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「僕らだけ満席じゃなかった」。マユリカが東京で見た景色【ロングインタビュー後編】2022/04/25

　「M-1グランプリ2021」では敗者復活戦6位。板の上に立てば漫才師としての実力を見せつける一方で、ビキニ写真集が爆売れ、表紙を飾った雑誌のビジュアルが解禁されればトレンド入り、Podcastをきっかけとした罰ゲームで公式ホームページを自作してしまうなど、話題に事欠かないお笑いコンビ・マユリカ。

　大阪を拠点に活動している2人が、約3年ぶりに東京で単独ライブを開催する。インタビュー後編では、阪本匠伍さん、中谷祐太さんのお二人に、本公演の開催に向けた意気込みや、過去の単独ライブでのほろ苦い思い出を語ってもらった。（前編はこちら：https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1510195/）

3年前は「僕らだけ満席じゃなかった」

――2019年12月10日に、お二人にとって初の東京での単独ライブ「ダメよ！　マユリカ!!　まずはあいさつよ!!!」が開催されました。その時のことは、覚えていますか？

中谷　「覚えてます覚えてます!!」

阪本　「………覚えてます！」

――印象に残っていることはありますか？

阪本　「その頃は、大阪の芸人が東京で単独ライブをするっていう流れがあったんですよ。からし蓮根とか、コウテイとか、たくろうとかもやってたと思います。で、みんなが満席になる中、僕らはたぶんギリ満席になってなくて」

中谷　「ちょっとだけな！（笑）」

阪本　「何組かが東京で単独やるって流れの中で、1組だけ、僕らだけ満席じゃなかったっていう。それすごい覚えてますね」

中谷　「ホテルを会社が取ってくれてたんですけど、満席にできなかったからか、カプセルホテルやったよな」

阪本　「棺桶みたいなところに入れられて」

中谷　「大阪から来た作家さんと3人で、『何ここ!?』って言いながら泊まって。『満席ちゃうしな…』って言いながら（笑）」

阪本　「しかも嫌がらせみたいに遠いとこで」

中谷　「めっちゃ歩いたよな！（笑）。『どこなん、ここ!?』って歩き回って」

――そんなふうに格差を感じさせられるんですね…（笑）。

阪本　「からし蓮根やコウテイはたぶん普通のホテルを取ってもらってたと思います」

中谷　「そんなん言うてるやつおらんかったもんな。『カプセルホテルやん！』って。驚きましたね」

――お客さんの雰囲気は、大阪と違ったりしましたか？

阪本　「だいぶあったかかったですね。僕らの単独ってオープニングのVから始まるんですけど、オープニングVが終わった段階で、すっごい拍手してくれたんですよ。大阪でやっててそんなこと1回もなかったんで、すごくびっくりして。そういうのは東京だけかもしれないですね」

中谷　「確かに確かに！　それ覚えてます。『めっちゃあったかいやん！』って。『ウエルカム！』みたいな雰囲気で、びっくりしました。今みたいに配信とかなかったから、なおさらかもしれないですね。5月にやる単独ライブは配信もあるんで、配信でもぜひ見てほしいです。最近僕らのことを知ってくださった方も結構いらっしゃると思うので、そういう人にも『マユリカってこういう感じのライブすんねや』って分かるようなライブにしたいなと思ってます」

阪本　「ベストネタをやる単独ライブなんで、もしかしたら見たことあるネタもあるかもしれないんですけど、『これ、見たことある』みたいな感じにせんとってほしい」

中谷　「ははははは!!（笑）」

阪本　「見たことあっても初見の感じで楽しんでいただきたいですね！」

――（笑）。収録や撮影、舞台など、お仕事で東京に来る機会も増えていると思いますが、慣れましたか？

阪本　「全然慣れないですね、ホンマに」

中谷　「うん、全然です」

阪本　「電車も道も、なんにも分かってないです。全部（中谷さんに）調べてもらってます」

中谷　「いやいや、僕も知らない場所やし。言うほど来たことないし（笑）」

阪本　「東京のあるあるで、住宅街にスタジオがあるっていう。大阪では考えられないような、絶妙に行きにくい場所にあるんですよ。あとはずっと民家が並んでて、『この民家スタジオなってんねや』みたいなんとか。そういうのがちらほらありますね、東京って」

中谷　「そうやな。送られてきた住所通りにタクシーで行っても、降りてから迷ったり。『どこ、これ!?』って（笑）」

クリスマスイブの悲劇「神様はホンマにおらんのやな」

――このインタビューの記事が出るのが4月になるんですが…。

中谷　「7月？」

阪本　「そんなわけないやろ」

中谷　「あっ、ごめんなさい。いやいやちょちょちょ…（笑）」

阪本　「なんで5月の単独で記事7月やねん」

中谷　「あははははははは！　僕の耳が終わってましたね！　すいません!!（笑）」

――滑舌が悪くてすみません（笑）。記事が出るのが4月ということで、新生活を始める方も多い時期ですが、お二人の新生活にまつわるエピソードがあればお聞きしたいです。

中谷　「今の家に引っ越したのが2年前の春で、4月の頭だったんですけど、引っ越す前に住んでた家に大量にネズミが発生しまして。いろんな物に穴あきまくったり、ネズミが僕の備蓄のラーメン食べてたり、僕が寝てる布団の上を踏んで目印みたいに足跡残していったりしてたんです。そんな中、1回だけ姿見たんですけど、ボディーが20cm、しっぽが20cmの、ネコくらいのサイズのネズミが飛び出してきたんですよ。それ見て引っ越しを余儀なくされましたね。木造の家で、一人暮らしだったんですけど、ネズミのファミリーが住んでました。だいぶセンセーショナルな出来事でした」

――聞いているだけでもゾッとします…。

中谷　「もう最悪でしたね。NSCで出てきた時から（阪本さんと）一緒に上下に住んでたアパートで、10年くらい住んでたんですけど、僕だけちょっと残ってて。そしたら急にチューチュー聞こえてきたんです。2年前に決別したんで、今は大丈夫ですよ！」

――決別できて本当に良かったです。阪本さんはいかがですか？

阪本　「僕は、大阪出てきて1年目、2年目の、まだホンマにバイトしかしてない時は、しょっちゅうガスや電気が止まりまくってて。当時、相方と上下で住んでたんですけど、クリスマスイブに…」

中谷　「そうや…」

阪本　「クリスマスイブに電気が止まってしまって、しかもシャンプーもなくなってしまったんです。真っ暗な部屋で小瓶だけ探して、中谷の家にシャンプーだけもらいに行ったことがありました」

中谷　「ホンマにクリスマスイブの夜に『ピンポーン』って鳴って。『なんや？』と思って開けたら、こいつが寂しそうな顔して瓶だけ持ってたんですよ」

阪本　「自分が悪いんですけど、真っ暗な部屋に1人で、神様はホンマにおらんのやなと思いましたね」

――中谷さんのお部屋に行く時、「お風呂借りに行こう」にはならなかったんですか？

中谷　「確かに！（笑）」

阪本　「なんか、そうはならなかったですね。真っ暗な部屋にシャンプーの小瓶だけ持って帰って、水で頭洗って…。世は彼女とどうやとか、聖なる夜とかなってる中、真っっっ暗な部屋で冷水でシャンプーして…」

中谷　「あまりにかわいそうで。『イブの日にこんなんなる!?』と思って」

阪本　「シャンプー買えないくらいなんで、たいしてご飯とかもなくて」

中谷　「そうそう。食うもんもなかったやろうしな。その時、20円だけ渡されて『これで5プッシュさせてくれ』って言われて。『いやいや、いいよそんなんお前、そんな状態やねんから』って言ったら、こいつ7プッシュして帰ったんですよ！」

――（笑）。

阪本　「新生活、ホンマ気を付けた方がいいと思います。当たり前ですけど、優しさで待ってくれたりしないんで。クリスマスイブであってもちゃんと電気消えるんで、皆さん気を付けてください」

中谷　「そりゃそうやって（笑）。慈悲はないです、そこには」

阪本　「それ以降も、何回か電気止められたしな」

中谷　「あったあった！　僕もありましたよ。2人とも同じような金銭状況やったんで、電気止まったとか、食うもんマジでなくてとか。新生活を迎える皆さんは、お金とかはホンマに気を付けた方がいいです！（笑）」

【プロフィール】

マユリカ
3歳からの幼なじみである、阪本匠伍（1990年1月7日生まれ、兵庫県神戸市出身）と、中谷祐太（1989年10月23日生まれ、兵庫県神戸市出身）が、ともに大学を中退し、大阪NSC33期生として入学。2011年、コンビ結成。「M-1グランプリ2021」敗者復活戦6位。毎週土曜、Podcastで「マユリカのうなげろりん!!」が配信中。番組グッズとして発売されたビキニ写真集「Perfect!!」が累計2700部以上を売り上げ、話題に。5月8日、マユリカベストネタ単独ライブ「立つのよ！　マユリカ!!　湧き出るパワーの化学式!!!」を東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで開催予定。会場チケットは完売となり、オンライン視聴チケットがFANYオンラインチケットにて発売中（見逃し配信視聴は、5月10日午後1：00まで）。

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【締切】2022年5月22日（日）正午

取材・文・撮影／宮下毬菜