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山崎育三郎、英語&長州弁に悪戦苦闘!? 「青天を衝け」の伊藤博文は「泥くさくて男くさくて、自分が今まで演じたことのない人」2021/09/25

山崎育三郎、英語&長州弁に悪戦苦闘!? 「青天を衝け」の伊藤博文は「泥くさくて男くさくて、自分が今まで演じたことのない人」

 第27回(9月19日放送)の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)では、渋沢篤太夫(吉沢亮)がフランス・パリで学んだ知識を生かして「商法会所」を作り、駿府藩の財政改革に乗り出しました。一方、箱館戦争は戦況が悪化、渋沢成一郎(高良健吾)に生きることを勧め、土方歳三(町田啓太)は散っていきました。その数日後、旧幕府軍が新政府軍に投降したことで、箱館戦争が終結。時代はいよいよ明治へと移り変わります。今回は新政府で大蔵省・大蔵少輔を務める伊藤博文役の山崎育三郎さんから、役への思いや明治編の見どころを伺いました!

――大河ドラマ初出演になりますが、出演が決まった時の気持ちを教えてください。

「昨年は、連続テレビ小説『エール』(同局)でミュージカル俳優として自分の音楽が生かされる役柄で『栄冠は君に輝く』を歌わせてもらい、『第71回NHK紅白歌合戦』にも参加させていただきました。大河ドラマは、ミュージカルでいう帝国劇場のようなもので、朝ドラの次に大河ドラマに挑戦できるということは大きな喜びでした」

――演じる伊藤についてどんなイメージを持っていましたか?

「千円札だった方という印象です。ただ、その千円札が使われていたのが僕の生まれた1986年までだったらしく、実物は見たことがないんです(笑)。両親や祖父母には『千円札の伊藤博文よ』なんて言われたんですけど、なじみがなかったのでピンと来なかったです。伊藤さんを写真で見ると、ひげを蓄えて、ほくろがあって凛としていて、一見怖そうな雰囲気でドシッと構えている印象でしたが、演じる上で勉強していくと、ものすごく苦労されていて、泥くさくて男っぽいのに、軽やかで人とのコミュニケーション能力が高い人で。初めに自分の中でイメージしていたものとは真逆でした」

――伊藤との共通点として留学経験がありますが、海外経験は役に生かされていますか?

「高校生の時に1年間、メリケン…アメリカにいたんですが、約2000人の学生がいる中でアジア人が僕だけだったので、異国の地で孤独を感じた時間が多かったです。伊藤は“長州ファイブ”として留学したわけですが、彼は英国で相当なカルチャーショックを受けたんじゃないかと。そして、そこでの影響は彼にとってとても大きかったんじゃないでしょうか。僕自身も海外に出て性格的に変わりました。孤独を経験して、差別的なことを受けたこともあったけど、いろんな体験は僕の中に感覚として残っているので、役を演じる上で少なからずリンクできたと思います。また今回、初めてのシーンがすべて英語だったのですが、それが当時のものなので、単語一つにしてもとても難しくて…。芝居をした感覚がなく、苦労しました」

山崎育三郎、英語&長州弁に悪戦苦闘!? 「青天を衝け」の伊藤博文は「泥くさくて男くさくて、自分が今まで演じたことのない人」

――撮影初日から英語のセリフだったんですね。英語に苦労されたとのことですが、初日の感想を教えてください。

「大河ドラマのスタジオは朝ドラの隣なんです。朝ドラの撮影で約1年間通っていた場所なので、ホームに帰ってきたような、また『エール』が始まるんじゃないかという気持ちになって感情が動いたんですが、現場に入ると朝ドラとはまた違う空気感で。しかも英語のセリフということもあって、すごく緊張していたんです。でも、一緒にお芝居をする外国人の役者の皆さんが、自分がどれくらい日本の文化を知っているかを流ちょうな日本語で話されているのを聞いているうちにリラックスできて、自然体でスタートできました」

――英語も大変そうですが、長州藩士だった伊藤は長州弁を話します。方言についてはいかがでしたか?

「イントネーションが難しくて、どうしても音に捉われてしまうんです。音だけに捉われず、お芝居で表現をしていかなければならないので、日々長州弁と戦っています。長州弁はすごく難しくていろんな音が混ざり合っている。一つの音が違う場所に入った時点で長州弁に聞こえないので、音は絶対に外さないように気を付けていました。方言指導の先生が稽古でつけてくださった音は絶対に自分の体に入れて、その上で自分がどういう芝居で表現をしたいかをつくっていく流れでお芝居をしています。また同じ日本語でも、時代的に舞台で芝居をしているくらいの熱量やエネルギーが必要で、現代のお芝居のボリュームや声量とは表現の仕方が全く違うんです。だから声はかなり出して張っています」

――伊藤が活躍する明治編の注目ポイントはどんなところでしょうか。

「時代が変わっていくので、新しい出会いもあります。伊藤は人と人とのつながりをすごく意識していて、年齢に関係なく人をつなげていきます。フットワークが軽く、彼がいることで話しがまとまっていく、回っていく瞬間があるんです。気難しそうな人の懐にすっと入っていくのがうまくて…。一見、真面目そうに見えますが、泥くさくて男くさくて、感情で動いてしまう人なんです。自分が今まで演じたことのない、出会ったことのない人ですね」

山崎育三郎、英語&長州弁に悪戦苦闘!? 「青天を衝け」の伊藤博文は「泥くさくて男くさくて、自分が今まで演じたことのない人」

――伊藤は井上馨と友情関係を築きますが、福士誠治さんが演じる井上の印象を教えてください。

「彼の作品を見たこともありますし、共通の友人がいて認識はしていたのですが、今回が初共演なんです。井上はとにかく声がでかいし暑苦しい(笑)。真っすぐであるがゆえに、ちょっと曲がったこともしてしまう年上の井上のことを、伊藤は理解しているんです。先輩として立てながらも、ちょっとどこかで笑ってたりする瞬間があるので、2人の関係性はすごく面白くて。福士さんの豪快さというか、現場での空間を一気に変えるような井上さんの存在感というのはとても魅力的です」

――伊藤の役柄に込めている思いや意識されている点はありますか?

「さっきと重なる部分がありますが、伊藤は人と人とのつながりを大事にしていて、今でいうプロデューサー。この人とこの人を会わせたらこうなるんじゃないかといつも客観的に見ていて、彼がいることでいろんな人がつながっていったりするんです。伊藤自身が何か優れた才能を持っている感じはあまりしないんですが、コミュニケーション能力が高く、人との関係性を大事に思っていて、国のために自分はどう生きるかということを本気で考えていた人だと思います」

――伊藤は明治政府の中で栄一と深くかかわっていきますが、伊藤から見た栄一はどういう存在だと思いますか? 

「栄一に対しては、出会った時に何かインスピレーションを感じていたと思います。伊藤は情に厚くて人間的で泥くさい面がある一方、品川にあるイギリス領事館を焼き討ちにするという攻撃的な部分も持っていて、未遂に終わったものの似たような経験を持つ栄一に興味を持ちます。栄一の才能を見抜く力も伊藤にはありましたし、栄一とだったら国を変えていけると思っていたんじゃないでしょうか」

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――栄一を演じる吉沢亮さんと共演した印象を教えてください。

「吉沢くんと以前映画で共演した時は、若くて奇麗な好青年という印象でしたが、今回久しぶりにお会いしたら、渋沢栄一にしか見えないんです。男前だし奇麗な顔をしているけど、彼が元々持っているものがものすごく男くさい。僕はミュージカルをしているし、朝ドラでも『プリンスです』なんてやっているから、中性的に見えますが、僕も吉沢くんも実は男4人兄弟。男くさい中で育っているので、話していてもすごく相性が合うんです。根性が合って男くさい吉沢くんは、栄一に近いものを持っているんじゃないかと思います」

――伊藤と栄一のシーンは、4人兄弟という共通点が生かされている部分もあるのでしょうか?

「伊藤が栄一に興味を持つシーンがあるんですが、そこで2人の息が合う瞬間というか、掛け合いになる瞬間は、吉沢くんとだからこそできたシーンです。彼と付き合いが長いわけではないのですが、お互いに信頼できて表現をぶつけ合えました。4人兄弟だからなのかは分からないですが、根本的な男っぽさをお互い持っている気がして、一緒にやっていて気持ちいいですね」

――ありがとうございました!

 

【番組情報】

大河ドラマ「青天を衝け」
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K 日曜 午後6:00~6:45

NHK担当 K・H



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