Feature 特集

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー2022/01/23

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

 ABCテレビで放送中のドラマ「ハレ婚。」。日本で唯一“一夫多妻制(=ハーレム婚、通称・ハレ婚)”が認められた街を舞台に、“友情”、“結婚”に向き合う女性たちの姿、そしてそれぞれが抱える真っすぐな思いが描かれるラブコメディーです。

 先週放送された第1話では、恋に疲れ、勢いで故郷へと帰ってきた主人公・前園小春(島崎遥香)が、母の直子(宮地雅子)に、実家の喫茶店を畳むこと、さらに借金があることを告げられる事態に。すると、突如現れた謎の男性・伊達龍之介(稲葉友)から、あることを条件に借金の肩代わりを提案されます。その条件とは、“3人目の妻として結婚すること”。龍之介の提案やハレ婚という制度に戸惑いながらも、家族を救うため小春は“3人目の妻になること”を選びました。

 いよいよ始まる小春と龍之介たちとの新婚(?)生活。その様子が描かれる第2話を前に、ここでは龍之介を演じる稲葉友さんのインタビューをお届けします。撮影のクランクアップ直後の稲葉さんに、「大変だった」という龍之介の役作りのお話や撮影でのエピソードをたっぷりと伺いました。さらに、こだわりの強さが表れた稲葉さんの“マイルール”も明らかに!

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

――撮影がクランクアップされたということで、あらためて振り返っていかがですか?

「すごく楽しい日々でした。環境的に寒かったりと大変なこともありましたけど、撮影が空くこともなく、どんどん積み上がっていったので、そこで生まれたエネルギーみたいなものをみんなでを共有して駆け抜けられた感じがして、良かったなと思っています」

――先日、島崎さんを取材させていただいた際にhttps://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1324178/、撮影の合間に、柳ゆり菜さん、浅川梨奈さん、稲葉さんの4人でご飯に行ったと伺いました。

「ロケ地内にちょうどご飯屋さんがあったので、『ちょっとお弁当以外のものが食べたいね』となって行ったんですけど、面白かったです。特別何かの話をするってわけでもなく、ガールズトークっぽいところに普通に巻き込まれている自分がいて(笑)。『へーそうなんだ』と言いながら、3人から『お前もパンケーキ食うんかい!』って言われたり、フラットにおしゃべりをしながらご飯を食べることができて楽しかったです」

――“結婚とお金について”のお話もあったそうですね(笑)。

「はははは! そんな話もしましたね(笑)。なんか、“そういう話が始まるんだ…!”と思いながら『ふーん』って言っていた気はします」

――3人のお話を間近で聞いてみていかがでしたか?(笑)。

「いやー、みんなしっかりしてるなって思いましたね」

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

――今回共演された島崎さん、柳さん、浅川さんの印象をあらためて教えてください。

「みんな面白かったです。何が面白いかっていうと、歩んできたルートがそれぞれ女優さんだけじゃないというか。例えば、遥香はグループの大きな組織から今1人でやっていて。梨奈ちゃんもアイドルやっていたり、柳もいろいろなキャリアがあってというのを踏まえて、今の3人が並び立っているのを見た時に、本当に役と同じくらいそれぞれの魅力があって面白いなと思いながら見ていました」

――3人ともいろいろな形で演技のアプローチがあったかと思いますが、演技の部分で発見などはありましたか?

「やっぱりみんなタイプが全然違うので、仕掛け方とか受け方が本当にさまざまだなという感じがしました。どちらかというと龍之介は仕掛けることが多かったので、『どう仕掛けた方がこの人は響きやすいかな?』と考えたり、逆に『こういう細かいしぐさを拾ってくれてるんだな』ということがあったので、僕もいろいろ引き出しを開けて向き合うという瞬間が多かった気がします。それはすごく演じていて刺激的でしたね」

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

――今回、龍之介役のオファーが来た時、率直にどう感じられましたか?

「『えぇっ…!?』って思いました(笑)。原作を読んだら、『妻が3人もいる男っていない!』ってまず思うじゃないですか」

――他の作品ではなかなかない設定ですよね(笑)。

「表面的に見ると、セクシーだし、ミステリアスだし。『俺にその要素全然ないよ!』って思うところから始まったんです。すごく引きがある人物でびっくりしましたけど、原作を読み進めて龍之介という人間を掘っていく中で、いろいろなバックボーンがだんだん見えてきて、すごくいとおしくなりました。最初は戸惑いましたけど、すごくやりがいのある役をいただけたなと思っています」

――ミステリアスな雰囲気の中には、ピアニストなど多才な面もありますが、演じていて難しかった部分はありましたか?

「龍之介ってインパクトがすごくあるじゃないですか。彼の言葉や行動をただ単に演じるとなると何も感じられなくなるので、“龍之介にどういうバックボーンがあって、どういう理由で今の暮らしになったのか”というのを埋める、いつもの一歩目みたいな作業がすごく大変だった気がします。最初に小春と出会うシーンではボロボロ泣いていたり、彼女に『結婚しよう』と伝える一連の流れにも理由があるわけで。でも、そうやっていろいろ考えているものが見えてしまうとインパクトに欠けてしまうので、そこのバランスを取りながら龍之介のいいところを探すのはすごく苦労しましたね」

――龍之介が放つ言葉はすごく哲学的というか、心(しん)のあるものが多いなという印象があります。

「そういうギャップを作れるのがすごいですよね。やっぱり人間って、間を取ったり譲り合ったりして折れることがあると思うんですよ。でも龍之介はそうじゃなくて、『こうだからこう』と進めてしまう。ある種の乱暴さのような心(しん)の強さと核の固さみたいなものがあって、『龍之介、すげえな』と思いましたね」

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー
稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

――そういった強引なところに、妻のまどかたちはひかれていると思いますが、稲葉さんが思う“龍之介が愛される一番の要因”は何だと思いますか?

「今回の『ハレ婚。』って、単純な愛じゃないんですよ。いろいろなものが乗っかっていると思うんですけど、なんだろうな…(少し考えて)でも、愛情というものに全精力を傾けられるところじゃないですかね。普通、世間体とか人から見たらこう見えるとか、いろいろ気にすると思うんですよ。でもそうじゃなくて、目の前のゆず(柳)、目の前のまどか(浅川)に対して本気であるということが示せてしまう。普通に生きていたら危なっかしいですけど、だからこそ支えたくなったりもするし、吸引力のある人に見えるのかなと思っています」

――誰に対しても本気で愛を注いでいるところが、愛される要因でもあるんですね。

「そうですね。好きというものに対して尋常じゃないんですよ、龍之介って。執着というと言葉が少し強くなるんですけど、愛する人たちに傾ける思いが他の人の比じゃないので、それがすごいなと思いますし、そこが愛される理由なんじゃないかな。愛されることはそれぞれが経験していると思うんですけど、龍之介は『そんなに!?』という量の愛を注いでくるので。全精力を持って愛情を傾けるって簡単にできないじゃないですか」

――3人に対して同じくらいの愛を向けるのは、なかなか難しいのではないのかなと思います。

「そうなんですよ。普通だったらみんな忙しいし、やりたいこともあるし、1人でいたい時間もある。でも龍之介はそれを平気でやってくるから、そういうところが愛されるのかなと思いますね」

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

――劇中では“伊達家ルール”というものがありましたが、それにちなんで、稲葉さんのマイルールがあったら教えてください。

「僕のマイルールというか、家訓みたいなものが昔あったんですよ。僕、男3兄弟の一番下なんですけど、父親が『兄弟仲良く、人に優しく、3兄弟』とよく言っていて。今思うと変だなと思うこともあるんですけど、『兄弟仲良く、人に優しくしなさい』ということをずっと言われていたんです。それをいまだに覚えているくらいだから、意外と根付くものなんだなと思ったりします」

――では、稲葉さん自身の中でのマイルールは何かありますか?

「マイルールか…(かなり悩んで)あまり“自分へのケアをしすぎないこと”ですかね。例えば、スキンケアで言うと、栄養を毎日与えることが当たり前になって、スキンケアしないとそれがストレスになるというか。決まった手順を毎回やることが当たり前になって、そのどれか一つでも欠けると『できなかった』というストレスが生まれて、余計に肌が荒れるので、基本的に甘やかさないようにしています。もちろん体調管理をした上でですけど、肌でも内臓でも体でも、自分にストレスがかかりにくくすることを日々考えているかもしれないです」

――そう考えるようになったきっかけはあったんですか?

「『ストレスがいっぱいあるな』と思ったからですかね(笑)。拾おうと思えばすべてのストレスを拾えてしまうから、『どうしたら自分が楽になるんだろう』ってふと考えたんですよ」

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

――なるほど、そうだったんですね。

「あと、ルールに当てはまるか分からないですけど、新幹線とかバスって、窓側がいいっていう風潮があるじゃないですか。『窓側をとれました!』みたいなこともあれば、『すいません、通路側しかとれなくて…』と言われるような。そうすると、通路側がちょっと嫌な席みたいな気がしません?」

――確かに…無意識にそう捉えてしまうことがある気がします。

「通路側の方が良くないという既成概念がどこかにあるんですよ。そうすると、自分が通路側になった時に『うわ、通路側だ…』と思って長時間過ごさなきゃいけなくなるから、『俺は通路側の席も好きだ!』って思い込むことが一時期あったんですよ。そうしたら、どんな都合でもどこに座っても大丈夫になって、ストレスも感じなくなったんです。細かいことですけど、そういうストレスの減らし方を日々しています」

――ある意味、どんなことにも既成概念をなくすような…?

「あまり求めすぎないというか、どんなことも期待しすぎてしまうと『なんでこうしてくれないんだ!』みたいに思ってしまうことがあると思うんです。そうするとものすごいストレスになるから、『そうするのか。じゃあこうしよう!』みたいな思考を繰り返すことで、関わりたくないストレスがかからなくなるのかなと思います」

――柔軟に対応するようにしたんですね。

「そうですね。そうすれば、幸せなことが増える気がしているので」

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー
稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

――それでは、最後になるのですが…。

「時間なくなっちゃった! 変な話で盛り上がっちゃってごめんなさい!(笑)」

――とんでもないです!(笑)。貴重なお話、ありがとうございます。あらためてになりますが、ドラマの見どころ、龍之介の注目ポイントを教えてください。

「僕のことはいいので、かわいい妻たちをぜひ見ていただけると…(笑)」

――(笑)。

「でも、『ハレ婚。』ってインパクトのある引きではあるけど、異なった愛の形の中に見える本質がすごく詰まっている作品だと思うんです。『一夫多妻制なんて…』『そんな結婚無理だよ』と思うこともあれば、『ハーレムでいいじゃん』という表面的な意見もあると思います。でも、この形だからこそピュアなものが浮かび上がって、本当に大切なものが見えてくるんじゃないかなと思っています。もちろん楽しい作品でもありますけど、その中で気づきになるようなこともたくさんあると思うので、ぜひ最後まで見ていただけたらうれしいです。妻たちはみんなかわいいので! よろしくお願いします!」

――ありがとうございました!

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー
稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

【プロフィール】

稲葉友「“龍之介”という人間を掘っていく中で、すごくいとおしくなりました」――「ハレ婚。」インタビュー

稲葉友(いなば ゆう)
1993年1月12日生まれ。神奈川県出身。山羊座。A型。主な出演作に、2010年、ドラマ「クローン ベイビー」(TBS系)にて俳優デビュー後、数々のドラマ、映画、舞台に出演。また、現在放送中のドラマ「まったり!赤胴鈴之助」(テレビ大阪)に出演中のほか、映画「ずっと独身でいるつもり?」が、Amazon Prime Videoにて独占配信中。さらに、出演するドラマ「しずかちゃんとパパ」(NHK BSプレミアム)が2月27日より放送予定、主演映画「恋い焦れ歌え」が22年春に公開予定。

【番組情報】

「ハレ婚。」
ABCテレビ 
日曜 午後11:55~深夜0:25
テレビ神奈川  
火曜 午後11:00~11:30
※ABCテレビで放送終了後、TELASA、TVer、GYAO!にて見逃し配信あり

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【締切】2022年2月19日(土)正午

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/蓮尾美智子



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