「錦鯉さんの優勝は“ありがた迷惑”」!? 38歳と40歳の実力派コンビ・シシガシラ ロングインタビュー【前編】2022/02/16
吉本興業に所属するお笑いコンビ・シシガシラ。それぞれ別のコンビを組んでいたところから、ツッコミの浜中英昌さんは芸歴11年目、ボケの脇田浩幸さんは芸歴12年目となる2018年に、脇田さんが浜中さんを誘い、結成。「M-1グランプリ」では18年から21年の4年連続、準々決勝まで勝ち進んでいる実力派コンビです。
しずる・村上純さんや、東京03・飯塚悟志さん、さらば青春の光・森田哲矢さんから太鼓判を押されるほか、お笑い好きとして知られるchelmico・Mamikoさんも「ボケの脇田さんがハゲいじりをされるんだけど、その返しがすごくうまい!」とインタビューで答えるなど、あちこちから注目する芸人として期待されているお二人。現在結成4年目、38歳の浜中さんと、40歳の脇田さんですが、結成して1年目に挑戦した「M-1」で準々決勝まで進めていなかったら「解散しよう」という思いもあったそうです。
そんなシビアな言葉とは裏腹に、爆笑エピソードも満載で取材に応じてくださったシシガシラのお二人。前編・後編のロングインタビューでお届けします。
初のコンビ写真を撮った場所は…
――脇田さんが浜中さんの1期先輩で、結成前は一緒に飲みに行ったり、旅行に行くような仲だったそうですね。当時はコンビを組む予感はしていたのでしょうか?
脇田 「全く思ってなかったです。旅行も、僕が同期のまっかちんの岩田(泰裕)と旅行の計画を立てていた時に、『旅行って、同期だけで行ってもあんまり盛り上がらないよね』という話になって、浜中に声を掛けたんです。後輩をもう1人呼んで、4人で草津温泉に行ったんですけど、その後輩とは僕は初対面で。でも先輩だから、岩田は浜中の旅行代を面倒見ると言って、僕はその後輩の分を出しました。そんな謎のメンバーでの旅行でした」
浜中 「それが2017年くらいですかね? 僕は、脇田さんのことを完全にナメていました(笑)。でもいい意味で、です。いじって楽しい人というか。僕もコンビを組むとは全く思ってなかったです」
――そんな関係性から、脇田さんが浜中さんをステーキ屋さんに呼び出し、紆余(うよ)曲折を経て正式にコンビに。結成した当時のことは、覚えていますか?
脇田 「2018年の6月に結成したんですけど、当時はNSCの事務所に2人で行って、プロフィール登録書みたいなものを届けないといけなかったんです。書類と一緒に2人の写真も出さなきゃいけなかったんですけど、2人で写った写真なんてなかったんで、その場で撮ることになって。その写真を、NSC神保町の個室のトイレでスタッフさんに撮ってもらったんだよね」
浜中 「そのトイレで撮った写真が、テレビでコンビ写真が出る時なんかに使われていたんです。最近はさすがになくなったんですけど、ちょっと前までトイレの写真が…」
脇田 「しかも、よりによって2人ともだるだるのTシャツを着ちゃってて。みんな宣材写真の中、それが出てしまうたびに『こんなことになるとは…』って言ってます。先輩からは『どういう尖り?』『宣材写真を撮らない尖りなんて聞いたことない』って言われます(笑)」
錦鯉さんの優勝は「ありがた迷惑」!?
――それから約3年半。「M-1グランプリ」では、4年連続で準々決勝に進出されています。
脇田 「1年目の『M-1』では、準々決勝進出が決まって一番に浜中に電話したんです。正直、ここでどうにかいっとかないと今後のモチベーションがヤバいなと思っていて。ホームページで一気に発表されるので、その日はめっちゃ早起きして、ずーっとページを更新し続けて。結果が表示された瞬間に『シシガシラ』の名前を見つけて、浜中にすぐ電話して、『やったな! やったな!!』って喜び合ったよね」
浜中 「(小声で)あんまり覚えてない…」
脇田 「え~~~!? ウソでしょ!?」
浜中 「でも最初の『M-1』で準々決勝までいけたことは、僕にとってもすごく大きな出来事でしたね」
脇田 「あれでいけてなかったらさ、解散しようかって話だったよね」
浜中 「本当にそうで。組んだのが遅いので、早めにどんどん見切りをつけていこう、とにかく一発売れないと、って。ダラダラやるのも違うなって思っていたところで準々決勝までいけたので、続けるための大きなモチベーションになりました」
――2021年の「M-1」で王者に輝いた錦鯉さんは、長谷川雅紀さんが50歳、渡辺隆さんが43歳。長谷川さんは史上最年長のチャンピオンとなりました。錦鯉さんの活躍をご覧になって、お二人としてはどう感じましたか?
脇田 「おじさんの意地を見れたというか。ライブでご一緒させていただいたことがあるんですけど、唯一の年上が錦鯉さんだったんですよ。錦鯉さんも『もうどうしたら勝てるか分かんねーよ』っておっしゃっていたところから今回優勝という道を見せてもらって、ものすごく勇気をもらえました。同じおじさんコンビとして、『俺らもやってやろうぜ!』って奮い立たせられました」
浜中 「ただ、錦鯉さんが50歳で優勝したことで『まだダラダラできるんじゃないか』って考えが出てきてしまいそうになる(笑)。それは本当に良くないなと」
脇田 「それは確かにそうだね。『まだ大丈夫だ』なんてことは、絶対考えちゃダメ!」
――シシガシラさんは芸歴的にも、まだまだ挑戦できちゃいますもんね。
浜中 「そうなんですよ。だからありがた迷惑に近い…(苦笑)。夢を見せてくれたけど、『もっと早く頑張らないと』という思いもあります」
脇田 「錦鯉さんも言われていると思うんですけど、僕らも『年を取れば取るほど面白くなりそうだな』と言ってもらえることが多いんです。そんな声を聞くたびに、まだ続けられるなって思います」
浜中さんは「けなされたい」!?
――昨年12月には「ムゲンダイユースカップ」で優勝し、ヨシモト∞ホールのレギュラー看板芸人に昇格。手応えはありますか?
浜中 「ウケ始めてきたかな、分かってもらえてきたかな、という実感はありますね」
脇田 「レギュラーになった時も、喜んでくれる声を結構もらえたんですよ。ただ、年賀状が…」
浜中 「ははは!(笑)」
脇田 「∞ホールに来てくれたお客さんに、ムゲンダイ所属芸人の晴れ着姿の写真の年賀状をランダムでプレゼントするという企画があったんです。Twitterを見ていると、僕らの年賀状を譲ろうとしている方がいましたね…(笑)。でも『シシガシラがほしいです』という方や、『シシガシラ無限回収』という方もいました!」
――お二人は、エゴサーチはされますか?
脇田 「僕、めちゃくちゃします!」
浜中 「でも脇田さん、メンタル弱いんですよ(笑)」
脇田 「その、なんとかちゃんねるというのは見ないようにしてます。メンタルがやられるとうわさで聞いているので…」
浜中 「僕は、そっちを見ます。5ちゃんねる派です」
脇田 「浜中伝いで『こんなこと書かれてたわー』って聞いて、僕が『見るな!』ってカツを入れます。でも、勝手に見に行っちゃう」
浜中 「いいんですよ。刺激的で。僕は全然大丈夫なんです。その場でちょっとヘコんで、『クソが!』って思いますけど(笑)」
脇田 「Twitterはいい意見が多い気がする。僕はニコニコしながら、Twitterをエゴサさせていただいています(笑)」
――頻繫にエゴサされるんですか?
脇田 「(満面の笑みで)1日1回は絶対します! あと、ライブでウケた時。ウケてない時は、ちらっとやって、やめます。褒められたいので…」
浜中 「俺、逆です。けなされたいんです。その方が力になるんですよ。怒られて伸びるタイプ」
脇田 「でもそれがさ、『何言ってんの?』『こいつ全然分かってない!』っていう意見だったらどうするの? イライラしないの?」
浜中 「無視しながらも、そういう意見はだいたい響いてる。みんな正しいこと言ってるな、僕が間違えてるんだなって思ってます」
脇田 「え~。まぁでも、それで浜中が納得できるならいいんじゃない? 僕は、褒められて伸びるタイプです!」
――1月16日に行われた「第2回ムゲンダイチャンピオンシップ」では、19組中7位でしたね(優勝はゆにばーす)。
脇田 「『ムゲンダイユース』から『ムゲンダイレギュラー』に昇格するのが本当に大変で。1年かかってようやく上がれたところで、賞レースのファイナリストばかりのなか戦わせてもらって7位。一発目にしてはいい結果だったなと思います。このおかげで自信がつきました!」
インタビュー後編では、お二人の過去を深掘り! ○○を見すぎて留年してしまった脇田さんの学生時代とは? 先日「いろはに千鳥」(テレ玉)に出演した際、大悟さんが言ってくれたうれしい言葉とは? 読者の皆さまへ特別にプレゼントもいただきましたので、ぜひ後編もご覧ください!(後編はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1383332/)
【プロフィール】
シシガシラ
2018年6月、NSC東京13期生の浜中英昌とNSC東京12期生の脇田浩幸により結成。結成1年目の18年、「M-1グランプリ」に出場し、準々決勝まで進出。以降、4年連続で準々決勝に進出している。毎週日曜に、「シシガシラのピピパピパ放送局」をPodcastにて配信中。2月21日、初の主催トークライブ「トルコキキョウ」をヨシモト∞ホールにて開催予定。会場チケット・配信チケットともに発売中。
取材・文・撮影/宮下毬菜
<参考文献>“2年後に流行るかも? ラップユニット・chelmicoのイチオシ芸人は!?”.anan web.2021年1月8日.https://ananweb.jp/news/327829/,(参照2022年2月16日)
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