向井理が語る時代劇の面白さとは? 「もしかしたらこんなことあったかも…?と考えるのが好きなんです」──正月時代劇「幕末相棒伝」インタビュー2022/01/02
1月3日にNHK総合で放送される正月時代劇「幕末相棒伝」は、坂本龍馬と土方歳三が相棒となり、最後の将軍・徳川慶喜暗殺未遂事件の犯人を探るという新感覚時代劇。永山瑛太さんが龍馬を、向井理さんが土方に扮(ふん)します。
ここでは土方歳三を演じた向井理さんにインタビュー。永山さんとの撮影秘話や本作の見どころなどを伺いました。(永山瑛太さんのインタビューはこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1301593/)
──コメディー時代劇の名手といわれる土橋章宏さんによる脚本を読んだ印象をお伺いしたいです。
「実は、このドラマはそんなにコメディー要素は多くないかなと思います。時代劇というと独特の空気感やお芝居のやり方みたいなものがあるのですが、今回それはあまり気にせず現代劇風にやりました。必要な情報を伝えつつ、それよりも人物の感情を伝えることに集中して。会話劇でもあったので、そのスピード感などを気にしながら演じようと思いました」
──土方歳三といえば、これまで新選組副長としてフィーチャーされる作品が多かったと思いますが、本作では敵の坂本龍馬とバディを組むことで今までの土方とは違う一面が見られると思います。どう演じようと思いましたか?
「土方について自分なりに調べましたけど、残っている、史実といわれるものがすべて本物かどうかって分からないですよね。僕は、時代劇は全部SFだと思っているんです(笑)。実際にあったとされる史実は、何月何日に何が起こったという点と点として残っているだけで、それらの点を結んで線を引く方法は無限にあるんじゃないかと。『これはなかっただろう』と決めつけてしまうと、表現の可能性がどんどん狭まってしまいますよね。たとえ史実とは違ったとしても、『もしかしたらこういうこともあったんじゃないか?』と描くことができるのが時代劇の面白さだと思っています」
──まさに、龍馬と土方がバディを組むという設定は、SF的なファンタジー要素がありますよね。
「2人が一緒に行動するなんて、『ありえない』って言われるかもしれないですけど、でも本当に“なかった”と誰にも証明できないところが面白いなと。時代劇をやらせていただく時、『それはしていません』ではなくて『いや、そういう出来事があったかも…?』という可能性を考えるのが好きなんです。史実に一番の重きを置くのではなく、それに関わった当事者の感情や、そこに至るまでの過程を大事に演じたいと思うんです。例えば、徳川幕府みたいな強い政権にとって都合が悪いことは歴史から抹消されている可能性もあるわけじゃないですか。だから、史実にない出来事はたくさん存在すると思っていて…。なので、今回の設定も、ありえないかもしれないけど、自分たちとしては実際にあったことだと思いながら演じました」
──最大の魅力は龍馬と土方の最強バディだと思います。この“バディ感”を視聴者の方に楽しんでもらうために、永山さんや監督と話し合って作り上げたものはありますか?
「だんだんお互いに認め合っていくさまっていうのが伝わればいいなと思ったので、バディ感というのはあえて意識しなかったです。むしろ龍馬と土方は思想が全く違うので、話をしていても全然合わないことの方が多いですし、最初、土方は龍馬を斬ろうとしてますし(笑)。そんなところから始まって、直接的な言葉ではないけど、最後は認め合うというところが見せられたらいいなと思いました」
──土方と龍馬は今でいう同学年で、向井さんと永山さんも同い年ですよね。当時の2人の空気感をどのように想像して演じましたか?
「あまり話し合うと、なれ合っちゃったりするんですよね。だから、お芝居している間に無言で探っていました。『龍馬は今、何考えてるんだろうな』って。そういうのは、お芝居していると見えてくるし、2人で話して『こうしよう、ああしよう』『こういう時代だから、こういうやりとりだろう』とか決めてしまうと、単なる自己満足になってしまうから視聴者の方には届かないと思ったんです。それは作品をつまらなくしてしまうので、やらないように心掛けていました」
──永山さんとは2度目の共演だと思いますが、再共演されていかがでしたか?
「すごく面白かったです。普段の瑛太くんは静かなので、龍馬とは全然違うタイプですけど(笑)。以前共演してから会うのは久しぶりだったので、お互いに家庭の環境や、考え方が変化してきた中でもう一度会うとすごく新鮮でした。もちろん会っていない間にテレビで拝見することはありましたけど、実際に会うと瑛太くんの素の部分だったり、考えていることも分かりますし。同世代の彼がいろんなことに挑戦しているんだなって思うと、すごく刺激になりました」
──撮影中にはSNSでのお二人の姿も話題になりましたよね。
「僕はSNSをやっていないので分からないんですけど、瑛太くんが1人でカシャカシャ撮っていたから、『何やってるのかな?』って遠目で見ていたんです(笑)。一緒に撮ろうって話になったので『どうせ撮るなら面白い方がいいね』って、2人で構図を考えながら撮りました。時代劇を撮っている後ろにあえて車を映し込んでみたり。楽しんでやっていました」
──最後に、2022年にトライしたいことや抱負があれば教えてください。
「抱負は毎年一緒なんですけど、とにかく健康に過ごすことです。体調を崩したりけがをしてしまうと作品に穴をあけてしまいますし。舞台でも映像作品でも、本番に向けて準備をしっかりするということが目標ですね。あとは単純に体調管理。こういう仕事をしている以上は、見た目もそうですけど、食生活もきちんと考えていかないとなと思います。毎年同じですが健康第一で(笑)」
──ありがとうございました!
【プロフィール】
向井理(むかい おさむ)
1982年2月7日、神奈川県生まれ。水瓶座。O型。2010年、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(NHK総合ほか)で注目を集める。近年の主な出演作は、「10の秘密」(フジテレビ系)、「着飾る恋には理由があって」(TBS系)、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」など。1月8日から「婚活探偵」(BSテレ東)がスタート予定。
【番組情報】
正月時代劇「幕末相棒伝」
NHK総合
1月3日 午後9:00~10:29
【プレゼント】
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【締切】2022年1月29日(土)正午
取材・文/M(NHK担当) 撮影/尾崎篤志
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