「青天を衝け」大隈重信役の大倉孝二、「~であ~る」の編集方法に「なんじゃこれは?」とビックリ!2021/10/16
第30回(10月10日放送)の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)では、渋沢栄一(吉沢亮)をはじめとする“改正掛”の活躍により、廃藩置県が無事に行われました。しかし、安堵(あんど)したのもつかの間、大久保利通(石丸幹二)と栄一の軍用金を巡るやりとりの結果、“改正掛”が解散させられ、栄一は大阪造幣局に行くことに。
明治政府は相変わらず混乱している状況のようですが、今回は第28回(9月26日放送)で「~であ~る」を3回も連発し、一躍話題となった大隈重信を演じる大倉孝二さんから、大隈のイメージや第28回の撮影エピソードなどを伺いました!
――「青天を衝け」で大隈重信役に決まった時の気持ちを教えてください。
「自分で大丈夫なのかと思いました。史実に基づいたフィクションではありますが、実在の人物を演じるので、問題があってはいけないですし、大隈重信さんに対していろんな思いを持っている方もいらっしゃると思うので『私なんかで務まるのだろうか』という気持ちが強かったです」
――大隈に対してどんなイメージを持っていましたか?
「本当に正直に言わせていただければ、『総理大臣』で『早稲田大学を作った人』くらいの知識しかありませんでした。役をいただいてから、大隈について調べてみたら天真らんまんなところがあったなど、なかなか面白いエピソードが多い方で。なかでも“民衆に愛された”というワードをよく見かけたので、その辺から『自分でも大丈夫な可能性が出てきたぞ』と思った次第です。あまりにも立派な役柄だと自分に務まるのかどうかがちょっと怪しいところがあるので、その部分をよすがにしました。とはいえ、“民衆に愛された大隈”を演じるために、むやみに愛されていこうとはしていません(笑)」
――大隈について調べたとのことですが、印象に残っているエピソードはありますか?
「大隈と伊藤(博文)の囲碁や将棋の打ち方が対照的だったという話がありまして。伊藤はじっくりしっかりと手を進めていくのですが、大隈はわりとおおざっぱに進めて、ピンチになってから慌てて対処するという記述があったんです。それがすごく親近感を覚えるエピソードだったので覚えています。大隈さんへの悪口になってしまいそうで怖いですが、そんなざっくりしたところにシンパシーを感じています」
――豪放磊落(らいらく)な部分も今回の役作りに生きているということでしょうか。
「そうですね。豪放磊落なキャラクター性を出そうという意図はないのですが、親しみやすいや部分を自分の中に落とし込んで演じているかもしれません。それがにじみ出ればいいかなと思っています」
――第28回(9月26日放送)での、栄一とのやりとりが見応えがあり、特に「~であ~る」という言い回しがとても面白かったです。あの言い回しについて、どんなことを意識されましたか?
「口癖だったことはもちろん知っていましたが、それをどこまでやるかというのは、現場次第だなと思っていました。監督の方から際立たせてほしいというお話があったので、探り探りやらせていただきました」
――楽しく演じられたということでしょうか。
「全然楽しく演じていないです(笑)。すごく必死だったんです」
――栄一を演じる吉沢さんとの芝居はいかがでしたか?
「第28回のあのシーンについて言えば、途中で止めることなく、全部通して撮影したんです。それを何度もやったので、すごい緊張感でしたし、そこに僕の必死感も現れていたと思います。自分の演技がどうこうではなく、吉沢くんの心を動かすようなことができればということに尽力しました。彼がどのように受け止めてくれたのかは、お芝居に表れていたと思います」
――第28回の放送後には“大隈重信”がTwitterのトレンドランキングに入っていましたが、インターネットの反応はご覧になりましたか?
「直接送られてくるメッセージは目を通させていただいていますが、インターネットにはいいことばかり書いてあるわけではないし、下手に読むと落ち込んだりするので、あまり見ないようにしています(笑)」
――大隈を面白いキャラクターだと受け止められている方がたくさんいらっしゃいましたが、その辺、『してやったり』という感じでしょうか。
「もしかして、おとしめようとしていませんか?(笑)。脚本の大森(美香)先生と演出の黒崎(博)さんに面白くしていただいただけで。僕は台本に書かれた通りにやっているまでなので『してやったり』とは思っていませんよ!(笑)」
――そうなんですね! 失礼いたしました(笑)。また、佐賀弁がものすごく自然で違和感がありませんでしたが、どのように練習されたのでしょうか?
「そんなに言っていただけるなんて想定外ですが…(笑)。基本的に佐賀出身の方言指導の先生からいただいた、佐賀弁に直した台本と音声を聞いてひたすら覚えました。現場にも先生がいらっしゃるので、『これで合っているでしょうか?』と細かく確認しながら演じていました」
――佐賀弁もさることながら、栄一を大蔵省に引き入れる説得力が必要な役ですが、栄一の心をグッと捉えるために心掛けたことを教えてください。
「その時代の背景を知識として入れました。細かい演技でどうこうできるような演技力に長けた俳優ではないので、そこはもう熱量で演じて。目の前の吉沢くんに伝わらなければ、見ている方にも伝わらないだろうと思い、そこだけを必死にやろうと心掛けました」
――また、大隈は仲むつまじい夫婦として知られていますが、妻・綾子を演じる朝倉あきさんと演技についてご相談されることはありますか?
「演技について話すことはあまりないのですが、彼女のご両親が九州の方らしく、現場で『大倉さんのセリフを聞いていると懐かしい気持ちになる』と言ってもらえました。史実では、大隈が綾子の手のひらで転がされていて、どんなに頑固に意地を張っても綾子に言われるとコロッと考え方を変えることがあったらしいのですが、綾子と同じように安心できる雰囲気とお声を持っている女優さんだと思っています」
――今後、大隈はどのようになっていくのでしょうか? 撮影していて面白かったシーンはありましたか?
「今後の大隈は歴史に詳しい方々ならいろいろ知っていると思いますが、ドラマでもいい部分だけではなく、良くない部分もたくさん描かれていて、上ったり下ったりと…なかなかいろんなことがあります。第28回の放送を楽しんでいただいた方に向けて言えることは、恒例のように栄一との言い合いが出てきます。そこをおなじみのような感じで、皆さんに楽しんでもらいたいですね」
――「~であ~る」は出てきますか?
「出てきます! 前回のように3回連続で言っているような編集がされているかは分からないですが…。あれは見てびっくりしました。『なんじゃこれは?』と思いましたよ(笑)」
――明治編は面白いキャラクターがたくさんいますが、特に印象的な方はどなたでしょうか?
「印象に残っている方ばっかりじゃないですか? 現場を沸かしているのは、三野村利左衛門役のイッセー尾形さんです。いろんなタイプの芝居をされるので、驚きが多いです。突然、全然違うことをされることがあるので、刺激にもなりますし勉強にもなります」
――大隈の役柄を通して作品から受け取られたことはありますか?
「相当難しい質問ですね。僕が参加させていただいているのは、新しい政府を作るという場面なので、どういうふうにして国や国会を作っていったのかを実感できました。それによって現代のことをいろいろ照らし合わせて考えるきっかけにもなりました」
――最後に大倉さんが考える明治編の見どころを教えてください!
「台本を読んでいると、学校の授業だけでは知らなかったことがたくさんあって。明治政府は、これまでやったことがないことをみんなで議論しながら手探りで始めて、刺激的な場所だったんだなと感じます。大隈の場合、議論というよりも大声ばかり出していますが(笑)。本当にこんな感じだったんじゃないかと思えますし、歴史上の人物たちの人間性が身近に感じられます。僕自身、そこを楽しんでやらせてもらっていますし、そこが見どころなんじゃないかと思います」
――ありがとうございました!
【番組情報】
大河ドラマ「青天を衝け」
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K 日曜 午後6:00~6:45
NHK担当 K・H
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