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「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー2021/08/25

「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー

 恋人たちが初めて結ばれるまでの直前1時間を、オムニバス形式で切り取った連続ドラマ・ドラマ特区「初情事まであと1時間」(MBSほか)。9月2日放送の第7話「プラスマイナス、インタレスティング」では、「自分と関係を深めると不幸になる」と思い悩み、恋人と関係性を築いていくことに恐怖心を抱く彼女・月子(趣里)と、そんな月子の前でも明るく振る舞う彼氏・陽太(渡辺大知)の“1時間”が、ドラマチックに、そしてどこかコミカルな風合いで描かれます。

「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー

 趣里さんが演じる月子は、「不幸体質の女の子」。長い間コンプレックスを抱えて生きてきた月子は、陽太にそのことを打ち明けようとするのですが…。

「不幸体質」に負けず、前に進む月子を演じ「自分もこうなりたい」

「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー

「月子の気持ち、私はなんか分かります。月子は、“自分と関わる男性はみんな不幸になってしまうから、喜びに背を向けている”という女性なのですが、私もそういうところがあります。『またこう考えちゃっているな』とか、『なんで自分ってこうなんだろう』って、細かいことを気にしてしまう。そういう思考の癖がついてしまっているといいますか…。でも相手のことを思うと言えなかったりして、またそういう自分が嫌になったり…」。

 ネガティブな言葉が続くように感じるかもしれませんが、これを話している時の趣里さんは周りを照らすくらい明るい光を放ち、けろりとしたさま。親しみやすい雰囲気で一つ一つの質問に丁寧に答えてくれる趣里さんですが、月子を演じながらこんなことを感じたといいます。

「月子の、あと一歩が踏み込めない恐怖心には、すごく共感しました。それを受け止めてくれる陽太くんの存在はまさに月と太陽のようで、お互いがいることで進んでいけるのかなと。そこに飛び込んでいける月子もすごいなと思います。月子は“不幸でかわいそうな女性”かもしれないですが、『それでも前に進むんだ!』と、ユーモアを持って踏み出していくんですよね。大九明子監督の脚本はそういうところが好きです。自分もこうなりたいなって思いました」。

未来の自分に期待して、「いつか、いつか、頼む!」

「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー

 自分のコンプレックスや短所、弱い部分と向き合ったり、それを人に話すことができるタイプかどうかをお聞きすると、「なかなか、ねぇ~~~」と気取らない笑顔に。

「やっぱり、それを隠して隠して、振る舞ってしまうところはありますよね。分かってはいるけど、そのことについて考えちゃう自分もまた嫌だし、みたいな(笑)。私はすごく心配性ですし、自信もないんですけど、今は“作品を見てもらいたい”、“楽しんでもらいたい”というところを大事に、突き進んでいけたらいいなと思っているところです。弱い部分がたくさんあるんです。あまりそう見られないんですけど…」。

「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー

 幼い頃からバレエに打ち込んでいたという経歴や、主演を務めた映画「生きてるだけで、愛。」(2018年)などの印象から、「強い」「芯(しん)がある」といったイメージを受け取っていたので、こういう言葉が出るのは「意外」の連続。

「ですよね、“強めな女”みたいなイメージがありますよね(笑)。『生きてるだけで、愛』でも描かれているように、『それでも、前に進んでいく』というのは大事だなって思うんです。コンプレックスも認めながら、うまく付き合っていけたらいいのかなぁ、なんて。『未来に期待!』の精神です(笑)。『変わりたい』という気持ちは常にあります。『いつか、いつか、頼む!』みたいな(笑)」。

マネジャーさんと支え合った日を振り返り「笑えるようになって良かったです」

「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー

 自分のコンプレックスを、相手に言うか、言わないか。真剣に悩む月子にとって、この“1時間”は葛藤の連続だったはず。でも、その瞬間はつらくても、きっと数年後に思い返した時には笑い話にできていると思わせられる。本作には、そんなユーモアが散りばめられています。趣里さんがそんなふうに思い浮かべる出来事はあるかをお聞きすると、側にいたマネジャーさんに「何かあるかなぁ?(笑)」としばしの相談タイム。

「3、4年前のことなんですけど、舞台中に思い切り捻挫をしてしまったんです。もともとけがが原因でバレエを断念してしまったのですが、同じところを捻挫してしまって。『またやっちゃった…』って悔やむし、めちゃくちゃ痛いしで、当時は本当につらかったです。捻挫をした日、マネジャーさんが迎えに来てくれたのですが、そのマネジャーさんもヘルニアで腰を痛めてしまっていて…。だからお互い『何も助けてあげられないけど…』って言いながら、2人で支え合って帰ったことがありました。今思えば、その画がすごく面白いなと(笑)。マネジャーさんと、今でも笑い合うんですよ。『あの時、大変だったよね!』『痛かったよね!』って(笑)」。

 その様子を「戦場に行くような形相だった」と振り返り、側にいるマネジャーさんと2人で笑い合う趣里さん。「あの時の2人を俯瞰で見たら、相当面白いだろうなって(笑)。その後は舞台もなんとか終えることができましたし、マネジャーさんの腰の調子も良くなっているので、いい思い出です。笑えるようになって良かったです、本当に(笑)」。

「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー

 自身について「負のループ」に陥りがちで、「すごく心配性だし、よく『はぁー、もうー!』ってなってしまうんです」と繰り返すも、その表情は決して暗いものではないのが、すごく魅力的に映りました。そんな思考が襲ってきた時の、趣里さん流の解決策。

「『まただぞ、また来てるぞ、自分!!』って自分に問いかけるんですよね。救いがないと苦しいばかりなので、『またそう考えちゃってるな』っていう自分も分かってあげつつ、でも(そういう思考に)なってしまうのはそれはそれで、というか。そういう考えになってしまうことは結構多いんですけど、希望は忘れずにいたいなって思います」。

「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー
「変わりたいという気持ちは常にある」。負のループに陥っても、趣里が笑顔でいられる理由――「初情事まであと1時間」インタビュー

【プロフィール】

趣里(しゅり)
1990年9月21日生まれ。東京都出身。O型。主な出演作は、映画「ジョフクの恋」「おとぎ話みたい」「東京の日」「母 小林多喜二の母の物語」「彼女の人生は間違いじゃない」「過ちスクランブル」「勝手にふるえてろ」「生きてるだけで、愛。」、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、ドラマ「リバース」(TBS系)、「トットちゃん!」(テレビ朝日系)、「ブラックペアン」(TBS系)、「僕とシッポと神楽坂」(テレビ朝日系)、「イノセンス 冤罪弁護士」(日本テレビ系)、「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)、「レッドアイズ 監視捜査班」(日本テレビ系)など。2021年9月23日、映画「空白」が公開予定。

【番組情報】

ドラマ特区「初情事まであと1時間」
MBS 木曜 深夜0:59~1:29
tvk 木曜 午後11:00~11:30
チバテレ 金曜 午後11:00~11:30
テレ玉 水曜 深夜0:00~0:30
とちテレ 木曜 午後10:30~11:00
群馬テレビ 木曜 午後11:30~深夜0:00

<配信情報>
見逃し配信:TVer、MBS動画イズム、GYAO!(全8話)
見放題独占配信:TELASA、J:COMオンデマンドほか(全12話)

【プレゼント】

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【締切】2021年9月21日(火)正午

取材・文/宮下毬菜(TBS・MBS担当) 撮影/蓮尾美智子



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