしれません(笑)」
アイスダンスに挑戦するに至った思いや目標などをたっぷりと語ってくれた髙橋選手と村元選手。次回は、囲み取材の模様をお届けします。
<雑誌情報>
KISS&CRY 別冊 Dance! Dance!! Dance!!! 2019月影の君~来舞(LIVE)、いのち灯(も)やして~(表紙・巻頭特集:髙橋大輔選手/Vol.29)
9月20日(金)より発売中 ※一部地域を除く
https://zasshi.tv/products/detail/HBTNM190920_001-00-00-00-00-00
「KISS&CRY」とは?
「KISS&CRY」シリーズは、日本のフィギュアスケーターのみなさんをフィーチャーし、その「戦う」姿、「演じる」姿を合計50ページ超のグラビアでお届けしています。つま先から指先・その表情まで、彼らの魅力を存分に伝えます。また、関連番組TVオンエアスケジュールも掲載。TVの前で、そして現地で応援するフィギュアスケートファン必携のビジュアルブックです。
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